誤字報告ありがとうございました。
エンリはモモンガに依頼された事案を解決しようと冒険者組合に顔を出そうしていた。
ただ、エランテルを始めて訪れたエンリは冒険者組合の場所が分からずにウロウロしていると、四人組の冒険者に声を掛けられた。
「あのー。何かお困りの事でもありますか」
突然話しかけられて、多少驚くも冒険者の風貌を見て良い人なんだなという、印象を受けたので冒険者組合の場所を聞く事にした。
「私はエンリと言います。冒険者組合にとあるマジックアイテムを鑑定しに行きたいのですが、場所が分からなくて困っていたところなのです」
なるほど、考え込む四人組は自己紹介を始めた。
話した結果。
漆黒の剣と名乗る人物だった。マジックアイテムの効果を教えてあげると、ニニャと名乗る魔法詠唱者が大変驚き、ギルド長から値切られるかも知れないので、付き添ってくれるといる。
また凡そ金貨2000以上になると思うので、それ以下なら別の所に行った方が良いと勧めてくれる良い人だった。
漆黒の剣の案内の元、冒険者組合にたどり着いたエンリはニニャ達を背後に連れて、ラケシルを呼び出す事にした。
「すみません。漆黒の剣なのですが、ラケシル組合長はいますか」
「どのようなご用件でしょうか」
話しかけられた受付は冒険者とあって、丁寧に対応をしてラケシルにアポを取り付ける約束をして組合の中で少々待つのであった。
「あなた達に会えて本当に良かったです。私だけだったら会えそうにもなかったので」
「いえ、そんな事はないですよ。エンリさん」
一呼吸をおいて、ニニャは話の本題に入っていった。
「本番はこれからです。売るにせよ、売らないにせよ、あの人は欲深いですから気を付けて下さいね」
「わかりました」
エンリが覚悟を決め込むと受付より呼び出されたので漆黒の剣を連れて下に降りて行く。
「ラケシルさん。初めに行っておきますけど、無理やりの交渉は私達が止めますからね」
「そんな事は分かっている。ただ鑑定するだけだし、凄いアイテムらしいから無料でやってやるさ」
へぇと思いつつラケシルの事を全く信頼していないニニャは、何時でも動けるように配置に着く。
「はじめよう。【道具鑑定】」
ラケシルは悪人顔をしながらエンリを見つめて言葉を紡ぎ出す。
「私を呼び出すくらいだから、凄いアイテムだと思っていたら予想通り凄いアイテムだな。ただ値段は価値が高すぎて金貨数千枚以上としか言えないな。」
以外にも焦らず本心を述べたエンリはモモンガに頼まれた種を蒔く事にした。
「ラケシルさん。この組合に犯罪組織に情報を流せる人はいますか」
エンリの発言した内容に室内の空気が凍りつき誰もが喋れない中ラケシルが発言する。
「確かにいるが、いたらどうするのだ」
「私の恩人がこのアイテムについて情報を流せと頼んできたので」
「なるほどな。ではその人物の近くで情報を垂れ流しにするか」
「ありがとうございます」
お礼をいうエンリにラケシルは頼み事をする。生涯これ程にない程に真剣に。
「その恩人の計画が上手くいったら会わせてくれないか」
「恩人に頼んでみますが、上手くいかなくても許して下さいね」
そうかと呟くと、ラケシルは自室に戻っていった。
〇〇〇〇
「追加情報ですゼロ様」
五腕がエンリ襲撃練っていたその時に、新たな情報を持った八本指に属している部下達が報告にやってきた。
「突然なんだ」
「それがエンリの持つマジックアイテムの詳細がわかりましたのでお伝えに来ました」
「早く教えろ」
「では、難易度30前後のゴブリンを十数体を永続的に使役出来る代物でございます」
部下から持たされた情報の重要性に短い時間ではあるが固まってしまったゼロを見て、部下が馬鹿みたいに質問をした。
「なんで、そんなに驚いているんですか」
部下の質問に冷静さが戻ったゼロは語気を強めて部下に答えを出した。
「お前な怪物を使役するアイテムは実際に存在するが、永続的に使役するなど不可能だ。つまりその不可能を実現したアイテムの価値は最低でも金貨2000になりうるだろう」
ゼロが出した結論に他の五腕が驚く中、ゼロは疑問を出してしまった。
「法国の神官なら兎も角、ただの村娘が持っているのは疑問が残るな。誰がバックについているんだ」
ゼロの出した疑問に回答があるはずも無く、その日の会議は有耶無耶に終わってしまった。
ただゼロの疑問が解ける日は、決して遠い日ではない。