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東方白銀狼 (旧白狼物語) 作者:水城野

一章 「白銀誕生之章」

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第八話「再開して、怒って、去って」

遅くなった上、また短くなってスイマセン(・ω・`)


では、白狼物語第八話「再開して、怒って、去って」をどうぞ!

朝起きて修行を終え、ラジオ体操モドキをやった後、私は本殿の方に歩いて行く。その途中、ふとこの二か月のことを思い出してみる。


充実した二か月がたった。


基本的には紅葉の指導のもとでマコトと一緒に修行をして、暇なときは周囲の探索や、最近、食糧確保、兼、趣味と化した狩り、そしてキクさんたちのところへ遊びに行くこと、などであった。


二か月前のマコトの間違った説明より、相変わらず村の人たちは私を見るたびに拝んでくる。私は神の使いではないので、拝まれても何もすることができないので、凄く申し訳ない気持ちになる。

しかし、アオイさんとキクさんの作る団子が美味しいので、また食べたくなって村に行ってしまう私である。


……本当に自分は現金っていうか、本能に忠実になっているというかなんというか

そう思うと自然とため息が出てしまう今日この頃である。


修行については、紅葉に教えてもらっていることや、バカ父と修行していた時より明らかに長い二か月という修行期間だったので、だいぶ上達してきた。

まだ霊弾は作れないけれど、身体強化や、体力などを上げたので一人で色々できるようにまでなった。

二か月でここまでやると上々だろうと、紅葉も言っていたし。

それにしても、朝ごはん何かな~


私はそういって本殿前に置かれた足ふきで足をふき、本殿に上がる。

上がったそこには紅葉が誰かと話していた。

その人物を見て、思わず足を止める。なぜアイツがいる。

私がそう思うと同時にアイツは紅葉との話を中断し飛び掛かってきた。



「あ、木葉! お父さんだy」

「死にさらせぇぇええええ!!」


私は身体強化を使い一気に加速する。

加速した私の体はアイツ――バカ父の横腹に直撃する。バカ父の身体がよろめく、私はたて続けて攻撃した。

そして、私が床に着地したすぐ後、ボロボロのバカ父が落ちてきた。

あの時、崖から突き落としたお礼だ。これだけ殺れば大丈夫だろう。私はそう思い落ちてきたバカ父を見る。



「いや~成長したなぁ。木葉が成長してお父さんは嬉しいぞ!」



前言撤回。このバカ父は一回殺してみないと経験しないようだ。

私がそう思い私が攻撃しようとしたが、紅葉が止めに入った。



「木葉、そのぐらいにしておきなさい。彼もわざとやっている訳じゃないんだから」



その言葉をきいて落ち着いた私は、紅葉の横に座る。

私は、この稲守神社の居候の身だから、家主である紅葉に逆らうわけにはいけないのだ。



「んで、何をしに来たの、バカ父」

「なんか少し見ない間に木葉の言葉づかいが荒くなっているんだけど」

「……(ていうか私、木葉が喋っているの初めて見たんじゃないかしら?)」



バカ父が涙目になり、紅葉が首をかしげているが、そんな事は関係ないので私はバカ父に問う。

バカ父は少し経つと立ち直ったのか座りなおす。

そして、おそらく今までで見たバカ父の中で一番真面目であろう顔で言った。



「単刀直入にいう。山に帰ってこい。木葉」

「はぁ!?」



私が驚いているのを構わず、バカ父は続ける。



「群れのみんなの説得は終わり、いつでも木葉を群れに受け入れられる状況になった。だから迎えに来たんだ」



私はその言葉に絶句する。

確かに私を逃がす時にそのようなことを言っていたが、正直この二か月間が濃過ぎて覚えていなかった……



「私はそのことに賛成よ」

「え」



紅葉がバカ父が言うことに賛成した。

それは私には意味が分からない行為だった。私がなぜと問いかける前に紅葉は喋り始める。



「最初に言ったはずよ。私は貴女を大人になるまではここに置いておくと。貴女はもうひとりで生きていけるぐらいは強いわ。更に貴女の父親が迎えに来たのよ。だから貴女をここで返すことが最良の選択と思ったの。わかったかしら?」

「わからないよ……」



そうわからない。わからないし信じたくもなかった。

あの紅葉がこんな易々と私を返すとは思わなかった。反対してくれると思った。しかし現実はそうはいかなかった。



「わからないよ!」



気づけば私は逃げ出していた。








いつの間には私は神社から少し離れた修行場に来ていた。

なぜ、ここに来たのはわからない。

私はよく休憩中に座っていた切り株の上に座り、心を落ち着けることにした。



「こ、木葉さん。ここにいましたか!」



だいぶ時間がたった時、神社の方からマコトがやってきた。

何の用であろうか? どうせ私を連れ戻しにいたのだろう。



「紅葉様がお探しになられてました。さぁ本殿に向かいましょう」



ほらやっぱり、私を連れ戻しに来たんだ。今は一人にして欲しい。

私は立ち上がり逃げようとした。しかし、そのことを予想していたのであろう。

マコトは私が逃げる前に私を抱きかかえた。

逃げ出したかった、でも出来なかった。先ほどから、こんなことばかりだ。



「木葉さん。少し、お話しましょう」



マコトは私を抱えたまま、先ほどの切り株に座る。

私の耳には優しく私を抱える彼の鼓動が聞こえた。その鼓動を聞くと心が落ち着いた。一人で切り株の上で瞑想するより何倍も効果があった。



「事情は紅葉様から聞きました。木葉さんはこのまま神社にいたいのでしょう。それに、父親に対して『何か月も放っておいて今更何を言う』と思うでしょう」



私は頷く。彼も続ける。



「でも、木葉さんの父上の姿をよく見ましたか? 彼は隠しているみたいですが、木葉さんが負わせた傷を抜いても体中が傷だらけでした。よほど木葉さんのために頑張られたと思います」



私は先ほどのバカ父の姿を思い出す。

確かに二か月前の姿と比べたら、明らかに傷だらけになっていた。更にどれも大きな傷だった。


……私のためにそこまで、あのバカ父め


私がバカ父への評価を改めているとマコトが更に強く抱きかかえてくる。



「僕も紅葉様も、木葉さんのことを大事に思っています。だからこそ紅葉様の言っていることにはきっと意味があるはずです。だから……だから紅葉様を信じてあげてはくれませんか?」



マコトの声は震えていた。

それでも目は凛と私を見つめていた。その眼には決意の意志であった。

その目を見て、紅葉とマコトを信じたくなった。いや信じなければならないと思った。



「ありがとうございます。さあ行きましょう」



私の意思を読み取ったのか、マコトは立ちあがり私を抱えたまま本殿に歩いて行った。

そして、本殿に戻り、共に変えることを話した。

その後、夜、紅葉と最後の夕食を共にして、私は父に連れられて稲守神社を去ったのであった。

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