《写真は、上から、原発事故から一年。3㌔圏内の撮影が許され、凄惨な現場が依然広がっている。事故報告書が発表され、当時の菅前首相の人災ぶりなどが明らかになった。NHK、テレビ朝日などより》
元検事、弁護士、新聞記者ら民間の有識者でつくる「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調査委員会)」が一年前の東日本大震災の事故報告書を公表した。東日本大震災は1000年に一度という未曾有の大地震、大津波の自然災害に見舞われ2万人(死者15854人、行方不明者3276人)近い犠牲者を出す大災害となった。これに、起きてはならない起こしてはならない福島原発事故が加わった。昔から日本人は自然災害は、誰のせいでもなく「しょうがない」と考え、これまでも多数の自然災害(例えば昭和34年の伊勢湾台風では死者行方不明者7500人、被災者数150万人以上など)を乗り越えてきた。しかし、安全神話に首までひたっていた政府、東電などの慢心が落とし穴となった原発事故は、報告書によると「稚拙で泥縄的な危機管理」が招いたと政府、東電の初動対応のまずさによる人災だったことを明らかにした。特に、当時の菅首は政府を挙げて陣頭に立ち危機管理を行うべきところ、官房長官の助言を無視して、最高司令官たる危機管理本部長の総理が現場へ出掛けてしまった。この時、わが国は操縦士を失ったダッチロール状態の危機に陥るなど明らかに菅前首相の失政で「菅災」であることが判明した。起きてしまったことは致し方ないが、その後の対応対策が余りにもお粗末だった。わが国の危機管理はこの程度かと、身も凍る思いをしたのは私だけだろうか。お粗末ぶりを例に挙げる。まず、現場にのこのこと出掛けてしまった菅首相自ら「冷却バッテリーの大きさは、縦横何メートルか」「爆発しないって言ったじゃないですか」「なぜ(炉内のガスを抜く)ベントをやらないのか」など、一人でパニック状態になっていた。米国の専門家は「大統領は、そんな細かいことはしない」と、菅首相の混乱ぶりを指摘した。また、放射性物質拡散予測システム「SPEEDI」の存在すら官邸中枢が知らず宝の持ち腐れだったことが判明するなど、開いた口がふさがらない政府の稚拙ぶり。さらに、「悪魔の連鎖」の恐怖で、メルトダウンが起きているのにもかかわらず「人体に影響及ぼすほどではない。心配ない」などとウソの発表をした官房長官。それを垂れ流しにしたマスメディアなど、官邸災害、官僚災害、マスコミ災害が複合した典型的な人災だった。もちろん第一義的には、東電の組織的怠慢もあるが、平和ぼけしたわが国の危機管理を見直さないと「愚策は亡国につながる」という。東日本大震災を機に、今一度、国家の危機管理を再検証すべきではないか。そんな思いがした民間事故調の報告書だった。
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