政府は200以上のベッド(病床)がある病院を対象に紹介状がない患者が受診した際に一定額を上乗せする制度を導入する方針だ。患者が3割の窓口負担とは別に5千円以上を負担する現行制度に数千円を上乗せし、公的医療保険の給付を減らす仕組みを設ける。
高齢者の増加や医療の高度化で医療費は増え続け、世代間の不公平感がある。定額負担の導入で医療保険の支出の伸びを抑える。患者側は追加の負担をしても設備が整った大きな病院を選ぶのか判断を迫られる。
現在も病床400以上の420病院を対象に、紹介状を持たずに受診した患者に特別料金を求めている。原則3割という定率の窓口負担に加えて初診で5千円以上、再診で2500円以上だ。病院が法定の診療報酬とは別に上乗せ分として受け取っている。
いわゆる大病院の対象を400床以上から200床以上に広げる。大病院を受診した患者はさらに1千~3千円程度の支払いをしなければならなくなる。この加算された額は病院に回らず、公的医療保険に充てる。
紹介状のない大病院に行く際には今までよりもお金がかかるため、軽症患者はまず中小病院や診療所の「かかりつけ医」を訪れる可能性がある。大病院が救急や重病患者を優先できる体制をつくりやすくなる。
政府の全世代型社会保障検討会議(議長・安倍晋三首相)が19日にもまとめる中間報告に盛り込む。医療改革は年齢に関わらない「応能負担」を記す。
受診時定額負担は紹介状なしの大病院に限定する。すべての病院で一律に100円などを負担する制度は見送り、検討課題にする。
75歳以上の後期高齢者の窓口負担は2022年度から一定額以上の所得がある人に限って2割にする。
現行制度で外来診療の窓口負担は原則1割で、現役世代並みの所得者は3割に設定している。このうち一定額以上の所得がある人は1割から2割に引き上げる。2割と3割の負担になる人は合計しても全体の半分以下にする。