こうしたヤクザ映画の「衰退」を目にしながらも、梅宮さんは一群の作品が持つある種の普遍性、そしてヤクザ映画への強い愛についても言及していた。
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梅宮 今、ヤクザ映画の新作を作ったら、うけると思うんだけどなあ。あの頃と日本の組織の仕組みは変わっていないし、なにより群像劇を描く舞台としてヤクザの世界はぴったりなんだから。(中略)俺は『はぐれ刑事純情派』では警察署長に扮したし、バラエティに出ることもある。だけど、一番楽しかったのは若い頃演じたヤクザ役だな。当時、どの映画館も深夜まで満席で、通路に新聞紙を敷いてまで、スクリーンを見つめる観客が大勢いた。それを見た時の感動は忘れられない。
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テレビドラマ、バラエティでの活躍も多かったが、その一方で、本人の中では、あくまで「ヤクザ映画」の俳優であることがアイデンティティの中核にあったのかもしれない。