小・中と義務教育を経て、多くの子は高校、大学又は専門学校へと進んでいくと思うのですが、身体も心も大人になるにつれて 自分が将来 就きたい職業や やりたい事、学びたいものが明確でない若者が大半なのではないでしょうか。
私自身、小・中・高・専と何気なく進んでいき 恥ずかしながら将来のことなんて全くと言ってよいほど考えていませんでした。
しかし、とりあえずで過ごしてきた中でアルバイトの経験というのは、後の自分の仕事や生活、精神面においても凄く貴重なものとなり 存分に活かされていたのです。
そこで今回は『将来が不安、進路が分からない学生に向けてアルバイトを勧める理由』を自身の経験談や実際にあった相談内容を交えて、まとめてみようと思います。
将来を不安視する若者が多い
義務教育が終わりを迎えるころ、つまりは高校受験の段階から将来を考えて自分の進むべき道を選ばなくてはなりません。
しかし、思春期真っただ中の子供に『はるか先の未来の自分を予想して決めろ』と言われても、不安で堪らないのは当たり前だと思います。
医者や教員、公務員や専門職に就きたいと明確に夢を語れる子は進む道が ある程度 決まっているのでスムーズに選択 出来るでしょうが、『将来のことなんかよりも今 目の前にある物事で一杯一杯なんだ』と感じている人の方が多いのではないでしょうか。
この問題は非常に難しく、過去の相談の中でも『自分の進路が分からない』で悩んでいた学生が非常に多かったのです。
なにがしたいのかも分からない。なんの為に勉強しているのかすら分からない。
とりあえず、自分の知能に合った高校や大学を受けて、受かれば御の字。
という風にとりあえずで進んでいく若者が多いという現状です。
しかし、中には そのとりあえずが原因で せっかく必死で勉強して受かった高校や大学を中退する子も多いのです。
原因は様々で、勉強についていけない。学校に馴染めない。周りとの温度差。目標を見失わず やる気に満ち溢れている人と自身を比べてしまい、将来に絶望してしまう若者が後を絶ちません。
実例:A君の場合 ~アルバイト経験なし~
中学までは部活に勉強に熱心に取り組み、凄く明るく活発な男の子でした。
そして、高校受験の時に 自分の知能が存分に発揮され 県内でも指折りの進学校に見事 合格。この時までは自分は高校に入って 新しい自分の形と進路を見出そうとワクワクしていました。
ところが、いざ高校に進学すると 勉強、勉強の毎日で楽しかったはずの勉強が いつしか勉強という名の呪縛によって気持ちが病んでしまい、やる気を失い とうとう 周りについていけない状態にまで陥り留年ギリギリの成績となってしまいました。
『学校を辞めたい。自分の本当にやりたかった事はこんなことでは無かった。』と酷く嘆いていました。
しかし、親御さんの必死の説得が実り 無事に卒業。国公立大学に進学することも出来ました。
実例:B君の場合~アルバイト経験 大学1年生~
中学、高校を何気なく過ごし、無事に国公立大学へ進学したB君。
大学生活を満喫しながら、サークル活動も何個も掛け持ちしては人との交流を楽しみ 充実した日々を送っていました。
しかし時が経つのは意外と早く、大学3年生になり ボチボチ就職活動が始まった矢先、ふと空虚感に苛まれました。
『自分は一体、これからどうなるんだろう。』
彼もまた、自分がなにをしたいのかが分からなくなった内の1人でした。どんどん内定が決まっていく友人達を横目に 焦りと不安を募らせ彼はずっと自身と葛藤の毎日を過ごしていました。
それを見かねた親御さんからは『公務員ゼミに通って公務員になれ。』としつこく勧められていたのですが、結局 やる気が起きず とうとう4年生となり、卒論と就活で四苦八苦しながらも ずっと悩んでいました。
無事に卒業は出来たのですが、とりあえずな気持ちのまま 一般企業に就職。
大学進学を希望する若者が急増中
昭和~平成~令和と時代が移り変わっていく中で、若者の大学進学率も徐々に上がってきています。
平成初期の頃くらいまで中卒・高卒での就職という若者が結構多かったと記憶していますが、確かに最近の高校生は学校が終われば塾へと向かい大学入試の為の勉強をしているという印象です。
では、なぜ大学進学率が上昇傾向にあるのでしょうか。
下記記事をご覧下さい。
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ここに記してあります内容で興味深い点がこちらです。
【1.大学のユニバーサル化】
2009年度、四年制大学への進学率が初めて50%を超えました。これは、望めば必ずどこかの大学に入学できてしまう「大学全入時代」「大学のユニバーサル化」と呼ばれている現象です。これまで、そのメリットやデメリットについて、多くの議論がなされてきました。例えば、メリットとして、多くの若者に高等教育を受ける機会を与えられるようになったことが挙げられます。その一方、デメリットとして、学力や背景の多様化によって教育活動が困難になること、学習に対するモチベーションが低い学生が増加することなどが指摘されています。今後、ユニバーサル化に合わせた大学教育のあり方についての議論が、さらに活発化することが予想されます。
・望めば必ずどこかの大学に
入学できてしまう。
・学習に対するモチベーションが
低い学生が増加する。
この2点から感じる事は、上記で綴りました『とりあえず』が充分に当てはまると思うのです。
新学卒~早期離職の実態
無事に高校や大学を卒業、就職したのですが 入ってみてガッカリ。
仕事内容が期待外れ、給料面が不満、人間関係が上手くいかない、上司によるパワハラ、明らかなブラック企業等 原因は様々でしょうが 入社3年以内に3割の若者が離職してしまうという現状です。
下記記事をご覧下さい。
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その中でも注目していただきたいグラフがこちらです。
平成 元年 |
平成 5年 |
平成 10年 |
平成 15年 |
平成 20年 |
平成 25年 |
|
中学卒 | 65.7 | 66.7 | 70.8 | 70.3 | 64.7 | 63.7 |
高校卒 | 47.2 | 40.3 | 46.8 | 49.3 | 37.6 | 40.9 |
短大卒 | 39.6 | 33.7 | 39.0 | 43.5 | 40.2 | 41.7 |
大学卒 | 27.6 | 24.3 | 32.0 | 35.8 | 30.0 | 31.9 |
表:学歴別卒業後3年以内離職率(%)の推移(厚生労働省発表を一部抜粋)
平成元年から見ていきますと、中・高卒の離職率は減少傾向にありまずが、短大・大卒の離職率は上昇傾向にあることが分かりました。
このグラフから分かることは、中・高卒者と短大・大卒者では働く上での熱量(やる気)に差があること。
そして圧倒的な経験値の差があるということです。
中・高卒の若者のスキルは進学しないということで一旦、ストップし そこから次の段階へ移行し新たにスキルを習得していかなければならないといった流れになるので、経済的な面も含めて叩き上げ根性が身に付きます。
一方で、短大・大卒の若者は教育や知識は立派に身に付いているものの、叩かれないままに いきなりの社会進出という環境の変化に馴染めず 精神的にも肉体的にも負担がきてしまい、挫折や絶望を感じてしまう人が多いのです。
アルバイトを勧める理由
上記のまとめとして、将来を不安視する若者に早いうちからのアルバイトを勧める理由~メリットをご紹介します。
アルバイトをしない若者が多い!?
ここ10年の間に沢山の高校生や大学生と接してきましたが、アルバイトをしていない学生が明らかに増えてきたのです。
理由も様々、学校の校則で禁止されているから(高校生の場合)、塾に通っているから、サークル活動が忙しいから、お金に困っていないから等。
ただでさえ、色んな職種や企業(特に飲食業やサービス業)が人手不足と嘆いているにも関わらず 義務教育でない学校側が校則で禁止にしていることにも疑問に思うのですが、それよりも何よりも働かなくてもよい環境を周りの大人が作りすぎているのではないかと思うのです。
とんでもない金額のお小遣いを与えてみたり、欲しいものを躊躇なくポンポン買い与えてみたり、贅沢をさせてはいないでしょうか。
私は高校に入学して すぐにアルバイトを始めました。
なぜかといいますと、両親から『携帯代や自分の欲しいものは自分で稼いで買え』と世に放たれたからです。(少し大袈裟ですが)
その当時の最低賃金¥607/hでしたが、高校に通いながら必死にバイトして自分の遊び賃は自分で賄っていました。
初めて自分の口座を作り、初めて自分自身で稼いだお金を手にした瞬間の興奮と喜びは未だに忘れられず、鮮明に覚えています。
その経験は後に凄く大きな力となって、大いに役立っています。
アルバイトをするメリット
・自分でお金を稼ぐ苦労と喜びを知る
・学校では学べない 社会での
上下関係を学ぶ
・計画性を持つことの大切さを知る
・責任感や集中力が備わり、
自信が持てるようになる
・色んな職種の裏側を知ることで
視野が広がる
・コミュニケーション能力が上がる
・人脈が広がり、後に自分の支えとなる
アルバイトをする事で、自分のやりたい事や得意分野が明確になり 目標や可能性も膨らみます。
おわりに
可愛い子には旅をさせよという言葉がありますが、勉強は勿論 大事なのですが 早いうちからアルバイトをさせるというのも立派な社会勉強となり、今後の人生において きっと役に立つと思うのです。
しかし、中には教育的に宜しくない危険な仕事も数多くあるので16歳~成人までは親の監視下の元 慎重に吟味しなくてはなりません。
アルバイトで少ない お給料だったとしても、 自分の口座に自分で稼いだお金が振り込まれるという喜びをもっと多くの若者に味わって欲しいと願いつつ、この記事のまとめとさせていただきます。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。