合田禄
科学技術基本法が、対象分野を「科学技術」に絞り、「人文科学のみに係るものを除く」としている規定をやめようという議論が本格化している。人工知能(AI)や生命科学などが進展し、現代社会の課題を解決していくには人文科学の研究も不可欠になっているという意見が増えてきたからだ。来年の通常国会で改正案が提出される見通しだ。
科学技術基本法は1995年、議員立法で成立した。欧米のような科学技術先進国を追いかけていた時代から、日本が自ら未開の分野を切り開いていく時代になったとし、そのためには科学技術の振興策を総合的、計画的に進める必要があるとした。基本法は、科学技術基本計画を5年ごとにまとめたり、研究者の養成や研究設備を整備したり、そのための予算の確保などをうたう。
第一条の冒頭にあるのが「科学技術(人文科学のみに係るものを除く)の振興に関する施策」という規定だ。内閣府によると、この人文科学は自然科学に対する概念。当時は「人文科学は人間や社会の本質を取り扱うため、自然科学と同列に推進策を講ずるのは適当でない」とされた。
しかし、近年になってこの規定を削除し、対象に人文科学のみの研究も含めるべきだという議論が起こっている。
今年8月、政府の有識者会議で…
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