FAB Loco File Phase 3: SAKURA Dockside


FAB Locomotive File Phase:3

SAKURA B&O C-16 Dockside

#10 of Gorre and Daphetid





ジョン・アレンのG&D 鉄道の最初の機関車がヴァーニィ製ドックサイドであったことはPhase 1 に記した通りです。そしてG&D にはヴァーニィ製9 号機の姉妹となる10 号機が存在しました。この10 号機はなんと日本製です。製造したのはSAKURA。この名前にピンと来る方は多くないと思いますが、SAKURA は台車で名高い日光モデルのブランド名です。米国でのインポーターはPFM でした。




日光モデルに保管されているサンプル。店頭のカウンターで撮影させていただきました。ダイキャスト製品のドックサイドでは決定版だと思います。ヴァルブ周りの材料や構成もさすがで、性格的にはブラスとダイキャストの大量生産品の中間的なもの。生産台数が
少なく、程度の良いモデルはセカンドハンド市場でも、とても高価です。



日光モデルは近藤氏の御尊父の時代からダイキャスト製品を中心に手がけられており、ドックサイドの製造開始は1960 年頃。日暮里でダイキャスト鋳造を行っていた時代のモデルだそうです。生産数は「おそらく1000 台くらい」とのことですが、よくその台数でダイキャストのモデルを作れたものだと思います。自社で鋳造していた強みでしょうか。ブラスの、例えばPFM/ ユナイテッドのサンタフェ1950 コンソリ少ない製造数です。近藤氏が後を継いだ1972 年頃には製造も一段落しており、まだ追加製造する部品はあったそうですが、日光モデルが輸出モデルの動輪、さらに国内向けの製品製造で多忙を極めていたため、その後の生産は行わなかったということでした。



いまこのモデルを眺め回すと、様々な点で米国製の大量生産品とはグレードが違うことが分かります。プロポーションが良いことはもとより、ドロップのスライドバーやバルブ周り、丸棒のピストンロッドなど内容はブラス製品に近く、ハンドレールはスタンションを含めて繊細。PFM がインポーターだけに、ヴァーニィなどの子供も楽しめる大量生産品というよりエンスージアストにターゲットを絞った製品であることが分かります。



サンプル品には安全弁、コンプレッサーが非装着でした。この状態で輸出していたそうですが、こららのパーツは現地では別売? もしくはPFM がロストパーツを同梱したのでしょうか。ケムトロンやカルスケール全盛時代の話です。懐かしいですね。