お笑いタレントが京都市をPRしたTwitter投稿、映画「アナと雪の女王2」を見た7人の漫画家が同時刻に一斉にTwitter投稿した感想漫画……。最近、ステルスマーケティングを指摘され炎上する例をしばしば目にする。ステルスマーケティングの何が問題で、法律上はどのような規制になっているのかを解説する。
Q1 ステルスマーケティング(以下「ステマ」)とは何か?
A1 法律上の定義があるわけではないが、一般的に「消費者に宣伝と気づかれないようにされる宣伝行為」を指す言葉として使われている。ステマという言葉が使われる前から、「サクラ」や「やらせ」と言われるものがあるが、これらも一種のステマと言えるだろう。
Q2 これまで問題になった事例にはどのようなものがあるか?
A2 ステマとして大々的に問題になったのは2012年のことであり、飲食店レビューサイト「食べログ」で好意的なクチコミを書くと営業する業者に安易に依頼する飲食店が多くいたことが発覚した事例や、ペニーオークション(ペニオク)で落札できない仕組みにもかかわらず、高額商品を格安で落札購入した旨のブログを投稿していた芸能人が複数発覚した事例が挙げられる。
Q3 ステマにはどういう類型があるのか?
A3 ステマには、「なりすまし型」と「利益提供秘匿型」の2類型があると言われる。
なりすまし型とは、第三者が中立的立場から意見を言っているように装って、実際には自分で書き込み等をしている場合をいう。たとえば、グルメサイトで自分の店に高評価の書き込みをするといったケースや、チラシやランディングページで使用者の体験談として掲載しているのに、体験談自体が創作であるといったケースだ。
利益提供秘匿型とは、第三者に金銭の支払いその他の経済的利益を提供して掲載を依頼しているにもかかわらず、その事実を表示しない場合だ。たとえば、商品やサービスを推奨する記事をインフルエンサーに報酬を払って掲載依頼しているが、広告であるという表示がないといったケースだ。最近しばしば話題になっている例は、利益提供秘匿型であると分類することができる。
Q4 ステマは違法なのか?
A4 ステマには違法なものと違法にならないものがある。ステマが違法になる場合は、景品表示法に抵触する場合だ。具体的には、事業者の商品・サービスの内容または取引条件について、実際のものまたは競争事業者に係るものよりも著しく優良または有利であると一般消費者に誤認されるものである場合に、不当表示として問題となる。
なお米国では、連邦取引委員会法第5条が、不公正な競争手法、欺まん的な行為は違法であると規定しており、「金銭を受け取っていながら、公平な消費者や専門家の独立した意見であるかのように装って推奨表現をすること」がこれに当たるとしている。また欧州連合(EU)では、不公正取引行為指令が「不公正な取引行為は禁止されるものとする」と規定し、事業者が金銭を支払って記事を書かせておきながら、そのことを隠してその記事を販促活動に利用することを禁じている。
※参照:日本弁護士連合会「ステルスマーケティングの規制に関する意見書」
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