無洗米「SAKURA RICE」世界に 業務向けで高評価 全農子会社
2019年12月12日
哲平食堂の海鮮丼を紹介するタン代表と、サクラライス(シンガポールで)
農畜産物を輸出するJA全農の子会社、JA全農インターナショナルは、業務需要に開発したブレンドの無洗米「SAKURA RICE」(サクラライス)の輸出に乗り出した。世界で日本食の注目が高まる中、業務用を開拓、輸出拡大を狙う。日本産や無洗米による調理作業の効率化が売り。日本食店が多くあるシンガポールで今年から、複数のチェーン店が同ブランドの扱いを始め、手応えを得ている。
これまで同社の輸出米は家庭用主体だったが、業務需要に応えるブランドとして「サクラライス」を企画した。同社によると①国産のブランド価値②品質③無洗米による作業性の効率化──を売りに営業している。品質が一定化し、多くの用途に使えるようにブレンド米とした。東南アジア数カ国で販売している。
シンガポールの海鮮丼チェーン店「哲平食堂」では、現地法人の全農インターナショナルアジアの提案を受け、全7店舗で10月からサクラライスを使う。量は毎月約1トン。山下哲平オーナーシェフは「粒がしっかりして時間がたっても冷えてもおいしい」と強調する。山下シェフが展開するうなぎの専門店など、他店舗でも今後使っていく予定だ。
哲平食堂のフランチャイズを手掛けるYCPダイニングシンガポールのショーン・タン代表は「在住日本人も当地の客も満足している。無洗米は店員の作業が楽で、現地で手に入れにくいので助かる」と評価する。
シンガポールでは哲平食堂の他、日本式の焼き肉レストラン「牛角」9店舗でも、サクラライスの使用が始まった。
全農インターナショナルは「米の輸出を増やすには業務需要を取り込むことが有効。全農のルートを生かし、青果など他品目とセットで販売拡大も期待できる」とサクラライスを起爆剤に、輸出拡大につなげる考えだ。
これまで同社の輸出米は家庭用主体だったが、業務需要に応えるブランドとして「サクラライス」を企画した。同社によると①国産のブランド価値②品質③無洗米による作業性の効率化──を売りに営業している。品質が一定化し、多くの用途に使えるようにブレンド米とした。東南アジア数カ国で販売している。
シンガポールの海鮮丼チェーン店「哲平食堂」では、現地法人の全農インターナショナルアジアの提案を受け、全7店舗で10月からサクラライスを使う。量は毎月約1トン。山下哲平オーナーシェフは「粒がしっかりして時間がたっても冷えてもおいしい」と強調する。山下シェフが展開するうなぎの専門店など、他店舗でも今後使っていく予定だ。
哲平食堂のフランチャイズを手掛けるYCPダイニングシンガポールのショーン・タン代表は「在住日本人も当地の客も満足している。無洗米は店員の作業が楽で、現地で手に入れにくいので助かる」と評価する。
シンガポールでは哲平食堂の他、日本式の焼き肉レストラン「牛角」9店舗でも、サクラライスの使用が始まった。
全農インターナショナルは「米の輸出を増やすには業務需要を取り込むことが有効。全農のルートを生かし、青果など他品目とセットで販売拡大も期待できる」とサクラライスを起爆剤に、輸出拡大につなげる考えだ。
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農村政策の再構築 農水省は司令塔役 担え
農山村を支援する研究者や実務家らでつくるNPO法人中山間地域フォーラムが、新たな食料・農業・農村基本計画への提言を農水省に提出した。農村の振興には生産面、生活面などの政策を総合的に推進する必要があるとして、同省に政府全体の司令塔となるよう提起した。その本気度が問われている。
提言は「総合的な農村政策の再構築を!」との名称だ。農村政策として農水省は、中山間地域直接支払いなどを実施。それらは、農業の多面的機能を発揮するために農地や水路、農道などを維持する資源管理政策になっていると分析した。しかし、中山間地域を中心に活動を担う農家や住民らが減少している。
そこで提言は、農業経営が成り立ち地域社会が持続してこそ同機能は発揮されると指摘。農村、特に中山間地域の今後の姿として①地域特性ごとに、どんな農業経営や農業と他の仕事との組み合わせで経営体として生き残れるか②移住者や農家以外の人と共に、地域経済と持続可能なコミュニティーをどうやって維持できるか――ビジョンを示すよう農水省に求めた。その上で、生きがいを持って仕事を続け、必要な所得を得て、安心して住み続けられるようにする総合的な政策の構想と体系化、府省の連携促進を訴えている。
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各府省が農村政策に取り組むが、施策が「バラバラに行われている」(提言)。生活サービスや地域活動の場を小学校区などを単位にまとめ暮らしを支える小さな拠点や、住民を中心に地域の課題解決に取り組む地域運営組織、過疎地などに都会から移住して地域活性化に携わる地域おこし協力隊など他府省の施策も、農業・農村振興の観点での再編成が必要だろう。
食料・農業・農村基本法は、「農村の総合的な振興」のために農業生産の基盤と生活環境の整備などを総合的に推進するよう国が必要な施策を講ずると定める。そして農水省設置法で総合的な政策の企画・立案・推進を同省の役割と規定。提言は、同省に「リーダーシップを発揮し、積極的な役割をはたすべき」とし、その姿勢を基本計画で明らかにするよう迫る。
農水省は、まず農村の実態把握と分析で政府内でのリーダーシップを取ると表明している。しかし農村振興は待ったなし。府省横断での政策立案や、現場での使い勝手をよくする仕組み作りまで踏み込むよう求める。
基本計画は閣議決定し政府全体の方針になる。今国会で農林水産物・食品輸出促進法が成立し、政府の司令塔組織を農水省に創設する。農村政策でもその役割を同計画に明記すべきだ。
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2019年12月11日
今年は俳聖・松尾芭蕉がみちのく・東北へ旅立ってから330年
今年は俳聖・松尾芭蕉がみちのく・東北へ旅立ってから330年。紀行文『おくのほそ道』で珠玉の句を残す▼東京の出光美術館で開かれた特別展「奥の細道330年 芭蕉」を見て驚いた。最晩年に旅の情景を描いた「旅路の画巻」の公開は実に四半世紀ぶり。細く連なるリズミカルな文字は繊細な感性を裏付ける。当初の俳号・桃青(とうせい)の名もある。句に添えた絵は「蕉門十哲(しょうもんじってつ)」の一人、森川許六(きょりく)による。近江・彦根藩士で絵師、俳人、やり使いの名人でもあった▼『ほそ道』を軸に、数百年前後して日本の文学史に残る詩歌が残った。芭蕉は漂泊の歌人・西行500回忌に、歌枕の追体験に旅立つ。明治には短歌革新の正岡子規も同じ行路をたどり多くの名句を詠む▼謎多き人である。門下には武士も多い。旅に同行した弟子の河合曾良(そら)は幕府の巡見、情報収集役。大勢力を持つ伊達・仙台藩の動向を探る役割も担う。公称60万石だが実際は200万石近く。藩領内に入ると緊張が走る。〈夏草や兵 (つわもの) どもが〉など名句を残すが、身の危険を感じていたのか実際の滞在はわずか。『影の日本史にせまる』(嵐山光三郎、磯田道史著)に学ぶ▼600里の長旅から〈不易流行〉の境地に。絶え間ない変化は、“未知の細道”みちのくの情感がもたらしたのか。
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2019年12月11日
中小・家族目配りを 自民畜酪委熊本を視察 畜産農家ら訴え
自民党畜産・酪農対策委員会は7日、2020年度の畜産・酪農対策の決定に向け、九州の酪農・畜産現場へ視察に入った。意見交換で畜産農家は、中小や家族経営も安定的に農業を続けられる環境づくりを要望。ヘルパーの確保や、豚コレラ(CSF)などの防疫強化を求めた。
熊本県JA菊池で開いた意見交換には、井野俊郎同委員会委員長代理、農林・食料戦略調査会の坂本哲志副会長、藤木眞也農水政務官らが出席。JA熊本中央会の宮本隆幸会長は、相次ぐ国際貿易交渉の結果「農家は先が見えず不安になっている。次世代が安心して農業ができる対策をしてもらいたい」と訴えた。
繁殖農家の源義通さん(69)は生産力の維持・向上には「定休型ヘルパーの導入で、農家が休めるようにしなくてはいけない」と指摘。ヘルパー確保につながる支援を求めた。肥育農家の斉藤秀生さん(59)はアジア諸国から日本への観光客の増加で「豚コレラや口蹄(こうてい)疫の侵入リスクが高まっている」と懸念。農家ごとの対策は限界があるとして、国主導の水際対策の強化が「最重要課題」と強調した。同委の宮路拓馬事務局長は北海道、関東、九州での視察内容を踏まえ、11日にも対策をまとめる考えを示した。
8日は鹿児島、宮崎県での現場視察、農家らとの意見交換を予定する。
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2019年12月08日
笑顔がはじけた
笑顔がはじけた。そして誇らしい。きのうの〈桜の戦士〉凱旋(がいせん)パレードは、多くの人の祝福と共にあった▼まず印象的だったのは、〈ぐーくん〉こと韓国出身の具智元選手の全身から伝わる喜び。大仕事を終えた充実感だろう。巨漢を生かしスクラムの最前線で戦い、強豪チームを相手に一歩も引かない。日本代表は外国人が半分近い。日韓関係が最悪の中で、具選手への温かな拍手と声援に、スポーツを通した友好復活の芽を見た▼ラグビーは体の大きさもさまざま。多様性こそこの競技の素晴らしさの一つ。小柄なだけに逆に目立ったのが、スクラムハーフを担った田中史朗と流大の2選手。攻守逆転を何度も演じ、ベスト8につながる。共に166センチと一般人と変わらない体格だが、パスの達人で敬称の〈小さな巨人〉に納得する▼感極まったのは、やはりリーチ・マイケル主将の勇姿である。ピンチを何度も救った切れ味鋭いタックルに多くの勇気をもらう。高速ウイングで〈ダブル・フェラーリ〉の異名を持つ福岡堅樹と松島幸太朗の両選手は華やかそのもの。俊足は“チータ”に例えられる▼合言葉はワンチーム。先日の会見で中家徹JA全中会長も連帯や多様性など「協同組合にも通じるものがある」と。〈桜の戦士〉よ、感動をありがとう。
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2019年12月12日
基盤強化プログラム 生産拡大へ数値目標
政府は10日、安倍晋三首相をトップとする農林水産業・地域の活力創造本部の会合を開き、輸出向けの産地形成や担い手不足などに対応する「農業生産基盤強化プログラム」を決定した。輸出拡大をにらんだ和牛生産の倍増や水田農業の高収益作物産地500カ所創設などの新たな数値目標を設定。2019年度補正予算や20年度予算に達成に向けた経費を計上するが、万全の財源が確保できるかが問われる。
和牛倍増 加工野菜の需要奪還
安倍首相は会合で「安心で安全な日本の農林水産物が世界に羽ばたくチャンスは今後ますます広がっていく」と強調。輸出拡大や先端技術を活用したスマート農業の推進には「しっかりとした生産基盤が欠かせない」との認識を示した。
江藤拓農相は、同日の閣議後会見で「最重要課題の生産基盤強化を目的に取りまとめた」と説明。現在検討している補正予算を含め「切れ目のない対策を講じていく」との考えを示した。
プログラムは11本の柱で構成。日米貿易協定による牛肉輸出枠の拡大などを念頭に「さらなる輸出拡大」を真っ先に掲げた。来年4月に農水省に輸出の司令塔組織を設置し、輸出拡大に向けた新戦略を定める。
和牛生産は、米国や中国への輸出拡大を見込み18年の14万9000トンから35年に30万トンまで増やす目標を設定。具体策として繁殖雌牛の増頭奨励金や和牛受精卵の利用促進などを打ち出した。
水田農業対策では、輸入品が多い加工・業務用野菜の国産化や輸出向けの果樹栽培を念頭に、主食用米から高収益作物への転換を促し、25年度までに500産地の創出を目指す。高収益作物を導入する産地に水田の基盤整備や機械・施設の導入、販路開拓などを一体的に支援する方針だ。
「中山間地域や中小・家族経営も含め、幅広く生産基盤の強化を図る」とも明記。24年度までに地域資源を活用して中山間地域の所得向上などに取り組む250地区を創出することも盛り込んだ。
他に、加工・業務用野菜の出荷量(直接取引分、18年度は98万トン)を30年度までに145万トンに拡大することや、25年までに担い手のほぼ全てがデータを活用した農業を実践することなども目標に据えた。
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2019年12月11日
経済の新着記事
花の水揚げ正確に 絵文字17種配送ラベルに印字 オークネット・アグリビジネスが開発
インターネットによる花き取引事業を展開するオークネット・アグリビジネスは、切り花の特性に適した水揚げ方法を示すピクトグラム(絵文字)を開発した。同社によると、花き業界では初の試み。商品の配送ラベルに印字し、ひと目で理解できるようにする。知識や経験を問わず、小売店の従業員が誰でも正しい水揚げができるようにし、消費者への長持ちする花の提供につなげる。
切り花に水を吸わせる水揚げは、品質維持に欠かせない工程。水や湯を使う、茎を割る・たたく・焼くなど、さまざまな方法がある。品目や品種、スプレイ咲きかスタンダード咲きかなど、商品ごとに方法も異なる。
同社は、衣服の洗濯表示マークに着想を得て、絵文字開発に着手。尾崎進社長は「正しい方法を分かりやすく伝えれば、誤った方法による商品ロスや、店員の教育負担も減る」と、ニーズを語る。
ひと目で方法を連想できる絵文字を、17種類作った。同社が扱う約140商品を対象とし、商品配送ラベルに印字する。同じく印字した2次元コード(QRコード)を読み取れば、湯揚げにかける時間、水揚げ後の水管理など、より詳しい情報を得られる。
千葉県の生花店「U・BIG花倶楽部(くらぶ)」は、絵文字を参考にブバルディアで水揚げを実験。従来は空切りしていたが、茎を焼いた上で湯に漬ける方法に変えた。「水の含み具合に差が出たためか、葉に張りが出た」と効果を実感する。
開発に当たり、札幌市で生花店「フルーロン花佳」を経営し、各地で品質管理の講習を開く薄木建友氏が監修を務めた。薄木氏は「農家も小売り側の水揚げの仕方が分かれば、出荷時の管理の参考になる」と、産地にも有益な情報となることを期待する。
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2019年12月13日
無洗米「SAKURA RICE」世界に 業務向けで高評価 全農子会社
農畜産物を輸出するJA全農の子会社、JA全農インターナショナルは、業務需要に開発したブレンドの無洗米「SAKURA RICE」(サクラライス)の輸出に乗り出した。世界で日本食の注目が高まる中、業務用を開拓、輸出拡大を狙う。日本産や無洗米による調理作業の効率化が売り。日本食店が多くあるシンガポールで今年から、複数のチェーン店が同ブランドの扱いを始め、手応えを得ている。
これまで同社の輸出米は家庭用主体だったが、業務需要に応えるブランドとして「サクラライス」を企画した。同社によると①国産のブランド価値②品質③無洗米による作業性の効率化──を売りに営業している。品質が一定化し、多くの用途に使えるようにブレンド米とした。東南アジア数カ国で販売している。
シンガポールの海鮮丼チェーン店「哲平食堂」では、現地法人の全農インターナショナルアジアの提案を受け、全7店舗で10月からサクラライスを使う。量は毎月約1トン。山下哲平オーナーシェフは「粒がしっかりして時間がたっても冷えてもおいしい」と強調する。山下シェフが展開するうなぎの専門店など、他店舗でも今後使っていく予定だ。
哲平食堂のフランチャイズを手掛けるYCPダイニングシンガポールのショーン・タン代表は「在住日本人も当地の客も満足している。無洗米は店員の作業が楽で、現地で手に入れにくいので助かる」と評価する。
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2019年12月12日
[活写] こんがりきつね色
北海道滝上町の農家6戸がつくる「滝上町七面鳥生産組合」で、クリスマス向けの薫製作りが最盛期を迎えている。
各農家が7カ月ほど育てた七面鳥の半身を、ハーブや塩などが入った調味液に約2週間漬けて、蒸した後に桜のチップで約3時間いぶす。作業場には、きつね色に仕上がった七面鳥が並ぶ。
同組合の農家は畑作や酪農が経営の中心で、約30年前に冬の仕事として七面鳥の薫製を作り始めた。今では町の名物になり、全国から注文が入る。今年は今月6日に作り始め、18日までに約1800個を仕上げる予定。
組合長の畑作農家、佐々木渉さん(54)は「脂がのっておいしく仕上がった。クリスマスに家族で楽しんで」と勧める。値段は1キロ3000円。(富永健太郎)
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2019年12月12日
新米販売が苦戦 10月支出額前年割れ 消費増税影響か
新米の販売が苦戦している。消費動向が分かる総務省の10月の家計調査で、米の1世帯当たりの支出額が3年ぶりに前年を下回った。米離れに加えて、消費税増税による節約志向が影響したためとみられる。現状の小売価格は前年並みだが、米卸やスーパーは売れ行きの動向を見極めながら、価格の居所を探っている。
小売 動向探る
10月の家計調査では1世帯(2人以上)当たりの米の支出額は2944円と、前年同月を3・9%(実質)下回った。米の支出が年間で最も多くなる時期に販売が鈍化した。
消費税増税前の駆け込み需要の反動によって、消費支出全体が同5・1%減と11カ月ぶりに前年割れする中、軽減税率が適用される米でも減少が見られ、増税による節約志向が影響したもようだ。
米穀機構の11月調査でも、前年と比べた現状の販売数量の指数は、小売りや中食・外食業者が42で基準点の50を下回った。「減った」と回答する業者が多かった。
現在、スーパーなどの小売価格は前年からほぼ横ばいの展開となっている。全国のスーパー約1000店の販売データに基づく農水省公表の精米5キロの小売平均価格(10月)は、前年同月比0・5%安の2031円。秋田「あきたこまち」は1・8%安の1987円、新潟・一般「コシヒカリ」は1・4%高の2202円など小幅な上げ下げはあるが、前年並みの水準が中心だ。
米卸やスーパーの対応はまちまちだ。「購入数が増えにくいので、単価を上げて売り上げ増を目指す」(東京都内の中堅スーパー)との声がある一方「これ以上の価格上昇は消費を低迷させる」と特売で集客を狙う動きがある。「安くしても、大幅には販売が伸びない」(大手卸)との見方もある。
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2019年12月11日
機能性食品 有機JAS… 日本規格を世界へ新たに推進プラン GFVC官民協
農水省やJA全農、食品関連企業で構成するグローバル・フードバリューチェーン(GFVC)推進官民協議会は、食品産業の海外展開を加速させる新たな推進プランを策定した。2020年度から5年間の計画で、機能性食品や有機JASなど日本独自の食品認証の仕組みを海外に普及させることが柱。日本の食品企業が現地で販売しやすくし、日本産の食品や農林水産物の輸出拡大につなげる。
14~19年度の推進プランでは、海外市場の調査などを盛り込んでいた。今回の新プランでは、9の国・地域別に実践する具体的な取り組みを示した。協議会に参画する企業の海外進出数を現状の1・6倍(200社)に拡大する目標も掲げた。
新プランによると、企業進出数が多いタイやフィリピンなどでは、現地で高まる消費者の健康志向への対応を強める。現地に進出した日本企業が、日本と同基準の機能性食品を流通しやすくするため、輸出先国へ、日本に準ずる基準の整備などを働き掛ける。ベトナムなどでは、農業生産工程管理(GAP)や有機JASなど日本型の規格や制度を普及して、日本食品の高付加価値化を進める。
オーストラリアでは、日本と季節が逆転する地理的条件を生かし、日本で栽培されているアスパラガスやメロンなど青果物の生産を拡大。アジア圏など第三国への農産物の通年供給を推進する。
このほか、①複数企業が連携した海外進出計画の策定②日本食材の現地での加工や料理として提供③スマート農業技術の海外展開──で取り組みを支援する。
同省は「日本企業の海外進出支援は、農産物自体の輸出拡大にとって重要」(国際部)と説明。同省では来年4月、政府の農林水産物輸出の司令塔組織となる輸出部が設置されるなど、農産物輸出拡大に向けた動きが加速化している。
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2019年12月11日
機能性に魅力 実需が国産要望 もち麦1年で3・5倍
もち性大麦の2019年産生産量が8000トンを超え、前年産に比べ3・5倍と急増した。健康食品としての認知度が高く、国産志向もあり市場が拡大。機能性成分が多く、各地の気候に適した新品種の導入が進み、実需の要望で産地が形成されつつある。急増してもなお需要が供給を上回っている状況で、国産の増産への期待が高まっている。
19年8000トン超 需要伸び品種充実 産地追い風
農水省がまとめた大麦の農産物検査結果(10月末時点)によると、もち麦の検査数量は8581トン、18年産実績を6000トン上回った。
県別で最も多いのは福井県の2357トン。機能性成分が多い新品種「はねうまもち」を導入し、約800ヘクタールを作付けた。4JAが取り組み、大手精麦メーカーに仕向ける。「メーカーの強い要望に応じ、従来の大麦品種を転換した」とJA福井県経済連。交雑や異品種の混入を防ぐため、産地を限定する。
次いで増やしたのが福岡県。九州が栽培適地の「くすもち二条」を前年の4倍、1243トン生産する。うち、JA全農ふくれんは県内の精麦メーカーの求めで試験的に約70ヘクタール栽培した。20年産はこれを上回る注文があるが、「他の麦類の要望もあり、そうは広げられない」(全農ふくれん)と悩ましい現実もある。
宮城県はもち麦「ホワイトファイバー」を前年の11トンから764トンに拡大。実需の関心が高く、県は種子の生産体制を整え一般栽培に踏み切った。今後も増やす計画だ。
もち麦の普及は、県が奨励品種にして、産地品種銘柄として流通させることが欠かせない。産地品種銘柄の採用は、この3年間で6県から18道県に拡大した。大半が、健康機能性が多い品種への転換だ。ビール麦産地の栃木県は、ビール麦から県育成品種「もち絹香」に替えた。「健康志向で今後の需要が見込まれるため」(生産振興課)だ。
もち麦品種は、3年前の5品種から8品種に増えた。国内最大面積となった「はねうまもち」は農研機構が開発、17年に品種登録を出願した。寒冷地向きで、新潟県、北海道でも展開中。暖地向けは「くすもち二条」「ダイシモチ」がある。各地の気候に適した品種開発も、産地化を後押ししている。
農林水産政策研究所企画広報室の吉田行郷室長は「需要に対応するには産地がまとまって品種を統一したり、十分な生産量を確保したりする必要がある」と指摘する。
もち麦は食物繊維の一種、βグルカンを豊富に含む。腸内環境改善や血中コレステロール低減に効果があるとされる。国内流通量に占める国産の割合は1割に満たない。
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2019年12月08日
輸出3カ月前年割れ 10月農林水産物 目標達成遠く
10月の農林水産物・食品の輸出額は751億円で、前年同月比で5・9%減った。前年同月を下回るのは3カ月連続。2019年の累計(1~10月)は前年同期比0・8%増の7396億円。水産物が落ち込み、緑茶やリンゴなど主要果実も振るわず、伸びが鈍化している。「19年に1兆円」という政府目標の達成は厳しい。
財務省が発表した貿易統計を基に日本農業新聞が調べた。
農林水産物の輸出は例年、収穫期の秋以降、年末にかけて増える傾向にある。しかし、政府目標1兆円達成には残る2カ月で合計2600億円以上の実績が必要。単月で1000億円を超えたことは近年なく、このままのペースでは達成は難しい状況だ。
輸出額の1~10月の累計を品目別に見ると、水産物は、6%減の2313億円と落ち込んだ。輸出先で他国産と競合したり、サバなどで相場が良い国内向けに販売を振り向ける動きがあった。
日本食の人気を背景に、牛肉は25%増の235億円と好調が続いている。日本酒も8%増の192億円、サツマイモは23%増の13億円と伸び幅は大きい。リンゴは8%減の82億円、ブドウは4%減の28億円と落ち込んだ。緑茶も2%減の119億円となった。
輸出額が伸び悩む背景には、最大の輸出先・香港の政情不安定化や、韓国との関係悪化などもあるとみられる。
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2019年12月08日
担い手サミット開幕 きょうまで静岡
第22回全国農業担い手サミットinしずおかが5日、静岡市で始まった。認定農業者ら2000人が参加し、先端技術の導入や、食料自給率の向上、農業の持続的発展などに取り組むとしたサミット宣言を採択した。6日まで。
県、JA静岡中央会などで組織する実行委員会と全国農業会議所が主催。寛仁親王妃信子さまが「農業に携われる方々が絆を深め、活力ある農業の実現に向けて力強く発展することを願います」とあいさつされた。
大会会長を務める静岡県の川勝平太知事は「農業を担う人材不足は全国的な課題になっている」と述べ、スマート農業の開発や普及を進めていくことを伝えた。
県内の担い手4人がメッセージを発表。直接販売に取り組み、経営改善したり、豚の人工授精液生産を続けたりする今後の経営や農業振興への思いを訴えた。事例発表では担い手らが、6次産業化や農産物の海外輸出について議論を交わした。
全国優良経営体の表彰があり、加藤寛治農水副大臣が農林水産大臣賞を受賞した12経営体に賞状を贈った。
6日は、県内7地域の38会場で現地視察と情報交換会を開く。次回の開催は茨城県。
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2019年12月06日
豚肉在庫が最多水準 9月時点3割増に 輸入多く国産苦戦
豚肉の在庫量(輸入含む)が過去5年の最多水準に積み上がり、国産相場の不安材料になっている。中国でまん延するアフリカ豚コレラ(ASF)の影響で国際相場に不透明感が増していることや、大型貿易協定で関税が下がったことで、食肉メーカーや商社が輸入品の調達を強めているためだ。国産は加工向けの下位等級を中心に需要を奪われ、苦戦を強いられている。
農畜産業振興機構のまとめによると、9月時点の推定期末在庫量は、前年同期比3割増の21万8205トン(国産品が同13%増の2万351トン、輸入品は同32%増の19万7854トン)。近年の在庫量は約17万トン前後で推移しており、過去5年で最多水準だ。
豚肉の国際相場は、世界最大の豚肉消費国である中国でのアフリカ豚コレラの拡大で、引き合いが強まった欧州産を中心に高値基調が続いている。大手食肉メーカーは「これからもう一段上げる可能性があり、高騰する前に調達を強めている」と明かす。
在庫過多の輸入品に押され、国産品にも影響が出ている。「国産、輸入ともに、裾物の在庫が多く、国産は加工筋などで需要を奪われている」(大手メーカー)という。環太平洋連携協定(TPP)や欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)で輸入品の関税が下がったことも、国産品の価格面での競争力に影を落とす。
国内生産量(と畜頭数)は、今年度上半期の累計が約788万頭で前年同期比ほぼ横ばい。しかし消費は鈍く、在庫が積み上がる状況だ。
全国指標となる東京食肉市場の29日の豚枝肉価格は1キロ459円(上物平均)で前年並み。一方、格付けで最も低い「等外」は300円台半ばで6月以降、前年を下回る取引が目立つ。
「10月以降、出荷量が例年以上に多くなっている」(市場関係者)など、この先は不安材料が多い。豚コレラ(CSF)ワクチンを接種した豚の流通も始まった。現状、目立った混乱は見られないが、取引動向には注視が必要だ。
大手食肉メーカーは「安価な輸入品に押され国産が苦戦する状況は長期的に続くだろう」と見通す。
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2019年12月02日
特産エダマメビールに加工 秋田・大館市 観光地域づくり法人発案
秋田県大館市特産のエダマメを副原料に使ったクラフトビール「秋田枝豆ビール」が登場した。地元の日本版観光地域づくり法人(DMO)秋田犬ツーリズムが発案し、同市産のエダマメを原料に供給。委託醸造を経て、酒類販売業のルーチェ(東京都大田区)が地元スーパーや首都圏のデパートなどで11月から販売している。同法人は同市産エダマメの知名度のアップと消費拡大を狙う。
同法人は市内の農家が朝に収穫したエダマメを仕入れ、ペースト状に加工し「田沢湖ビール」(秋田県仙北市)に供給し、ビールに醸造してもらう。後味にエダマメの風味が残るのが特徴だ。ラベルには、秋田犬がエダマメを食べているイラストを採用した。
同法人の大須賀信事務局長は「大館のエダマメは知名度がまだ低く、取引価格が伸び悩んでいる。ビールを通してブランド力を高めたい」と期待する。イベントで先行発売した際には、用意した500杯が完売するなど関心を集めた。
1瓶(330ミリリットル)700円(税別)。大館駅前の観光施設「秋田犬の里」や市内のスーパーで販売している他、東京・新宿のデパートでも扱う。今年度は5700本を販売する予定。飲食店向けに、たる詰めでの出荷も検討している。
秋田県では近年、転作作物としてエダマメの生産が盛ん。8~10月には、東京都中央卸売市場で1位の取扱量を誇る。
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2019年12月01日