英総選挙、保守党過半数の勢い 出口調査では大幅増

英EU離脱
ヨーロッパ
2019/12/13 7:00 (2019/12/13 9:34更新)

【ロンドン=篠崎健太】英国の下院総選挙(定数650)は12日投開票され、ジョンソン首相率いる与党・保守党が過半数を奪還する見通しになった。英メディアの出口調査による予測では、過半数ライン(326)を数十議席上回る大勝の勢い。保守党が過半数を得れば、欧州連合(EU)からの離脱案や関連法案を単独で可決でき、2020年1月末のEU離脱への道筋がつくことになる。

英公共放送BBCの予測では保守党は368議席と、改選前の298から70の大幅増が見込まれている。仮に下院で予測並みの勢力を得れば、保守党はサッチャー政権下の1987年以来、32年ぶりの歴史的な勝利となる。

一方、最大野党・労働党の予測議席数は191で、改選前の243から50程度の後退が見込まれる厳しい状況だ。労働党が200議席を割り込めば戦後最少になる。スコットランド民族党(SNP)は改選前比20増の55、自由民主党は7減の13が見込まれている。

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総選挙はEU離脱が最大の争点で、10月にEUと新離脱案をまとめたジョンソン政権への審判の場となった。保守党は「離脱実現」を公約に掲げ、早期の離脱を求める有権者に支持を呼びかけた。労働党はEUとより緊密な関係を目指して離脱案を再交渉し、それに基づく離脱か残留かを問う2度目の国民投票を公約した。SNPや自民党はEU離脱の撤回を主張した。

保守党が過半数の議席を押さえれば、20年1月末のEU離脱が決定的になる。ジョンソン政権は17日にも新議会を開き、クリスマス休暇入りまでに離脱案の審議を再開する方針だ。1月中に新離脱案が可決されれば、20年末までは離脱のショックを和らげるためにEUとの経済的関係を現状維持する「移行期間」付きの離脱が決まる。

ジョンソン氏は圧勝の見通しが伝わった直後、自身のツイッターで「我々の偉大な国で投票してくれたすべての人に感謝する」と投稿した。

保守党は1カ月あまりの選挙戦を序盤から優位に進めた。EUからの強硬離脱を掲げる「ブレグジット党」が前回17年の総選挙で保守党が勝った選挙区に対抗馬を立てなかったことも追い風に、EU離脱派の支持を取り込んだ。

英総選挙で進められる開票作業(12日)=ロイター

英総選挙で進められる開票作業(12日)=ロイター

一方、労働党は国民医療制度(NHS)の拡充や、大規模なインフラ投資などを政策に掲げた。ただEU離脱を巡って党内では残留と離脱が対立。明確な姿勢を打ち出せないなか、残留支持層の受け皿になりきれなかったのが響いたもようだ。

EU離脱は当初3月末の予定だったが、メイ首相(当時)が保守党内の意見をまとめ切れず、10月末まで延期された。引責辞任したメイ氏から首相の座を継いだジョンソン氏は「何が何でも10月末に離脱する」と宣言した。北アイルランド国境問題の解決策を盛り込んだ新離脱案でEUと合意したが、英下院でスピード審議を阻まれ、20年1月末への再延期を余儀なくされた。

総選挙の大勢は日本時間13日午後にも判明する見通しだ。

12日、投票所を訪れたジョンソン英首相(左)と最大野党・労働党のコービン党首(ロンドン)=AP

12日、投票所を訪れたジョンソン英首相(左)と最大野党・労働党のコービン党首(ロンドン)=AP

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