学生の予習、復習の目的でこちらのページに記載しています。
(譜例はクリックすると大きく表示されます)
因に授業は毎週月曜日の10時40分〜
通常日曜の夜又は月曜の朝にはブログアップする予定です。
前回のコード・トーン・ソロイングのパート2です。
今回はコード・トーンを使ったフレーズの作り方「7-3の法則」そして「テトラトニック」という2つのお話…
バッハという方がいらっしゃいます。1685年生まれ1750年没の方ですから300年くらい前に活躍した方です。作品数は発見されている物だけでも1000作品を超えるという、正に音楽のお父さんです。因みに作品数が多い作曲家で有名な人はバッハより少し年上のテレマンで、4000作品以上だそうです(^^汗
バッハの楽曲の中でも私が特に好きなのが無伴奏バイオリン・ソナタ&パルティータという作品です。この作品にはシングル・トーンで延々と弾きまくるまさに無窮動的な曲が多数有ります。
単音(和音が無い)なのにコード進行が聴こえてくる、ばかりか時には転調したり時にはアウト?したりするように聞こえるこの作品は、一体全体どういう風に作られているのか?…悩み…そして僕は途方に暮れました…。バッハの楽曲は全ての音が和声の為にあります。1音動くだけで景色がかわり、和声が進行するたびにメロディが呼吸してるような?不思議な感覚、あまりに自然過ぎて作曲というよりも既にある自然音列を並べている…まるでミケランジェロが大理石の中にある形を見抜いたように?
それはさておき、私がバークリー学生の頃、ボストンでお会いした素晴らしいプレーヤーは皆さん一様に素晴らしい先生たちで、英語がチンプンカンプンの私の疑問にわかりやすく答えてくれたものでした。7-3の法則はジョン・ダミアンさんというギタリストに聞いたお話で、彼曰くインプロビゼーション・オン・バッハとのこと。ビル・フリーゼルと仲の良いダミアンさんはソロギター対位法的インプロを得意としていてフリーゼル&ダミアンでよくDuoをやってました。これを練習すればバッハになれる!(かもよ?)と、目だけは笑わない笑顔で教えてくれました。
「7−3の法則」
アドリブに限らず、音楽における音の動きには文法があります。コード進行とシンクロして美しく聞こえるメロディは何らかの法則があります。とくに、クラシック音楽は「美しい音の動き」に文法を見いだしそれに乗っ取ってあるいはそれを敢えて破壊する事によって無数の名曲?を生んできました。たった12音しか無いのにすごいですよね!?
Ex.1 まずコード進行を流しながら適当にメロディを思い浮かべて歌ってみてください。
ミケランジェロが大理石の中にダビデ像を見出したように、コード進行の中からいいメロディを産み出すことができるでしょうか?
次は今度はコード・トーンの3度の音だけ歌って見ましょう。どこかで聞いた事のあるメロディに聞こえませんか?
Ex.2コードを弾きながら3度を歌う(練習)
Ex.2の様にコードの3度の音はとても「歌いやすい音」とされていて、世の中の歌には3度がいっぱいです!これを利用して必ずコードの最初の音に3度を持ってくる様にします。7thコードには4つの音(1、3、5、7)がありますので4分音符でならべると4拍子になります。
(3、1、5、7)
(3、1、7、5)
(3、5、1、7)
(3、5、7、1)
(3、7、1、5)
(3、7、5、1)
と、言った具合に3度からはじめて4つのコード・トーンを並べると6種類の音型ができます。どのように並べてもいいのですが、推奨する音型が2つあるのです、それは(3、1、5、7)(3、5、1、7)です。
これらは3度で始まり7度で終わる、私はこれを「7−3の法則」と呼んでレッスンで時折やっています。ただ無心で3157.3157.3157…とコード進行を見ながら弾いて行くだけです。(ただし4度進行の上で…)
Ex.3コードが4度進行する場合、7度はかならず次の3度におりていく(解決する)様に動きます。(音符上の数字はコードトーンの度数)小節の最後の音と次の音に注目してください。
一度ピアノでもなんでもいいですからゆっくり上の譜面を弾いてみてください。コードがなっていなくても進行が聞こえてくると思います。どうですか?バッハに聞こえますか?
「テトラ・トニック・スケール」
4つの音を使ってコード進行を連結して行く事によってメロディ(アドリブライン)を作って行きます。このテクニックはBeBop時代に流行った?テクニックで、ジャイアント・ステップスに代表される、コードがめまぐるしく変わって行く(2拍ずつ)タイプの曲によく使われるテクニックです。先程の7-3の法則は4度進行の時に威力を発揮しますが、テトラ・トニックはコード進行を選びません。ランダムな方がいいくらいかも?
コード・タイプ別テトラ・トニック・スケール
4つの音なので7thコードと同じ、又はトライアドに9thが入ったコード、のように解釈されがちですがメロディックなモチーフを作るのに長けていてスケールと呼ばれています。いろんな状況で役に立つテクニックです。
実際にはこんな感じで使われます。
7thコードと同じく順番を入れ替えてもいいです。
オプションとしてこんな4音も使えます。
ドミナント7thの場合はこれも使えます。
そして、クロマチックも・・・これはBebBopスケールと呼ばれ、つながりをスムースにするためによく使われるフレーズです。
上記の譜例は厳密に言えばテトラトニックでは無いのですが、コルトレーンに代表されるBeBopのプレーヤー達がよく使う常套句です。アプローチノートともまた違ったキャラクターで、4つの音で7thコードの特徴を表したフレーズと言えるでしょう。
それではコード・トーンとテトラ・トニックと
サブⅤのロジックを使ってフレーズを考えてみましょう。
[|:C|A7|Dm7|G7:|]
というコード進行を
サブVを使って、
[|:C Bb7|A7 Eb7|Dm7 Ab7|G7 Db7:|]
と、いうふうに、リハモナイズします。
そしてリハモナイズしたコード進行に対して
コード・トーン・ソロやテトラ・トニックを
あてはめて行きます。
1625の循環コード進行
1625をsubVをつかってリハモしたもの。
そして、いよいよ来週は2拍ずつコードが動くBeBopのシンボルとも呼べる「リズム・チェンジ」と呼ばれるコード進行に挑戦して行くのです。
お知らせ!
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