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就職氷河期を経験した団塊ジュニア世代の消費(総務省「家計調査」)

日本総合研究所 調査部 マクロ経済研究センター 主任研究員 下田 裕介 日本総合研究所 調査部 マクロ経済研究センター 主任研究員 下田 裕介

〔図表〕世代別消費支出(2人以上の勤労者世帯)の推移比較 〔図表〕世代別消費支出(2人以上の勤労者世帯)の推移比較

 マクロの個人消費を見るうえで、「人口ボリューム」は大きな影響度を持つ重要なポイントといえる。わが国の人口構成上、現役層で突出した人口ボリュームを持つのは、団塊ジュニア世代(1971~74年生まれ)だ。現在40代後半と働き盛りの世代であり、全体では800万人弱だ。各年齢で200万人ほどおり、近年の年間出生数の2倍以上の人口を抱える。
 しかし、わが国の社会で一般的に用いられてきた世代別の消費動向を見ると、例えば総務省「家計調査」などをもとにした実質消費支出額は、団塊ジュニア世代が上の世代と比べて少ない状況にある(図表)。具体的には、40代前半の時点で、団塊ジュニア世代の支出額は、上の世代より5~17%ほど低い。40代後半は統計上、バブル世代の最年少が入る一方で、団塊ジュニア世代の最年少が入らない点に留意する必要はあるが、同様の傾向を示す。一般的に消費支出額が一段と高まるはずの40代後半に人口ボリュームの山が差し掛かることで、本来は消費活性化が期待されるはずである。同世代の消費に勢いがないことは、わが国が経済成長するうえでの足かせになっているといえよう。
 団塊ジュニア世代の消費が伸び悩む背景の一つに、同世代がかつて直面した「就職氷河期」の経験を指摘することができる。団塊ジュニア世代の多くは、大学生や高校生時代に90年代初めのバブル経済崩壊後の新卒採用に臨み、その後も長期にわたる景気低迷に身を置くこととなった。企業は採用を抑制し、低賃金の非正規雇用の活用を進めてきたことから、団塊ジュニア世代の中で、新卒採用時に正規雇用になれずに無職、または非正規雇用となった人は、その後も新規の正規雇用になったり、正規に雇用転換したりすることが非常に困難だった。
 厳しい雇用環境は、消費の元手となる所得環境の厳しさにつながる。非正規雇用者は賃金水準が正規雇用者と比べて低い。また、団塊ジュニア世代では正規雇用者でも、景気低迷時の賞与の減額、そして役職に就く機会の後ずれや機会そのものの喪失などで、賃金が上の世代と比べて伸びにくい。
 団塊ジュニア世代も含まれる就職氷河期世代が抱える問題に対して、政府は今夏の骨太の方針で本格的な支援を打ち出し、順次実行されている。雇用所得環境の改善が消費の活性化につながり、人口ボリュームが経済成長にプラスに生かされるよう、就労支援など、実効性の高い施策に期待したい。

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