台湾の内政部移民署が行った調査によると、台湾で失踪した外国人労働者は2015年以降、毎年5万人を超えていることが分かった。勤務先の管理監督から離れた外国人は社会不安の一因にもなっており、犯罪における失踪外国人の割合は07年(約20%)から17年(約58%)の10年間で倍増し、犯罪者全体の6割を占めている。
2日付自由時報が伝えた。外国人労働者の失踪者数は14年時点では4万3,222人だったが、15年(5万1,109人)、16年(5万3,734人)、17年(5万2,317人)と3年連続で5万人台を超えている。
失踪した外国人労働者を国別にみると、17年はベトナム籍が2万5,000人以上で最も多く、インドネシア籍の2万3,000人が続いた。移民署の楊家駿署長によると、多くは失踪後に孤立無縁となり、人身売買の対象となる例や、薬物の販売、性産業に身を落とす例が少なくない。
犯罪の内訳は、放火や通り魔など故意や過失で不特定多数の人の生命・身体・財産を危険にさらす「公共危険」、「窃盗」、「薬物使用」が上位を占める。楊署長は「勤務先・雇用先から脱走した外国人労働者は、連れ戻されることを恐れて通報せず失踪者となりがち。移民署は座して待つのではなく、積極的に外国人コミュニティーや集散地に出向いて捜査・救出の網を張っていく」と説明。全域に設けているシェルター(避難所)「庇護中心」の機能充実を図り「保護を求めてきた外国人労働者に職探しをサポートしたり、安全に帰国できるよう取り計らったりしたい」と話した。
■背景に借金や妊娠も
ニュースサイトの関健評論網(ニュースレンズ)によると、失踪した外国人労働者の多くは多額の借金をして訪台。台湾に到着して初めて、労働環境や待遇があっせん業者から聞いていた内容と大きく異なることを知ることも多いという。孤独の中で同胞と出会い予定外の妊娠をする女性も多く、彼女らは妊娠の事実を雇用主に知られて国に返されることを恐れ、失踪の道を選ぶ。ただ、経済的に困窮しているため、違法な労働に手を染めざるを得ない「負のスパイラル」も問題となっている。
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