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【経済】

就活セクハラ 決別を

 就活セクハラ体験者らの緊急座談会からは多くの大学生が心に深い傷を負っている現状が浮かび上がる。

 若者は教育の場では男女平等と教えられ、それが当たり前と思って育っている。だが、就活という実社会の入り口に立った途端、それが建前に過ぎなかったことを思い知らされる。「将来、結婚するつもりは」「付き合っている人は」と聞かれる。企業は採用してもすぐに結婚してやめられたり休まれたりするのは困る。女性をふるいに掛けようとする不躾(ぶしつけ)な質問に学生らはあからさまな女性差別と、仕事と家庭を両立できない将来を思い、傷つく。

 OB訪問すれば、ホテルや自宅に誘われる。内定を取ろうと必死の学生が深刻なセクハラ被害に遭い、大手企業の社員が逮捕された刑事事件も相次ぐ。座談会にもあるように女性の権利を自覚する人ほど屈辱的な体験に無力だったことに自信喪失する。ある者は就職を断念、多くの若者がトラウマを抱えたまま「どうせ会社はこんなもんだ」と、あきらめとともに社会人生活をスタートさせる。

 最初から「やる気」をそがれた社員が能力を伸ばし、力を発揮できるのか。政府が「働き方改革」や「女性活躍」を掲げるなら、現状を放置しておいてよいわけがない。企業向け指針で、就活セクハラをはっきり禁止、学生が安心して相談できる窓口を企業や大学に設けるべきだ。「パワハラ防止法の対象が労働者だけだ」というのは言い訳にすぎない。就活生だけでなく、下請けのフリーランスなどさまざまな人が仕事にからむハラスメントに苦しんでいる。法律が不十分と主張するなら座談会で学生が指摘するように「法律から変えればよい」のだ。政府と企業は若者の心をつぶす就活に決別すべきだ。(池尾伸一)

 

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