オーバーミックス   作:青の魔術師

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黒帽子様。
誤字報告をしてくださいましてありがとうございました。


第10話 愚者は骨の上で踊り狂う

 

任務を終えてエランテルを後にしたエンリは、ゴブリンの待つ場所を目指し歩いていた。

 

目の前には五人の人間が待ち構えているのには気づいているが、敢えて無視をする事にした。

 

「まちな」

エンリが男たちの横を通り過ぎる前に、スキンヘッドがトレードマークの男がカッコをつけて指示を出す。

 

気づかないふりを継続しながら歩いていたので、当然の結果として捕まってしまった。

「たーすーけーて」っと棒読みで助けを呼ぶエンリであったが五腕の人間からしてみれば抵抗しない人間の方が良いのだから。

 

エンリの救援に現れたのは影の悪魔だった。

「エンリ様」と聞こえた様な気がしたが、そんな事はどうでもいい事なので助けられるのを待っていた。

 

そんな事はつゆ知らず、スキンヘッドを愛する男ゼロは影の悪魔を見て警戒を強めていた。

そんな気配を察知した影の悪魔はゼロ達を殺すべく動き出す寸前に、神より命令が下りゼロのパンチに一撃で殺られてしまった。

 

そんな攻防を見てエンリはホッとしていた。

自分はここで死んでしまうのかと、ただ偉大なる神の計略の一部に関われて嬉しく、後悔といえば妹の存在だけだったのだが、神の存在と比べたら等しく皆無である。

そして、エンリはエランテル近郊から王国に連行されるのであった。

 

一方ゴブリン達は悔しさに震えていた。

自分達がもっと強ければ他の計画を実行でき、護るべき将を危険な任務に就くことも無かった様な気がして。

 

「モモンガ様。姐さんを救出する許可を下さい」

そんな事など思いつきもしない骸骨は、肩をすくめてゴブリンを落ち着かせようとしていた。

「大丈夫だ。エンリの近くには透明な部下が控えている為に万が一も存在しない」

「ですが」

「仮にだがなゴブリン。お前達がいっても何も出来ないし、邪魔なだけだ」

 

そんな事はわかっている。自分達が低レベルの僕である事を、だがそんな事で諦めるゴブリンでは無かった。

「もし、俺たちがつよ」

骸骨はゴブリンの話が読めたので、言葉を遮り結論を述べた。

「お前達はこれ以上強くなる事はないな。私が実験した限りではレベルすら上がりはしない」

ゴブリンが何かを発言しようとした時に、透明を得意とするメイドから【メッセージ】が骸骨に届いた。

それも骸骨が興奮する程の内容だった。

 

「エンリはどうなった」

「それがモモンガ様。エンリが笛を吹いたら役5000のゴブリン達が出現して、捕縛対象を捕縛してしまいました」

「はぁ」

「どうしましたかモモンガ様」

「いや、何でもない。私でも知らない効果が出たようで驚いていたのだ」

「モモンガ様でも知らない効果だったのですか」

「その通りだ。通常なら私達の敵にすらならないゴブリンを少数召喚するだけだからな。その対象は生きているのか」

「はい。怪我を負っていますが、私の魔法で回復させて命を取り留めています」

「なるほど。そのままナザリックに送っておけ、後エンリ達をこちらに向かうように指示をしておけ」

「畏まりました」

 

メイドとの【メッセージ】を終えたモモンガはゴブリン達に報告をするのであった。

お前達の同僚が増えていると。

それに伴い、食べ物などを支援する約束を取り付けた。

 

また、あのアイテムを使用してどのような条件なら再び同じ効果を得るのか実験する必要がありそうだな。

その為にはエンリの心境を聞いておく必要があるな。

 

ゴミアイテムの真の効果を知り内心喜んでいたのだ。

 

五腕の事など忘れていて、デミウルゴスから【メッセージ】を受けるまで思考の海に浸かっていた。


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