第11話
「台風の中で叫ぶスペルキャスター」
ナザリック地下大墳墓
エンリをカルネ村に迎え届けたモモンガはナザリックの私室に戻っていた。
私室で立っているメイドより守護者の方がいらっしゃいました。という報告を受けて扉を開けて待ち構えていた。
扉が開き室内に入ってきたのは、ドブの森で調査を終えたアウラだった。
「モモンガ様。ドブの森で調査を終えました」
「そうか良くやってくれたな、アウラ。」
「ありがとうございます。モモンガ」
モモンガの言にお辞儀をし、謙遜を始めるアウラに話を続けた。
「こんな働きをしてくれるアウラには、何か褒美を与えないと駄目だな」
「いえ、ナザリックの為に働くのは私達の喜びですので、褒美などは」
ナザリック勢の基本思考にこれでは駄目だなと思って意識改善をする必要がある考えたモモンガは褒美を強制的にもあげる事にした。
「では、一緒にドブの森を探検するという、報酬はどうかな」
「えぇぇぇ。探検ですか」
「他に変えた方がいいかな」
そんな見当違いの事を言ってしまった主人に対して訂正するべくアウラが動き出す。
「い、一緒に探検したいです」
「そうか」
一言返事をすると、アウラを連れてドブの森に無断で行ってしまう二人であった。
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フェンリルはご主人が神と一緒に出かける事を、その能力により知った為に護衛という名目で二人の後をつけるのであった。
森の中に入っていくとご主人様以外に、他の生物と比べて少し強い四人組が森に侵入してくるのを感じたので、偵察をしに行く事にしたフェンリルは、四人組の前に姿を現し攻撃してくるか調べるのであった。
何故か腰を抜かしている四人組に近づくと、「助けて下さい。モモンガ様」
至高の存在に命をこう姿に感動したフェンリルは、至高の存在たるモモンガに報告をする事にした。
音速を超えるフェンリルはご主人様に向かい全速力で走り出したのだ。
取り残された四人組は自分達を助けてくれた神様に感謝していた。
「あの時、エンリさんからモモンガ様の名前を聞いておいて良かったのである」
髭を蓄えた男は先日あったエンリさんとの出会いに心底感謝をしていた。
「ニニャ、あれが魔神とかいう存在じゃないのか」
ニニャに話しかけたのは人柄が良さような剣士だった。
「そうですね。まさに伝説級の怪物でしたね。もしかして神の使いだったかも知れませんね」
そんな考察をしている闇を凝縮した空間が四人組の前に出現した。
神が降臨するのかな。何て考えつつこれから出現する超越者たる骸骨を待っていた。
「やぁ初めまして漆黒の剣の皆さん」
陽気に話しかけてきた骸骨に対して、エンリさんから忠告を受けていた通りに行動を心がけて返答をする。
「こちらこそ、初めましてモモンガ様。エンリ将軍より神様だと伺っておりました」
エンリが自分を神様として布教していた事実に驚いたモモンガはどの位広がっているのか確認を始めようとしていた。場合によってはエンリを殺さなければいけないかも知れないな。
「私の事はどれ位の人間が知っているのかな」
「いえ、私達以外は名前すら知ってはおりません。エンリ将軍から命に代えても名前を漏らすなと忠告を受けておりましたので」
流石はエンリ将軍と名乗る事はあるな。
と本来とは異なる真実に関心しながらモモンガは支配者として見習ってみようかなと思っていた。
また、かねてより考えていた計画を始動させる事にした。
「漆黒の剣よ。私は冒険者になりたいのだ。協力してくれないか」
「畏まりました。姿は骸骨のままですか」
「隠した方が良いのか」
「隠した方が安全だと思われますが、モモンガ様なら隠さない方が信仰を得られると思います」
何で信仰を得なきゃいけないんだよ。思いつつもエンリ将軍からニニャに関しての、タレントとその目的を報告させていたの思い出しニニャの心をゲットするべく動き出す。
「ニニャよ。私を冒険者にする手伝いをしてくれ。もし達成したならば姉の事は考慮しておこう」
「ありがとうございました。モモンガ様」
「具体的には法国に知り合いが姉を見つけてくれるだろう。間違ってもしょうがないから、姉の名前を確認しておこう」
「姉の名はツアレと申し上げます」
「ツアレか。法国に問い合わせておこう」
ニニャとの交渉を終えたモモンガ一行はエランテルに向けて歩き出す。
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法国内部
ニグンは神よりの仕事の命令に歓喜していた。自身が神の為に働けると。
「諸君、傾聴せよ。我は神よりの命によりツアレなる人物を保護する事になる。いかなる障害も踏み潰し任務を遂行せよ」
ニグンの宣言に団員たちは身体の底から力を滾らせて、神に信仰を捧げるのであった。