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東方白銀狼 (旧白狼物語) 作者:水城野

一章 「白銀誕生之章」

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第二話「修行して崖から落とされて」

少し遅くなりましたが、第二話「修行して崖から落とされて」です。

ごゆるりと、読まれてください。



※2014/03/30 改訂

あれから数日経ったある日、父親が深刻そうな顔をして私を妹たちと離れたところに呼び出して、開口一番に言った。



「突然ですまないだが木葉。お前、あと数日後に死ぬかもしれない」

「…………はい?」



ちょっと待て、この父親今なんて言った。

私は父親の顔を見る、見かけは普通の狼なのだがなんとなく悩んでいるのが分かった。



「周囲の他家族や、族長らの話し合いを偶々盗み聞きしたら忌み子は殺なければ……いっその事、奴の一族ごと皆殺しなけば』と言っていた。多分には家に押し掛けて来ると思う」

「…………」



私が返す言葉が見つからないのをいいことに父親は「何が忌み子だ……あのバカどもめ………」などと、悪態をついている。そして「待ってろ木葉、いつかお父さんが完全に群れを掌握してあげるから……」更に物騒なこともいっていた。


えーたつまり父親の話を要約すると、



1、白子の私(木葉)が産まれる

2、白子は霊力を持つことや色が白いことから何かの災いをもたらす「忌み子」と回りの家族から勘違いされる

3、群の上層部は災いが起きる前に私を追い出すor 葬っておきたいと思い近々決行しそう

4、それに感づいた父親がどうにかしようとしている←いまここ




ふむ、ここから推測できるのはアレだ。

私、死んじゃうかも………あ、でも殺され方によっては生き残れる確率が微レs



「そうそう、おおよそ木葉は近くの崖から突き落とされると思うから今のうち覚悟しときなさい」

「それどこの虎の親子!?」



それってあれだよね!?

あの「虎は子供を育てるために子を谷に放り投げる」っていう、どう見ても幼児虐待にしか見えないあのエゲつない行為だよね!?

死ぬから!絶対死んじゃうから!! 更にいうと、こんなか弱い子供狼(♀)を崖から落としたらザクロの実と同じような感じになるだけだから!!

……ああ私の第二の人生(狼生)はここで終わっちゃうのかな……

ここ二ヶ月の記憶が蘇ってくる。

短いがたのしい人生であったな……でも、せめてもう少し美味しいものを食べたかったな……



「落ち着け木葉」



父が言ったその言葉は混乱し現実逃避している私を現実に引き戻した。

何かいい考えがあるだろうか? さすが私の父(親ばか)である。

私は期待のまなざしで父を見る。父は笑いながら言った。



「私にいい考えがある」



ちょ、お父さんそれフラグなんですけど……

私の中で不安はさらに膨れ上がるのであった。










一先ず洞窟に戻った私と父は家族と一緒に食事を済ませた後、今度は近くの誰もいない原っぱに出てきた。

何をやるの気なんだろう?



「お前に教えるのは霊力の使い方だ」

「使い方?」

「ああそうだ、まず霊力がどのようなものなのかわかるか?」



私は前世の記憶から霊力についての知識を引っ張り出してみる。

確か……



「『魂』からくる力だっけ?」

「そんな感じだ。『魂』はどんなモノにも存在する。生き物の場合は『霊力』妖怪の場合は『霊力』という感じに分かれている。つまりこの二つはその魂やそこから生成される『精神力』を使い、生成される不思議な力ということだ。」



漫画やアニメとかでは定番だもんねー

私は前世の知識と照らし合わせ頷く。

父は「やっぱり木葉は頭がいいから助かるなー、流石私とアイツ子だ(ニヤニヤ)」と親ばか発言を挟んだあと続ける。



「んで霊力は体力と同じように個人差があるし鍛えることもできる。これらは『妖力』も基本的に同じだから覚えておいて損はないぞ。そして、これらの量に関わらず偶に『能力』というものを持っているものもいるんだ」

「能力?」



その言葉に私の脳内でとある中二病をモチーフにしたラブコメアニメのオープニングが流れた。

能力!! なんという中二病的響きだ!!! 

私が心の中であほなことをやっているが父は知らずに話を続ける。



「そう、一般的には『~程度の能力』という感じに言うらしい。ただこの『~程度の能力』は自分で気づかないと開花しないらしいけどな。あと皆には言ってないけどお父さんは一応持ってるから、能力」

「え!?」



私は父の話自体すでに驚きなのだが、その話の中にあったある二つの言葉が特に気になった。

『~程度の能力』!?それって確かあれだよね。あの有名な「東方project」で出てくるキャラクターたちが使う能力のことだよね!??

つまりこの世界はアノ世界ということなのか!?

考えもしなかったことに私は驚く。

というか待て、今この父親なんて言った。

私は気になったもう一つの言葉のことを父に聞いてみる。



「ね、ねえお父さん」

「なんだい木葉」

「……お父さんってその能力ってもってるの?」

「ああそうだよ。でも弱いし、群れでは他は誰ももってない。お父さんは白子ではないけど霊力を大目にもっていたんだ。そして偶々通りかかった旅人さんに教えてもらったから気づけたんだけどね」

「…………それ、どんな能力なの?」



私はそこがとても気になった。

もしかしたら実はものすごい能力だったりして……とおもながら私は父を見る。

父は少し黙りこんだ後、覚悟を決めたようで「弱いし誰にも言わないでね」と忠告した上で言った。

その姿は狼だけど雰囲気は人間そのものに見えた。



「――『予知する程度の能力』 それがお父さんの能力だよ」



その言葉を聞いた私はただ一つだけ思ったことを心の中で叫んだ。



――チートじゃないですか……









あれから落ち着いた私は父と共に特訓をした。

と言っても修行状況は漫画のような「巨岩を砕く」やら「高いところからひもなしバンジー☆」みたいものではなく。普通にTVとかであっていた「瞑想をする」や「滝にうたれる」などであった。

これらの修行の目的は至って簡単で『意識を集中させる』であって、霊力っていうものを意識できるようにするらしい。

そして認識できたら次の段階『霊力の使用』に入った。

これが出来るようになると、ジャンプ力を上げたり、体を固くしたりする『身体強化』や体を空中に浮かばせる『浮遊術』などができるらしい。

なんか本当に漫画やアニメのような感じで、それが使えるようになるかも知れないと思ったら心が躍る。

んでそんな私が今回習得を目指すのが、この『身体強化』か『浮遊術』であり、これのどちらかを習得できれば例え崖の上から突き落とされようとも生き残れる可能性が高い、と父は考えたらしい。

しかし、その父の考えや私の気持ちとは逆の状況が現状であった。

現在、父から死亡宣告もどきか三日たったのだが、



「うーん……霊力の感知は予想以上に早く行けたから、木葉のセンスは結構いいと思うんだけどな……何が悪いんだろう?」



父はそういいながら首をかしげる。

狼なので実際は首を振っているようにしか見えないのだが

現在、私は『霊力を使用』段階に入ったのだがその肝心の『霊力の使用』がうまくできないのである。

手に霊力をためるぐらいはできるようになったのだがこれではあまり意味がないらしい。

例え、体の一部を硬化させて着時事に勢いを相殺しようとしても一か所じゃ無理があり骨折などをして重症な事態に陥るかの世が高いかららしい。



「いっそのこと、危機的状況に陥らないとちゃんと発揮できないのかなぁー。木葉、そこの崖から飛び降りてみてくれ」

「お父さん、怖いこと言わないでよ」



この前からお父さんフラグっぽい台詞ばかりいってるからな……そろそろ回収ターンが来るんじゃないだろうか……と考えていると、突如私と父は他の狼たちに崖側を除くいて囲まれた。

父はとっさに私を自らの後ろ側に移動させた。



「おい、あずま(木葉父)。長や会合で決まった通りその娘をこちらに引き渡してもらうぞ!!」

「断るといいたら?」



父がそういうと私を捕えに来たメンバーの隊長らしき狼が笑いながら



「その時は宣告道理にお前の一族を皆殺しにする」

「……」



父はその言葉に少し黙り込んだ後、私の方を見た。



「木葉、お父さんは少し間違ってたみたいだ」

「えっ」



もしかして、私見捨てられるのかな?

私がそう思い諦めそうになった。しかし父は「そういう意味じゃない、お父さんはいつでも木葉の味方だよ、ただ……」と言って間を開ける。

私は意味が分からず。父に問いかけようとした、が出来なかった。

なぜなら私の体は空中に投げ出されていたからだ。

……え?

私はたぶん突き落とした犯人であろう父を見る。

優しい笑顔だ。

そして、父は私に向かって何か口パクで言っていた。



『ガ・ン・バ・ッ・テ・イ・キ・ロ』



重力に従って私の体は崖の下にある川に落ちていこうとする。

この時、私はさっき父が言おうとした言葉の意味を悟った。



『崖から落ちる未来はあいつらじゃなくて、自分が逃がすために突き落とした。だからごめん。頑張って生きて』



先ほどの父の目がそういってる気がした。

私は全力で父に向かってお返し言葉を言った。



「帰ったら覚えてろ、このバカ父ぃぃいいいい!!!」



私の体は重力に従って落ちて行った。

ご感想、アドバイス、待ってます。

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