子どもには子どもの食べたいハンバーグやたこ焼きなどのメニューを、女子高生には女子高生が食べたいデザートメニューを、そしてラーメンが食べたい男性にはラーメンを、という感じです。だから家族で「今日は回転寿司に行こう」と言っても、誰も反対しません。店にいけば、寿司だけでなく、何かしら自分が食べたいメニューがあるからです。

 以前はファミレスで午後の時間をつぶしていた高校生が、グループで回転寿司に出かけ、デザートとドリンクで暇つぶしをするという光景も日常的になっています。

 いきなり!ステーキには俺のフレンチのように、値上げによる生き残りは無理でしょう。だとしたら、今お店に残っている「前年比で60%に相当する既存客」をキープしながら、客数を増加させたいところです。方向性としては、今のメニュー構成でもいいから、客単価が低い顧客を上乗せすべきだと私には思えます。

排除してきた顧客を
いかに取り戻せるか

 残念なことに、いくら社長が「お客様のご来店が減少しております。このままではお近くの店を閉めることになります」と訴えても、今のメニュー構成では私を含め、これまでいきなり!ステーキが排除してきた顧客には、そのメッセージが伝わらないでしょう。

 日本人口のボリュームゾーンである団塊ジュニアですら50代に突入しているのが、日本社会の現状です。がっつりとステーキを食べる顧客層だけを相手に商売を続けても、しょせん400店舗の維持は無理なのではないでしょうか。

(百年コンサルティング代表 鈴木貴博)