とみ子が僕を見るなりそう言い、「早く入っておいでよ!」と付け加え、「この子、ソプラノなんだよ」と僕に教えてくれた女子にそう伝えました。
「え!?男子なのに!?」
その子はびっくりしたように僕を見て言いました。
僕は、視聴覚室に入ると“クスクス”と笑い声が聞こえました。それが僕に向けられたものではなかったかもしれませんが、その時の僕には自分が笑われているんだと思いました。
教室の中は、表現できませんが、女子の匂いで充満しているように感じました。
「席はあそこしか空いてないよ。」
隣のクラスのさっきとは違う女子が、僕に空いている席を教えてくれました。その席は一番前の席で、みんなから丸見えの席だったので嫌だとは思いつつ座るしかありませんでした。
僕が席に着くと、“はははっ!”という笑い声が起きましたが、僕は無視をして机を見ていました。
クラスの女子達が僕に意地悪をするのではないかとドキドキしていたのですが、すぐに音楽の先生が入って来ました。
音楽の先生は、背が高く、女子に対して「男子に負けるな」という先生で、とくに男子には厳しく男子にはすぐにビンタをするので、男子の中でも恐れられている近藤麻衣子という先生です。僕はまだ叩かれた事はありませんが、他の男子は女子を苛めているところを近藤先生に見つかって、ビンタをされたと聞いたことがあります。とはいっても、弱いものを苛めるから怒るというのではなく、男子が女子を苛めると言う事にすごく怒るようでした。僕は、あい子を苛めているところを見つからなくて良かったと思った事を思い出しました。
「今日から、卒業式まで3カ月みっちり練習するから、気合いを入れるように!テノールの男子に負けることのないようにするんだよ。女子のパワーを見せつけよう!」
先生は、女子達を鼓舞するようにそう言いましたが、僕の気持ちは、僕は「男子なのに・・・」と、複雑で黙って俯くしかありません。
「先生、男子も一人いるよ。」
他のクラスの女子が、先生にそう言いました。
「あっ!忘れてた、そう言えば一人男子がいるって言ってたけど、どこ?」
僕は、黙って手をあげました。
「なんだ、目の前にいたの?全然気付かなかった、名前は?」
僕は立ちあがり、名前を言いました。
「背も小さいし、まだ声変りもしてないし、男子でもソプラノ大丈夫だよ。ちんちんに毛が生えると声変りしちゃうけど・・・。それまでは大丈夫!」
先生は、女子達に溶け込もうとしたのか、そんなことを言いました。女子達は、大爆笑です。
「ごめん、ごめん。ほら、みんなも笑うのやめて、こうたがすねちゃうから。」
近藤先生は、笑いながら女子達にそう言うと「こうたも男の子なんだから、いつまでもすねないの!」と付け足しました。
「今日は、初めてだから、みんなの自己紹介をしてもらおうかな。じゃぁ、こうたからみんなに自己紹介してもらおう!」
僕は、近藤先生の事がもう大嫌いになってしまいました。「おちんちんのことなんか関係ないのに何でそんなことを言うんだろう」とそう思い、ムッとしていました。そんな僕を察して、先生は僕にそう言ったのだと思います。
僕は、みんなの前に起ち、自己紹介を始めました。僕が一言一言言うたびにどうしてかわかりませんが、嘲笑が漏れました。女子の中に男子が一人という圧倒的多数を占めている女子にとって、僕はまるで見世物のようだったのかも知れません。
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うーん。始まっちゃいましたね。いひひ。どうなるのかな~?続きが、楽しみだけど、無理はしないでください。頑張ってーこうた!
2009/11/24(火) 午後 10:11 [ りょう♂ ]
「おちんちんに毛が生えるまでは大丈夫」って、そのまんまじゃないですか!これは恥ずかしい。
2009/11/24(火) 午後 11:42 [ ファン ]
更新お疲れ様です! う~ん、先生まで苛めてきそうですね。
展開が読めません!?
2009/11/25(水) 午後 9:20 [ キャスバル ]
何か大変なことになりそうな予感
楽しみ
2009/11/30(月) 午後 6:53 [ HIRO ]
りょう様、ファン様、キャスバル様、HIRO様、コメントありがとうございます。
また、近いうちに更新しますからね~。
2009/12/10(木) 午後 10:19 [ こうたこうた ]