他の世界では不死王と呼ばれ、温厚な人物すら見捨てられたアンデットはドブの森で魔法の研究をしていた。
「今日も魔法の深淵に近づけただろうか」
魔法を研究する一体のアンデットは、幾ら無限の時間を持つと言っても中々進まない研究に対して、自分は既に限界ではないのかと。
そんなアンデットに対して、唯一の友と言えるジャンガリアンハムスターが、陽気に話しかけてきた。
「ノック殿。これを見て欲しいのでござるよ」
ハムスターが持って来たのは、ノックから見ても異常とも言える力を内包している本だった。
「こ、これはどこで拾ったんだ」
問いかけられたハムスターは事の顛末を話して行く。
「この本は殿に貰ったでござるよ」
何故か嬉しそうに本についてを話し出した。
そんな事よりも殿について疑問に思ったのだが、聞く間もなく話し始めた。
「ノック殿の事を殿に話したらくれたのでござるよ。」
と言いながらハムスターはノックに対して、魔法の深淵が書かれていた本を渡した。
本を受け取ったノックは書かれている内容に驚愕した。自分が欲しい情報しか記載されていない事に対して。
「賢王。この本を渡してくれた御方はどこに行かれたのだ」
「わからないでござるよ。ただカルネ村に行けば使者がいるので連絡を出来ると言っていたでござるよ」
明日の予定が決まったノックは、今日するべき事を考えていた。
「賢王。やはり予定を伝えた方がいいだろうか」
「その方がいいと思うでござるよ」
「ではカルネ村に案内してくれ」
ノックの頼みに対してハムスターは、ポンと胸を叩いて了承したのだった。
「任せて欲しいのでござるよ」
カルネ村に着いた二人はモモンガの窓口である。エンリに殿に会いたいでござるよと伝えると、森の中に帰って行った。
エランテルに行く前のエンリは賢王からの伝言を【メッセージ】でモモンガに報告した。
「モモンガ様。例のアンデットが会いたいとやってきましたがどういたしますか」
「そうだな。明日行くので、来たら待機しておけとハムスケに伝えておいてくれ」
「畏まりました。モモンガ様」
次の日
カルネ村に着いたノックは、モモンガの圧倒的なオーラに神速の速度で膝を着き、忠誠を誓った。
「圧倒的な力を持つモモンガ様。ここに忠誠を誓います」
いきなり忠誠を誓われた一般人は、内心驚いていたのだかもう慣れたもので、王の振る舞いをするのであった。
「良いぞ、デイバーノック。お前の忠誠を受け取ろう」
「ありがとうござす。先日貰った本は大変勉強になりました。そのおかげで持論が完成しそうでとても嬉しいです」
デイバーノックの持論について質問をしようと思いついた。
「デイバーノック。お前の持論とは一体なんだ説明しろ」
「はっ了解いたしました」
そう言うとデイバーノックは持論の説明を始めた。
「魔法を会得する上での最適化した持論であります。」
「その持論を詳しく紙に書いて提出してくれるか。秘密にしたいなら開示しなくても良いぞ」
とは口で言いつつも、本心では欲しいなと思っているアンデットを他所にデイバーノックは、アンデットの欲している言葉を発言した。
「勿論。良いですよ、私の持つ知識はこの時を持って全てモモンガ様の物でございます」
〇〇〇〇
とある骸骨と将軍の密談
「エンリよ。エランテルに行き出来るだけ悪評を付け、私が与えたアイテムを鑑定して貰え」
「了解しました。しかし何故そのような事をするのでしょうか」
「簡単な事だよエンリ。お前が悪評を立てれば味方がいなくなり次なる作戦に大いなる布石となる」
「作戦とはなんですか」
「まだ詳しくは言えないな。ただお前が餌となり王国の裏に存在する可能性がある組織を誘き出す事が出来る」
「私は死ぬのでしょうか」
「それはない。私がモモンガの名前にかけて必ず救出に向かう。ただある程度の痛みが伴うだろうがな」
「はっ構いません」
「では期待しているぞ。エンリ」