=情報文明時代の侵略戦争の目的=
最後にトフラーは日本人に次の様に勧めている。
「・・・日米安保条約を・・・強化」(p.402)
SDIは不可欠。「・・・ミサイル防衛システム・・・弾道ミサイル防衛は『侵すべからざるもの』・・・」(p.162)。
「国民国家は、風前の灯となった幻想の主権の最後の火を守るのに躍起となっている・・・」(p.281)。”国家主権は時代遅れとなりつつある”(p.303)。”ハイテク大国は「脱主権時代」に入りつつある”(p.306)。だから日本は米国の属国になれと。
ここで少し角度を変えるが、
第3の波と共に「脱近代社会(情報文明)に不可欠な資源をめぐる最先進国間の競争」が激化する(p.395)。
「・・・脱近代経済の最重要な資源は・・・知識だ」(p.294)。
つまり、日本のような高度なマン・パワーを支配する事が、最先進情報国家同士の競争で鍵を握る。そこで、
「・・・日本は・・・5つの大国から軍事的挑戦を受ける可能性がある。第一は中国・・・第二・・・ロシア・・・第三・・・統一朝鮮・・・第四・・・インド・・・第五・・・アメリカ・・・」(p.399-400)
と脅している訳だ。これによると、世界中で戦乱が増えるほど、日本や欧州を脅す事により、そのマン・パワー=知識を支配できる。
以上をまとめると、こういう事に成る。
・ソ連が崩壊し、世界には平和が実現すると言う大きな希望が生まれた。しかし、是によりNo.1になった米国には、逆に大きな不安が生じた。農業文明国や・時代遅れの工業文明国が、情報国家である米国に戦争を仕掛けるのではないか?他の先進国=情報国家が、新しいスタイルの戦争を仕掛けて米国に取って代わるのではないか(スマート兵器で一挙に中枢をやられてしまう)?
・この為に、真面目に軍縮をやって、核兵器を無くすか・減らし、「平和の配当」を人類に与えると言う事をやらなかった訳だ。逆に軍拡をやりたいと思った。
・こうなると、実際に世界平和は実現できなくなる。No.1の米国が軍拡をやりたいのが本音では、他の国もまねをするから、どんどん戦乱の世が作られていった。
・そして、今までの工業国家・米国の侵略戦争の主目的は、途上国の安価なマン・パワー狙いだったから、主として途上国へ戦争を仕掛けた。然し、これからの情報国家・米国の主目的は、日本の様な高度なマン・パワーを更に強く支配する事に向けられている。この為に、先進国周辺で・若しくは先進国へ何かをやることが重要に成ってくる。例えば、日本の場合では、北朝鮮と日本との対立を煽るとかだ。
=駐留なき安保の提案=
このまま安保条約を続けていって大丈夫なのかと言う不安がある。安保をやめれば北朝鮮との関係も、中国との関係も良くなることは間違いない。
だが日本は小国だ。自惚れてはいけない。米国は唯一の超大国であり、米国の前では日本は「吹けば飛ぶ」様な存在だ。日本にそう大して世界を動かせる様な力はない。米国が情報国家化し、高度なマン・パワーを狙っているなら、取り敢えず世界はその方向へ流れていくだろう。日本に出来る事とは、その方向の中で、如何にサバイバルを遂げていくかだ。先ず、それが重要だ。
ここを見落とすと、単に評論家の言っている事と同じになる。どんな無責任な事でも言える訳だ。
だから、いきなり安保条約を止めるというのは危険だ。それと、今後米国に素晴らしい指導者が出る可能性はある。
米国とは、日本をある程度防衛してもらい、代わりに日本は経済力で米国の正しい政策にはある程度協力する。米軍基地は無くす。是で交渉し、「それなら安保はやめる」とか「いや米軍基地はやめない」と言うことなら、それこそが米国が完全に理性を失った証拠だから、それ以上安保を続けることは本当に危ないことになる。その場合は安保条約第10条により、「安保条約の廃棄」を通告する以外ないだろう。出来るだけ平和的に交渉し、米国の理性を信じ、「駐留なき安保」を目指すのが良いと考える。
このままの安保を続けることは、米国と一緒に世界中で殺人をして回る事になり、本当に危険である。又、「米国に飛んでいく核ミサイルを日本が打ち落とす」と言う事も、米国が初めに悪いことをやった為飛んで行くミサイルの可能性もあるし、日本が盾となることは、先ず日本を壊滅させようと言う事になり、核戦争が起これば米国は無傷で周辺国だけがやられるのだから本当に危険だ。
現在の憲法改正も、極めて危険であり、安倍政権はイラクで一体何人殺しているのか?感覚が麻痺しているのではないだろうか?これまた危険なことだ。
次に、米国の戦争の口での説明でなく、実態を描写する必要がある。また、イラク戦争も、色々な賛成論を糺す必要があるが、この問題だけでなく、他に書きたい事が急に出てきた為、しばらくお休みとする。(続く)
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