竜王国
ビーストマンは飽きる事なく、人間を殺しまくっていた。
ビーストマンは知らない、自分より強い存在がいる事を。
ビーストマンは知るだろう。神がいる事を。
そんなビーストマン達を見つめる二つの影がある事を、死ぬその瞬間まで知らないだろう。
竜王国の応接室
その部屋にいるのは一人の幼女【竜】と、一人の宰相だけであった。
「法国は本当に援軍を送ってくれないのか」
「その様ですね。法国から帝国に援軍をお願いしろと、遠回しに忠告されましたからね」
「何故、その様な事をするんじゃ」
「見捨てられたとかですかね。ただ、漂う雰囲気が嬉しそうだったのでいい事でもあったんじゃないですか」
そんな宰相の態度にドウラ【略称】は泣き叫んでいた。
現在、次々と都市が落ちる重要な都市も落ちそうなので無理もないと思うの。
ただ、所詮は他人事なのだから。
そんな不幸の道を走り狂っている竜王国には、今日帝国の使者が来るらしいと、帝国より連絡があり多少気分が緩んでいた。
「帝国の使者はどの様な者はなのじゃ」
「知りませんね。まだ国の領地にすらついてないみたいですね」
「今日にくる気はないじゃないか」
「まぁ。相手も忙しいですから、遅れているんじゃないですか」
「そんな事をしている間に国が滅ぶわ」
「でしょうね」
そんな一体と一人の会話を盗聴していた男が笑っていた。そんな男を悪魔と男娘が眺めていた。
「鈴木様。何がおかしいのですか」
「国が滅びそうなのに他国頼りとは終わっていると思ってね」
「確かにそうですね。危機的状況に対して、最終防衛を他国任せとは終わってますね」
「す、鈴木様。そろそろ行きますか」
「そうだね、マーレ。時間は有限だからこそ、浪費も時には大切だね」
鈴木悟【前話参考】は異世界から愛された存在であった。死亡する前に神より異常な力を貰ってしまう数奇な運命を辿っている。
そんな彼はユグドラシルの魔法を使用できる訳ではないが、その代わりに異世界の魔法を使用する事が出来る。
「【移動の扉】よ。開きなさい」
「流石は鈴木様ですね。この様な魔法を使えるなんて」
「そ、尊敬しています」
「前にも言っていると思うが、僕達が本当に使える魔法は、ユグドラシル製の魔法とは少し違うんだよ」
「自由度が高いですね。何かしらの制限はあるのですか」
「僕達は道具を使用しなくては高位の魔法どころか、低位の魔法すら使用できなくなる」
「そんなリスクを背負っているのですか」
「他にもあるよ。基本的に人間種の為に寿命が決まっている」
「だからこそ、モモンガ様の様に死後に異形の者となるんですね」
「そうだよ」
そんな会話をしていると、視界の片隅でマーレがオドオドし始めていた。恐らくだが時間を過ぎてしまっているのだろう。
「そろそろ話を終わりにして、交渉に行くとしよう」
「わかりました」
デミウルゴスが先に移動の扉に消えて行き、続いて鈴木が入ろうとしていた。そんな時にマーレが話しかけてきた。
「さっきは、あ、ありがとうございました。流石はモモンガ様の前世の人ですね」
「まぁ、モモンガみたく怖いオーラは出せないんだけどね。」
「気になっていいたんですけど、移動の扉は時間制限はあるんですか」
「僕の魔力がきれるか、僕が閉じようと思うまでかな」
「じ、じゃ早く入りましょう」
そんな二人が部屋に移動してくるまで、デミウルゴスは直立不動で立っていて、竜王国の人間達からしたら不気味だったらのであろう。
〇〇〇〇
又々、竜王国の応接室
二人が話していると空間に黒い塊が生まれ、その中から扉が現れた。
扉から一人の悪魔がやって来た。そして、無言でとても怖かった…だって悪魔だし。
「宰相。あれは何だと思うのじゃ」
「悪魔ですね。尻尾とか生えてますし」
「立っているぞ。攻撃した方がよいのか」
「流石は馬鹿皇帝ですね。何もしていない相手に攻撃をするなんて」
「しねぇぇよ。例えばの話でね仮にも悪魔だし」
「悪魔だからこそですよ。皇帝」
「何じゃ」
「悪魔は取り引きをするものです。後に大変な事になっても、直ちに大変な事にはならないでしょう」
「つまりは、国を救ってやるから。代償として国を頂戴すると、いうやつか」
「そうですね」
「そこの悪魔殿。何という名前ですか」
「…」
「おーい。名前を教えてくれ」
「…」
「お願いします。教えてください」
「…」
直立不動のまま悪魔は時間が止まっている様に動きはしなかった。だが永遠なんてないと言わんばかりに、悪魔が動き出す。
その動きは悪魔なのでは無く、王に仕える順者の動きそのものだった。
「鈴木様の入場です」
扉の中から一人の成年と一人の幼女が現れた。
「デミウルゴス。長い間待たせてすまなかったね」
「そんな事はありません。モモンガ様の生前である貴方に対して、待つ時間で苦痛に感じる筈はありません」
「流石はデミウルゴスだね。ところで、そこのおじさんが偉い人かな」
「違います。その人が宰相でもう一人が王女の為、交渉をするなら王女の方が良いと進言します」
「ありがとうデミウルゴス。ところで王女さん」
話しかけられた王女は目の前で行われる事態に、羨ましいと見つめていた。
部下から厚い忠誠心を持たられていると、それも一国の王女を忘れ去る位にね。
「何でしょう」
「この国はビーストマンの侵攻を受けているらしいですね」
「そうです鈴木さん。今にも国が滅びそうで倒れそうです」
「それは大変ですね。だからこそ交渉をしにきました」
「どの様な条件で助けてくれるのですか」
「そうですね。今は考えていないので、後日書面で送りますね」
「例えば、どんな事をするのでしょうか」
「そうですね。貴方の国の領地を下さい」
「やはり領地ですか」
「悲観してはいけませんよ。そこで作られた農作物などは安く売るように交渉してもいいですよ。そうですね、デミウルゴス」
「確かに交渉だけは必ずすると約束しましょう」
「ありがとうございます」
喜ぶ王女にデミウルゴスは疑問に思うところがある。だって交渉だけしかしないのだから、交渉だけして値上げしても約束を守った事になるのだから。そんな馬鹿さ加減も人気の秘密だろうか。