マイケル・J・フォックスが患ったことで知名度が増した病気ですね。
Appleが「Apple Watch」を使い、パーキンソン病に関連する手足の震え(振戦)を検出する特許を取得しました。
すでにApple Watchが医療機器みたいに進化していることは、隠す必要のない事実ですよね。たとえばApple Watch Series 4では、FDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を受けたECG(心電図)機能が追加されました。そしてSeries 5では、Appleは聴力、性と生殖に関する健康、可動性と心臓の健康に関する一連の医療研究を開始すると発表がありました。
パーキンソン病とは
パーキンソン病は、主に50歳以上で発症の多い病気で、身体が動かしにくくなったり、手足が震えたり、バランスを崩して転倒しやすくなるといった症状が出ます。パーキンソンスマイル.netの説明では、大脳皮質が筋肉を動かすための指令に使うドパミンが、何らかの原因で普通の人より早く減少することが、パーキンソン病の原因になっているそう。
検出の仕組み
Appleの特許によると、パーキンソン病の検出にはApple Watchのセンサー、特に加速度計とジャイロスコープを使って、振戦と痙攣、もじもじするといった不随意運動の「ジスキネジア」を受動的に追跡します。
また特許では、Apple Watchのセンサーが、「潜在的に振戦を示すひとつ、または複数の特徴を運動データから抽出する」とあるので、まだパーキンソン病であることを認知していない初期の段階であれば医師の判断を仰げますし、すでに認識していれば、正確な発症時刻を医師に申告できる使い方ができそうです。
なぜ便利なのか?
現在のパーキンソン病の治療は、臨床医が患者の薬をどの程度の量で、いつ投与するかによって、大きく依存しているとAppleは述べています。なので、症状がおきた時刻を正確に記録してくれるところが効果的というわけです。
もう一つの問題はパーキンソン病の治療が、患者が自分の症状を医師に自己報告さざるをえないこと。それだと、曖昧だったり不確実だったりするんですよね。この2つの点で、Apple Watchがパーキンソン病の治療に有効というわけ。
実はすでに搭載されている検出機能
Apple Watchは、2018年6月に「watchOS 5」が発表されたときに、すでに1日の運動データから振戦やジスキネジアを検出することになる、ということが判明していました。
特許はその少し前に提出されたもので、やっと12月5日に公開されたのでした(一般、特許は提出から数カ月の時間がかかる)。また9月のニュースリリースでは、入院、転倒、心臓の健康と質に関連する、心拍数と運動性信号(歩行ペースや階段の上昇など)に関する研究「Apple Heart and Movement Study」を発表しているので、今後パーキンソン病の検出についても精度が高くなり、機能がより多くなっていくと思われます。
その他のデバイスで揺れを検出
興味深いことに、この特許によると振戦を追跡するのはスマートウォッチに限らないのだそうです。そこには「実施形態では、モーション・センサーはユーザーの耳に挿入されたイヤピースや眼鏡(たとえばスマートグラス)に使用され、ユーザーの頭部の変位を測定できる」と書かれているのです。
Appleが独自のARグラスを2022年か2023年に発売する可能性を示す多くの特許、ウワサ、および報告を考慮すると、スマートグラスへの言及は注目に値すると思われます。ということは、AirPodsも…?
Source: Apple, US PATENT & TRADEMARK OFFICE, パーキンソンスマイル.net