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仕事が始まる前の朝2時間八郎は作品作りを 喜美子は陶芸の基本を。
その後 ふだんどおりにそれぞれの仕事をこなし…。
(秋安)出来たや~ん。ようやった八郎。
(一徹)ああ これやったら反り返りもないし 軽くてええな。
(八郎)ほんまに勉強になりました。
ほんのちょっと厚みを変えただけでこんなに うまくいくとは。
あとは 売れそうなデザイン頼むで。任しとき。
(笑い声)ああ 庭園椅子は どないする?
はい。 強度は変えずにもうちょっと軽くですね…。
一日の仕事が終わってからも再び2時間から3時間ほど陶芸と向き合う日々が続きました。
♪~
一度 素焼きをしたあと自分で配合した釉薬をかけ高い温度で本焼きをします。
ありがとう。
想定したとおりの色に仕上がればよいのですが焼き時間や温度によって微妙な違いが生まれます。
納得できる作品に仕上がるかどうか焼いてみないことには最後まで分からないのです。
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も 涙に負けるもんか」
♪~
♪「やさしい風に吹かれて」
♪「炎は再び舞い上がる」
年の瀬の押し迫る週末八郎の作品が焼き上がりました。
まずは若社長に見てもらうことになりました。
(敏春)陶芸展締め切りは年明け 1月末やったか。
(八郎)はい。
日曜も ここ 使てええさかいな?
えっ。正月休みもな。
頑張りぃ。
あの… これやったらあかんいうことですか?
出品しても 賞は取れんいうことですか?なに 焦ってるんや。
自分では どう思う?
この色でええんか?
きれいに焼けてはいるけど それだけやろ。
自分が よう分かってるんとちゃうんか?
お忙しいところ すいませんでした。ありがとうございました!
♪~
八郎の作品作りは一からやり直しとなりました。
♪~
(喜美子)食べへんの?
十代田さん。うん?
食べな倒れるで?あっ 食べる 食べる。 ありがとう。
休みの日まで こもりきりで…。
なあ。えっ くっつき過ぎや。
くっつかんと聞いてくれへん。
聞く聞く。 何?大阪行こう言うてたやん 映画 見に。
うん。絵画展とか 美術展とか。
お父さんのお許しがもらえたらな。もらえたやん。
もらえてないやん 出品作品 受賞せんと。
ごはん 食べぇ。
はい。
頂きます。
ほな 1人でもええし 行ってきぃ?うまっ。
今から大阪行くんがあれやったら草津にも映画館あるしな。
時間もったいない。草津やったら すぐやん。
このまま年越したら陶芸展締め切り日が すぐや…。
ほやから! 一息 入れて頭やわらこうするんは今日くらいしかないやん?
(陽子)その気がないのに何で連れてくんねん!
(信作)連れてきたわけやないて暇や言うて 勝手に顔出したんや。
(よし子)勝手に顔出しに来て すみません。
あ…。あ…。また来ますぅ。
あっ ゴミ。
では。(陽子)ああ…。
どないすんの!分からん もう…。
こんにちは~!(八郎)こんにちは。喜美ちゃん ハチさん ようお越し。
あんた! 喜美ちゃんとハチさん来てくれやったでえ!
聞いたでえあんたら おつきあいしてるんやてなあ。
入って 入って。ああ お邪魔します。
大歓迎やな。久しぶりやな。
さっきの人…。おい 見んでええ。
誰や?お見合い大作戦で…。えっ?
友達や 友達。 何か よう分からんねや。
(陽子・高い声で)お待たせしましたコーヒーでございますぅ。(信作)客 逃げるわ!
(大野)かわいいやないか。お母ちゃん。また湯飲み?
あっ 変わったな ええ湯飲みやん。
あっ ええ香りや。ほんまや。
ほやろ うまいこと煎れられるようなったでえ。
ほやけど これで コーヒー出すの?
違うんよ まだ食器そろえてへんねん。ハチさん…。
待てぇ! 待て 待て。
喜美子 何か 気ぃ付いたことないか?えっ?
気ぃ付いたことあるやろ。ええ?
気付けや!何か 変わったこと…。 なっ?
おじさん…。うん?髪 減った?
減ってない!増えてないし 減ってないよぉ。
ほや 何や…。お前なあ これが分からんかったらお前の これからの陶芸家としての…。分かった!
分かった!
これや!ああ よかった!
十代田さんの作った湯飲みや!おっそいねん!
おやじの髪の毛いった時どうなるか思たな。アッハハ…。
まあ 減ってんのは正解やけどなあ。(笑い声)
3回ぐらい ごちそうしたらな作ってくれやったんよ。
3回どころやないですよもう何べんも ごちそうして頂いて…。
ああ ああ…。いつ作ったん?お前らができた時 つい最近や。
へえ~。喜美ちゃんとハチさんて つい最近なん?
ジョーさん言うてたがな青天のへきれき事件いうて。
この前なジョーさん うちに来やったんよ。
で この湯飲みの話 したらな悪徳商人みたいな顔になって…。
回想 (常治)大事に取っといた方がええんちゃうかあ?
そのうち一個5万で売れるかもしらんわなあ。
ご… 5万!?一個5万。
お父ちゃん そんなことを…。
そやからってわけやないねんけどコーヒー茶わん お願いしたいんやわあ。
えっ ハチ?(2人)うん。頼もう思てんねん。
信楽で 地元で焼いたコーヒー茶わん。
それ ええな? 店の特色にもなるやん。ほやろ?
うちら これ 気に入ってなあこう 手ぇに持った感じとか…。
色もなあ わし 好っきゃわあ。
(陽子)好っきゃわあ。 こんな感じでコーヒー茶わん 作ってくれへんやろか。(信作)え~ いくつほど?
あ… 十は欲しいな。いや 15は要るやろ。
(陽子)ちゃちゃっと仕事の合間でええからな。
ちゃちゃっとそんなん できるもんちゃうで。
やらせて下さい。 開店は いつですか?
(陽子)年明け 15日前後な?
うんうん。 正月気分の抜け切らんうちに開けたろう思てんのや。
ほな 早速 取りかかります。どんなんがええか デザイン考えて明日にでも持ってきます。引き受けてくれるの!
(2人)おおきに!ちょっと待って ちょっと待って。
そんなん無理やん 時間ないし大変やで?
大変かのう?そんな大層なもんやのうてええんやけど?
ほやで 一個5万とかそんなもん頼んでるんちゃうねん。
そういうことやのうて…。大丈夫です。 大丈夫やから。
時間かかるんやったらもう少し延ばしてもええんよ?
おお。 もう それに合わして開店 延ばしたらええだけの話やから…。
もう そこまで言うて頂いて すみません。大丈夫です。
ほんま? ええんかの?
ええの?はい やらせて頂きます。
あ~ よかったわあ!(2人)お願いします。
こちらこそ ありがとうございます。まあ まあ まあ ハチがやる言うてんやし。
コーヒー 全然 飲んでへんやんけ。
ああ ほんまや。感想聞かして。
砂糖入れたろ。ああ ああ ありがとう ありがとう。
コーヒー茶わんやったらこれまでも何点も作ってるからなこの中からどれがええか見てもろてもええし…。
そんなんやってたら作品作り どうすんのん?
やっぱり 断ろう。 うち 断ってくる。ええよ。
ええことないよ話せば分かってくれる人らやこれ ほかの陶工さんに渡して代わりにやってもらお?
ええ言うてるやろ。
逃げてんのんちゃうの?
作品作り 思うたようにならへんからコーヒー茶わんに逃げてるんちゃうん?
ここ 座り。
座って。 はい。
あんな 喜美子?はい。
絵付けやってる時に思たようにならんことある?
ある。あかん言われたことは?
あかん言われたこともある。ほんで悔しいから もっと頑張ろう思う。
うん。 僕は…自分の作品 あかんて言われたら自分も全否定されたような気持ちになってしまう。
今日…湯飲み茶わん 好きや言われて救われた。
小さなことやけどなものすごぉ大きく救われたんよ。
コーヒー茶わん欲しい言われたんも作品作りに返せる 力をもろた。
大丈夫 やるで?作品作りも コーヒー茶わんも。
♪~
女性陶芸家として世に出てったらええやん。
あっ 痛… あたたたた…。
うそや!
おめでとう!
見て イチゴケーキ!
キスは いつするんやろ。