学生の予習、復習の目的でこちらのページに記載しています。
How to improvise とはどんなクラスか?
アドリブをどうやってやるのか?
又はアドリブがどうやったら上手くなるのか?
という疑問に答える?というよりも、
アドリブには
こんな考え方が…
こんな練習方が…
「有るよ」
といったようなアドリブに関する情報の「カタログ」
というイメージで授業計画を作りました。
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今回は始めに、
"3 Elements of phrases"
フレーズの3つの要素
からお話しします。
アドリブ・フレーズという料理を作るための材料です。
この場合のアドリブ・フレーズとは、
1940年代に隆盛を極めた、
ビバップという音楽の中に見られるフレーズです。
ビバップのフレーズはどうやって作られているか?
といった内容です。
ちなみに・・・
ジャズのアドリブとは、
「リズムとハーモニーを訓練した奏者が、それらを利用して、即興で作る楽曲」
という様な定義が出来ますが、
リズムを排して音使いだけで見た場合、
3つの時代的特徴が見られると思います。
チャーリー・パーカー以前(デキシー、スイング)
チャーリー・パーカーの時代(ビバップ、ハードバップ)
ポスト・チャーリー・パーカー(コンテンポラリージャズ)
と、いうように。
コードトーン中心で「ピコピコ」した感じのアドリブが中心だった
コードトーンとアプローチノートとスケールという
3つの要素を使ってメロディラインを組み立てていた・・・
「クネクネ」という要素が加わって今のジャズソロの原型が整った。
コードトーンとアプローチノートとスケール、
そしてハイブリッドという新たな理論、
「不思議な」メロディ要素が加わって、現在のジャズスタイルになっている。
これは僕の個人的見解なので悪しからず・・・
そしてこれからお話しするのは、
ジャズフレージングの基礎=ビバップ時代の、
「コードトーン」と「アプローチノート」と「スケール」の3つの要素を、
それぞれ「分けて」練習すると良いよ!
というお話です。
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まずはコードトーンを使ったアドリブの仕方!
Chord Tone Soloing
です。
コードトーンとは
コードを構成する音達です。
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トライアドは3声の和音で次の4種類を使います。
1.3.5(Major)
1.b3.5(minor)
1.3.#5(Augmented)
1.b3.b5(Diminished)
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7thコードは4声の和音で次の5種類を使います。
1.3.5.M7(Major7)
1.3.5.b7(Dominant7)
1.b3.5.b7(minor7)
1.b3.b5.b7(minor7b5)
1.b3.b5.bb7(Diminished)
上記の
トライアド(4種類)
7thコード(5種類)
を覚えればジャズに出てくる、だいたいのコード進行に対応できます。
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「コードトーンソロイング」と言うのは、
コードのサウンドを和音ではなくシングルノートで、
「メロディ」として使用する、
アドリブの為のテクニック、又はそれの練習法というふうに定義します。
アドリブと言うのは自由に音を選別し、
それによってメロディを創作して、
リズムと言う「流れに」次から次へと乗っけてく・・・
それが、楽しい!
というものなのですが、
この「コードトーンソロイング」という練習法は、
「使う音を限定する」といった手法です。
すなわち、アドリブから「音の選別の自由」を奪うのですね。
これによって演奏者の技術の次の2点を鍛える事になります。
1.自分の楽器の中にあるコードの「位置」を覚える。
2.リズムの創作に集中して練習する事が出来る(しなくてはならない)
という2点です。
使う音を限定してそれ以外の要素(リズム)を自由に創作する、
これはアドリブの訓練には有効な手段と言えます。
非常にシンプルな練習法ですが、多くの事を学べると思います。
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それでは実際の例を見てください。
初歩の初歩は、
ルートだけで良いんです。
ルートのみ!
このルートのみの練習は後々、
アプローチノートテクニックを連取するときに、
大変有用な練習です。
そして音を増やしていくのです。
トライアド(1、3、5)
7thコード(1、3、5、7)
上の例を見て解る事は、メロディを作る為には、
どんな音を使用するかではなく、どんなリズムで演奏するか、
という事がいかに重要か?
コード・トーンを使うだけでは魅力的なメロディーにはなりません。
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コード・トーン・ソロイングを練習するにあたって大切な事は
・コード・トーンを自分の楽器を使って覚える
・コード進行に沿ってインテンポで演奏できる事を目標に置く
・リズミッックなアイデアを使うよう心がける
・頭でコントロールする
・先読みの癖つける・・・
(次ぎにくるコードを想定し今のいる位置からスムーズにつなぐ事を心がけ、
そしてそれを習慣化するように訓練する)
など、練習するときに以上のような事を心がけると良いでしょう。
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リズミックなアイデアを得る為に既成の曲のリズムをモチーフにするのも良いでしょう。
たとえば
ビリーズバウンスをモチーフに・・・
コンファーメーションをモチーフに・・・
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ビリーズバウンスとコンファーメーションは
両方ともチャーリー・パーカーの曲です。
チャーリー・パーカー
(Charles Parker Jr, 、1920年8月29日 - 1955年3月12日)は、
ジャズのアルトサックス奏者。
彼はジャズのレジェンドで、天才サックス奏者ですが、
僕は彼の「作曲家」としての才能に今も圧倒され続けています。
作曲家チャーリーパーカーについてはこちらを参照してください。
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彼の曲をリズムのモチーフの例に使ったのには理由があります。
それは・・・
パーカーのメロディにはジャズの(ビバップの)
2代要素であるハーモニーとリズムが入ってるからです。
単旋律にも関わらずドラムとピアノが両方聞こえてきます。
これはジャズの歴史上極めて重要な事で、
チャーリーパーカーが持っていた、
特殊な「リズム感」と「ハーモニー感覚」が、
その後の「音楽を替えた!」といっても過言では無いと、
思うのです。
彼が活躍する以前の1930年代、スイングジャズと言われていた時代、
メロディは単純な繰り返し(リフと言われていた)の曲が多く、
コード進行とのシンクロ度合いもそんなに多く在りませんでした。
メロディはメロディ、伴奏は伴奏と言う風に・・・
そしてメロディの中にアクセントが少なく、メロディの間の手のような感じで
リズムセクションやブラスセクションが裏にアクセントを入れる、
といった分業になっていたのです。
1920年代のBix Beiderbecke
の頃のアドリブはベーシックな分散和音と装飾音(コブシ)が主な要素でした。
リズムものんびり、というか今思うと分かりやすい2ビートが中心です。
1930年代のBenny Goodman
の頃になるとリズムのスピード感もさることながら、
コード・トーンをもろ利用した大変華やかなメロディラインが目立ちます。
スイングの頃のミュージシャン達は大変テクニシャンが多く、
早いパッセージがアドリブにでてくる「速弾き」の元祖?
見たいな音楽ですね・・・?
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そういったスイング・ジャズをビバップに発展させていったのが、
チャーリーパーカーを中心としたビバップ世代のミュージシャン達。
単旋律のホーンのメロディの中にビートとアクセントとコード進行を、
同時に表現して行く手法を創造して行きました。
その、リズム&ハーモニーの一体型ジャズ・ムーブメントが
後にBe-Bopと言われるスタイルの元になって行った・・・
これは本当に革命的で、バンドの中の全員がリズムの表現者になって、
一丸となってそれを操る!!
強力なリズムの洪水ですね。
そして、彼らは
より複雑なハーモニー、
より複雑なリズムを
高度なテクニックで、
コントロールする術を身につけて行った。
それまでは踊りの伴奏だったジャズが、そのリズムとハーモニーを
理解しないと踊れない、聞けない、楽しめない!!
なんて、芸術的なんでしょう!(;^_^A
パーカーはタップダンスが大好きで、街角で踊ってる
タップダンサーのビリーを見てビリーズ・バウンスを思いついた、
と、なんかで読んだことがあります。
とまあ、かなりうんちくになってしまいましたが、
ビバップの要素であるハーモニーとリズムの融合の話は次回に続く・・・
これを作った人は暇なのかな?(失礼)