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東方白銀狼 (旧白狼物語) 作者:水城野

一章 「白銀誕生之章」

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第一話「気が付いたら狼になって」

始めましての方は初めまして、あったことがある方はこんにちは作者の「水城の士官」です。

いつもは戦記をかいていますが、ふと頭の中にこの話が浮かび書きました。

ぜひ、ごゆっくり見て行ってください。



※2014/03/30改訂

「……は…………木葉」



私は誰かに呼ばれ、目を開けると、見たことがない場所だった。

ココはどこだろう、周りを見渡してみる。

視界は霞んでよく見えない。しかし、ごつごつした岩や湿った感じがする土、薄暗さから、ココが洞窟の中だということは分かった。

私は「何故、自分がこんなところにいるんだっけ?」と、まだ覚醒しきれてない頭で考える。

友達と居酒屋に行って、帰ろうとして、それから……どうだっけ? いくら思い出そうとしても思い出せない。それどころか、自分がいつ寝たのか、何でこんな所にいるのかすら分からない。



「……目が覚めたのか、木葉?」



先ほど聞こえた声がまた聞こえた。

若干混乱してかけている私にとって、その声はこの状況を打開するのに一番大切な手がかりだと思った。私は未だ霞んで見えにくい視界を疑問に思いつつも、その声がする方向を向いた。

しかし、何も見えない。

いや、見えないというより霞がひどくて見えにくいのである。

ここまでくると霞む視界に多少いらだってきた。

その時、何かやわらかい感触の何かが体に当たった。私はそれを触ってみる。

毛布だろうか? 肌触りは頬ずりしたくなるほど気持ち良い。

やばい……自分の部屋に置きたい。そんな欲求が生まれてくるほどである。

もっと触っていたい私はその毛布を引っ張った。



「ちょ、木葉、イタイイタイ。やめてやめてお父さんの一張羅が破けちゃうから」



そう言って、何かが私の手を触った。視界が暗くなる。

その影が先ほどから聞こえる声の主だとわかった私は霞む視界の中、それを見た。

それは犬のようなシルエットでだった。いや、むしろその方が幸せだったかもしれない。奇跡的に霞む視界でもそれに対してピントがあってしまったのだ。

私はそれ(・・)を見て硬直する。



「? どうした、木葉? お父さんだぞ~」



そこには、アップの狼の顔があった。



「ぴゃぁああああああ!???」



ガブッ



「ぎゃぁぁああああ!?」



私は、驚きのあまりその狼に噛みついてしまった。









あれから、一月経った。


あの後、まずわかったことは『自分が狼の子供になってしまっている』ということだった。

もう慣れたがやはり狼と人間では体の構造が違うのである。

視点が低いことや身体が小さいこともあっていろんなものが大きく見えるのだ。例えば、住んでいる洞窟のそばに蜜柑みたいな果物があった。その蜜柑みたいのは人間の時には野球ボールぐらいだったと思うのだが、この姿ではソフトボールの球より大きく見えたりした。

嗅覚や聴覚は人間の時より断然よいので、周りの音や匂いが気になって仕方がなかった。

そんなこんなの心へのダメージがだたでさえ大きかったが、更に追い打ちをかけることも推測できた。

『どうやら自分は死んでしまったらしい』ということだ。

何故そんなことが分かるかというと、親(狼)が言うには私は今から丁度二か月ぐらい前に生まれたらしいという理由。ただそれだけであった。しかし手がかりがそれしかないとはいえそう推測できる答えを私はもっていた。



『転生』死んだ魂が次の生に生きること。である。



私がよく見ていたインターネット小説や漫画、SSではこういうパターンでの転生がたまにあるのを知っていた。だから導き出せたのであった。

うん、前世の私偉い。

ということで前世の私は多分、何か事故かなんかで亡くなって、その後こうやって私の魂が次の生に移行した。ということであろうと勝手に予測する。

ただこう言った前世で手に入れた知識はあるのだが、そのほかの特に前世の私についての情報が欠落していた。

例えば『名前は?』『性別は?』『生年月日は?』『家族構成は?』『何故、死んだのか?』などである。

これも小説ではよくあることなのだが、実際、欠落してみると地味にショックだったりする。

逆に、唯一自分について分かることや知識に言えば、私は前世の世間的に言う『オタク』の分類に入ると思われるような知識を持っていたり、歴史、算数などの一般的な教養もちゃんと入っていた。

何か苦笑いしたくなった。



狼に転生して、自我が再構成されたばかりの時はあまりの驚きに変な悲鳴を上げて父親(狼)にかみついてしまったが、今は落ち着いている。

父親も「まぁ木葉もこどもだしね~、そんなことよりもこんな小さいのにもうこんなにも喋れてお父さん泣きそう」と涙ぐみながらも許してくれた。



この狼親バカであった。

狼にも親バカもあるんだな……意外。



……あ、あとすごい今更なんだが私の名前は『木葉』らしい。

何かすぐに散りそうな名前なのが怖いのだが、一応親がつけてくれた名前だし、有り難く使わせてもらっている。



私は生まれて二か月、犬で言うと「社会化期」人間で言う三歳児付近になったということなので、両親にいろいろ教えてもらっている。

そこで、教えてもらったのだが、白子しらこというものらしい、その印に体は白く、目は朱色であった。

この白子というものは現代でいう「アルビノ種」と言われる個体であり、古代では霊力を持ったものとされていたらしい(例えば、白蛇)。

今世では後者の意味も含むらしく 私は身体が少し弱い代わりに霊力を持つ不思議な個体であるらしい。

なにそれ、めっちゃ嬉しい。

父親は申しわけなさそうにそう言っていたが私が感じた思いはそんな感じであった。



まぁそうなこんなで、始まった私の新しい人生というか、畜生?を満喫するために私は今日も頑張ろうと思い知識を磨くのであったとさ。

お疲れ様でした。

このような感じに進めていこうと思います。

これからも、よろしくお願いします。

そして、ご感想お待ちしております。

それではまたお会いしましょう!

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