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人権侵害が蔓延する「ブラック精神科」ついに患者たちの反撃が始まる

来春始動する「精神医療人権ネット」とは

精神医療で傷ついた人々が立ち上がる

患者たちの反撃が始まる──。過剰な投薬や強制入院、身体拘束などで、当然のように人権を侵害されてきた精神疾患の患者たちが、人として当たり前の権利や自由を守るために、自ら立ち上がろうとしているのだ。

舞台は375万都市、横浜。福祉現場でスタッフやボランティアとして働く約300人の患者(ピアサポーター)を核とした患者支援組織「横浜精神医療人権ネット(Yネット)」=仮称=が、来春活動を開始する。

 

市内の精神科病院を巡回して、入院患者と友達のような関係で接し、医師や家族には言えない悩みを把握する。退院促進や、退院後も患者を孤立させないためのきめ細かな支援を行っていく。また、患者の通報によって不適切な医療行為や人権侵害が発覚した場合は、協力関係にある精神科医や弁護士と連携して、医療機関に説明や改善を求める。

Yネットの活動方針を話し合う堀合研二郎さん(右から3人目)ら準備会の中心メンバー(2019年12月2日、横浜市磯子区)

ピアサポーター主体の同種の組織は前例がなく、全国への波及効果が期待される。来年1月26日にはプレイベントとして、「医療者に身体拘束の苦しみを味わってもらう体験会」を計画している。 

Yネットは、横浜ピアスタッフ協会(YPS)の組織をベースに誕生する。同協会の約300人のピアサポーターたちは、作業所で通所者を支援する活動などに従事する患者で、現在は病状は安定、寛解しているが、その多くは、回復までの間に精神医療によって著しく傷つけられた経験を持っている。

医師や看護師から暴力や暴言を浴びせられたり、暴れてもいないのに隔離や身体拘束をされたり、誤診や過剰投薬で病状をますます悪化させられたりしたことがあるのだ。