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東方白銀狼 (旧白狼物語) 作者:水城野

一章 「白銀誕生之章」

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第六話「勘違いされてイライラして」

投稿が遅れてスイマセン。

体調を崩していましたorz

それでは、長らくお待たせしました。


白狼物語第六話「勘違いされてイライラして」 どうぞ!

――あ~た~しいあ~さがきた♪ 

――きぼ~おの あ~さが♪



「木葉、貴女さっきから何やってるの? 無駄に楽しそうだけど」



紅葉が本殿から不思議そうに尋ねてきた。

現在、寝不足だが奇跡的に二日酔いにならなかった私は眠気を吹き飛ばすために、本殿前の広場でラジオ

体操を模したストレッチ(要は体伸ばし体操)をしている。

何故ストレッチかというと、私の体が狼だから人間のような二足歩行が出来なかったのである(逆にできたらすごいのだが)。

ストレッチ自体は地べたに伏せて体を伸ばすだけでもできるので今の私でも可能なのだ。



――体伸ばし体操



「ふーん……マコトが朝食が出来たといってたわよ」



――すぐ行く!!



やはり朝食を食べないと一日は始まらないのである。

私は紅葉の後に追い、本殿の中に入った。








「――て、言うことが貴女が寝た後あったの」



朝食の途中に紅葉様が木葉さんに何かを自分にはよくわからないこと話を話した後、木葉さんが紅葉様をじっと見て動かない。驚いているようにも見える。

今、紅葉様と昨日この神社に迷い込み、ここで飼われることになった木葉さんは用意した朝餉あさげを食べている。


献立は

主食に秋に取っておいた栗を使った栗おこわ、貴族の方々が食べるように高積みにはしていなく一食分。

副食に焼き鳥と煮茸、畑からとってきた大根のお吸い物。茄子などの乾物。

その他献上品にあった果実・お神酒など……


紅葉様は貴族たちのように一つのご飯を何回も分けて食べるのをお嫌いになるのでこうやって分けて食べます。木葉さんには焼き鳥と一応飲み物として、私と同じ水を出しました。

僕自身の食事は他の宮司とともにまかない食を食べたので、今はお二人の食事風景を眺めています。



「これからどうするのかしら? …………そう、なら私に考えがあるわ」



食事を終えた紅葉様と木葉さんはそのまま本殿に残り、何かを話しているようです。

僕には紅葉様しか声をお出しになっていらっしゃらないので紅葉様がひとりでお話になっているようにしか見えないので何とも不思議に見えますが……。



「マコト。ちょっといいかしら?」

「はい。なんでしょう」



僕は紅葉様に呼ばれて二人のところに向かった。








私は朝食を食べたあと、紅葉に自分を鍛えてほしいと言った。

いくら霊力が多い白子だとしても私は非常に弱い幼い狼だから今世を生き残れるかはわからない。だから当分の目標は「強くなって今世を生き抜くこと」だろうと思ったのだ。

どうだろう。



「マコト。ちょっといいかしら?」

「はい。なんでしょう」



紅葉がマコトを呼び寄せた。

マコトが待機していたところから私たちがいる所にやってくる。



「そういえばアナタ、前に霊力鍛えたいって言ってたわよね」

「……はい言いました。けどなぜそれを今?」

「木葉が霊力を鍛えたいって言ったから、アナタも同じことを言ってたことを思い出したの。一緒に修行させようかと思って」

「ああ、それで」



マコトは納得したように首を縦に振るが何か気になる点があったのか、すぐに首をかしげる。

どうしたのであろうか。



「紅葉様……木葉さんは普通の狼とは違うのでしょうか?」

「……身体が白い時点でおかしいと思いなさいよ」

「いえ、ただそういう子なのかなーと思ってまして」



紅葉は苦笑いしながら手を額に当てる。

マコトっていろいろなことができるけど、最初のこともあるし少し抜けているのだろうか?



「木葉は白子と言って霊力が特に多い個体がよくなる姿なの……このことは色々な動物に起こり得ることで、蛇、狐、狼、もちろん人間にもありえるわ」

「へえーそうなんですか」

「ええ、こういう個体はよく八百万の神の使いともいわれいるわ」

「え! そうなんですか!!」



マコトが驚いたように私を見る。

いや、私も初耳なんですけど……



――心配しないで大丈夫よ。これはここでの貴女の立場を確立するために必要なことだから



頭の中に紅葉の声が響いた。

こ、コイツ直接脳内に……っじゃなくてなくて、



――え、ちょ、紅葉。紅葉の声が頭に響くんだけど……

――ええこれは神通力の一種で……説明が面倒だがら貴女でいう『テレパシー』かしら、これは使うと疲れるから普段は使わないけどね

――マジすか

――マジよ



紅葉は驚いている私を面白そうに見る。

なんか悔しい。

マコトは固まったまま動かない私たちを交互に見てオロオロしていた。

可愛い。紅葉がマコトは見てると可愛いといった意味がわかった気がした。



「そう言うことだから、マコトと木葉。あなたたち散歩に行ってきなさい」

――「はい!?」――







木葉とマコトは神社の下の村やこの周辺に散歩に行くために階段を下りている。

その後ろ姿はぎこちなく不安そうである。

私はその光景を階段上の鳥居から見ていた。

本来私が木葉にはいずれ村のことやその他のことを教えなければならなく、マコトもマコトで私の世話をしなければならない立場である。


でも『なら、なぜあの二人を組ませたのか?』と聞かれたら私は迷うことなく『なんとなく』というだろう。



「ふふふ、さてどんなふうに転がるかしらね」



だいぶ遠くになった二人の背中を見ながらそう呟いた。

冷たい風が私のそばを通り、私の髪や尻尾を揺らす。



「さ~て、私もやることやりましょうか」



私は本殿に足を進めた。







僕と木葉さんは村の入り口まで来ました。

現在の時刻は午の初刻(午前11時)でみんな畑とかに行っているため途中誰すれ違うこともなく着くことができました。

木葉さんの様子を見てみる。

木葉さんは私の隣で尻尾をさっきから嬉しそうに振っているので多分楽しいんだと思います。

まぁ僕は紅葉様みたいに動物の声がわかるわけないので彼女が何をどう思っているのかよくわかりませんけど。

木葉さんがこちらを見て、頭を村の方向にむける。

村の中を見たいのかな……じゃあ、とりあえず村に入ってみよう。

僕たちは村の中に入って行った。



「ほんとだマコトじゃねーか。こんなところでなにしてるんだ」

「あ、アツシ」



僕と紅葉さんが村の中に入ってすぐにアツシとあった。

最近は忙しくなって顔は合わせても挨拶ぐらいしかしてなかったが、小さい時は彼や彼の妹と川や山でよく一緒に遊んだりした。

実際、アツシは僕の中で一番の友人である。

そんなことを考えているとアツシは隣にいる木葉さんのことが気になったらしい。

僕はアツシに事のなりゆきを説明するのであった。







最初、紅葉にマコトと一緒に出掛けて来いと言われたときはなぜだろうと疑問に思ったのだが、今の私はそういうことを考えずただこの時代の村に行けるということで無駄に喜んでいた。

紅葉の話から現在が多分『平安時代初期(794年~902年)の大宰府の近く』ということと、この世界には前世の自分がよく見ていた『東方Project』の世界であるということに確信を得たことも、この無駄な喜びを助長していた。


入ってすぐにアツシという十代後半ぐらいの青年にあった。話を聞く限りマコトと同い年で幼馴染であるらしい。

私的にはマコトの年齢が十七歳だったことに驚きだった。


現在、私とマコトはアツシに連れられて彼の家に来ていた。

この時代は場所によってはまだ竪穴住居が使われている時代であるが、当時の日本のナンバーツーの都市の近くなので普通の家であった。

家には彼の母と妹、さらには妊娠した妻がいた。

この年齢で既婚者でもうすぐ子持ちとは……流石平安時代である。

彼の話だと彼の父親は大宰府政庁の方に勤めている役人の一人であるらしい。他にも兄が何人かいるらしい。

その後、マコトとアツシは家に上がり軽い軽食を食べ、マコトの間違った説明で私が神の使いと間違えられた私は彼の奥さんと妹さん(名前は順にアオイさんと、キクさん)に毛並みをといてもらっていた。

とても気持ちいい。



「なあなあ、マコト」

「なんだい? アツシ」



二人が何か話している。

マコトは幼馴染ということも口調が砕けている。



「俺はもうアオイ結婚して、もう子供も授かった」

「ああ、いきなり結婚するって聞いたときは驚いたけど……」

「俺とお前は同い年だろう」

「ああ」

「そこでだ」



アツシは水の入った容器を置き、真剣な眼つきでマコトを見る。

マコトは勢いに押されてか、少し居心地が悪そうだ。



「お前とキク、結婚したらどうだ?」



マコトとキクさんが思いっきりむせた。

そして二人は顔を赤くしながら「いや、自分は修行中の身だから!」とか、「い、いいきなりそんなこと言ったらマコトさんが困るでしょう!」とか言ってアツシに抗議していがアツシは適当な返事でそれをかわしている。



「ふふふ、あの二人はね。小さいころから遊んでいた仲なの。そしてあの二人昔からお互いのことが気になっているのに勇気を出せないでいるの。そんな二人にあの人は我慢できなくなったんでしょうね」



その間にアオイさんが疑問に思っている私に二人の関係を教えてくれた。

私は三人を見る。

マコトとキクさんの顔は真っ赤で口ごもりながら、お互いに顔を背けている。

まんざらでもなさそうだ。

アツシはそんな様子をニヤニヤしながら見ている。


その光景を見てこの時代にもそんな小説みたいなことが起きるんだーとか、アツシニヤニヤしすぎとか思わず。単に元現代人の私から見た結果は一つ。



――メッチャ壁殴りたい



そんな感じの昼下がりであった。



……書いててコーヒー(微糖)を何杯か飲んでしまいました。作者の水城の士官です。


今回も補足説明を一つ。


当時の庶民での初婚は男性だと満17~20歳ぐらい、女性だと満13~15歳くらいで結婚だったそうです。



それではこの辺で!


※感想、アドバイス待ってます

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