2013年04月10日

ギャンブルと利権 ②

1.公営ギャンブルは全て利権の世界である。前回、宝くじの販売委任の再委託をめぐる「利権と闇」を紹介した。しかし、利権というなら各ギャンブルの監督省庁に関わる利権をまず紹介すべきであった。以下のとおりである。
ギャンブル 根拠法(施行年) 監督省庁(現在)
1 競  馬 競馬法(1948・S23) 農林水産省
2 競  輪 自転車競技法(1948・S23) 経済産業省
3 競  艇 モーターボート競艇法(1951・S26) 国土交通省
4 オートレース 小型自動車競走法(1950・S25) 経済産業省
5 宝 く じ 当せん金付証票法(1948・S23) 総務省
6 サッカーくじ スポーツ振興投票法(1998・H10) 文部科学省
7 パチンコ・スロット 風適法(1948・S23) 警察庁
  1~6は法律により明確に認められたギャンブル(富くじ)である。7のパチスロは、本来公認ギャンブルではないが、「三店方式」という換金により今や全国12000箇所に及ぶ小カジノ場で20兆円を売り上げる事実上最大のギャンブルである。まずこれらの省庁に利権がある。

2.今回は、競馬をみる。農水省所管の競馬は政府の「収益事業」として最も古い歴史を持つ。
競馬は、英国の「近代競馬」スポーツが日本で「軍事」目的の手段となり、公認「競馬」(旧法)となっていたところ、敗戦後「軍事資源保護法」は失効したのだった。
  そして戦後の競馬には「中央競馬」と「地方競馬」が設けられた。地方競馬は地方自治体の公営、中央競馬は半公営(JRA=日本中央競馬会)で、いずれも「官」により独占される「利権領域」である。
中央競馬は、売上から配当を除いた売得金の10%は第一次国庫納付金となり、約15%は賞金、競馬場の維持、人件費、その他経費となる。その後、残余の50%は第二次国庫納付金となる。国庫納付金の4分の3は「畜産業振興」、4分の1が「民間社会福祉事業振興」への経費となる。国庫納付金は一次二次併せて4000億円弱という。
一方「地方競馬」は、地方財政への寄与が目的となる。国庫納付金がない代わりに「地方競馬協会」に売得金に応じて第一次交付金約1%が納付され、これが馬の改良増殖、畜産振興用となる。また、売得金の0.4%が同協会に納付され、競馬開催関連業務費用となる。なお、開催権のない自治体の収益均等化のため公営企業金融公庫へ売得金から10億円を控除した1.2%が納付され、地方債の利息軽減に使われるという。農水省は国内競走馬生産農家保護の為、外国産馬を規制してきた。
  中央競馬(東京、京都、中山、阪神、外10箇所(内地方競馬併用2箇所))、地方競馬(24箇所)があったが、中央競馬の売上は3兆円、地方競馬は1兆円にも達せず、赤字転落して廃止した例もある。現在も地方競馬は収益性が弱く、存続の危機にある。中央競馬にしても売上の上昇の下、JRAの利権による配分も増えているが、その配分が競馬場、調教施設、賞金、調教師、騎手、厩務員らの人件費、馬の生産関係者らにいく。しかし、そこまで知る競馬ファンはないだろう。
  そして、中央競馬主催者の発表データが専門紙、スポーツ紙で詳しく報じられ、これらのデータで予想可能と錯覚させる「作戦」で、世界一の競馬売上を果たしているのである。「WINS」という場外馬券売場も含め、日本の競馬はスポーツ性、レジャー性よりも賭博中心であり、その内部には闇の利権領域が拡がっている。                       (つづく)
~~橋下らカジノ誘致発言集~~
・(2010.10.29読売)東京「ギャンブリング・ゲーミング業界」総会 橋下発言
「日本はギャンブルを遠ざけ、お坊ちゃま、お嬢ちゃまの国になっている。ちっちゃい頃からギャンブルを積み重ね、勝負師にならないと世界に勝てない」「増税の前にカジノ。兵庫や京都の知事がダメと言っても関係ない。エンターテインメントや猥雑なものは全部大阪が引き受ける」
・(2012.3.18日本インタービュ新聞)2.28、橋下市長は香港のカジノ会社のホーGCOに対し、「任期中に誘致への道筋をつけたい」立地場所も言及
・(2013.1.11デイリースポーツ)大阪のホテルにて、橋下市長は安倍首相に補正予算の早期成立への協力のバーターとしてカジノ誘致を提示(松井知事も同席)。カジノは「大阪成長戦略の起爆剤」で「思い切ってはっきりいった」
・(2013.1.26毎日)橋下氏は日本維新の会として「カジノ合法化法案を2月28日召集の通常国会に提出する。13年度予算に300万円の調査費用を計上する案。来年度には事業者に具体的プランを出させてほしい」と発破
・(2013.1.28)1.26の橋下発言を受け、カジノ関連株上昇
  ユニバーサルエンターテイメント、セガサミーホールディングス(パチスロ機大手)、日本金銭機械(パチスロ系貨幣処理会社)、オーイズミ(パチンコホール向け自動サービス機)、フジ・メディア・ホールディングス(東京お台場立地)
・(2013.1.31カジノ新聞)1.29、松井知事が在関西総領事に対し、カジノ法案を提出方針で「同志議員を通じ早期の法改正に向け政権党にしっかり提言していきたい」と強調
・(2013.3.5)橋下市長「国にお願いしたがなかなか動かない。日本維新にカジノ法案の提出を指示したので、他党との法案提出に向けて国会で頑張ってもらいたい」
posted by inoue at 00:00| Comment(0) | 会報11号 | 更新情報をチェックする
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