「大学の実力」で大きな差
清華大が世界一、東大は134位
日本の1人当たりGDPが伸びないのは、生産性が向上しないからだ。
そして、生産性が向上しないのは、技術開発能力が落ちているからだ。
そこで、技術開発能力の基礎となる高等教育の状況を見ておこう。
イギリスの高等教育専門誌THE(Times Higher Education)は、2019年9月、20年の「THE世界大学ランキング」を発表した。
それによると、アジアのトップは中国の清華大学(世界23位)、第2位は北京大学(世界24位)、第3位はシンガポール国立大学(世界25位)、第4位が香港大学(世界35位)だ。
やっとアジア第5位に、東京大学(世界36位)が登場する。
そして、第6位の香港科学技術大学(世界第47位)、第7位の南洋理工大学(世界48位)と続く。アジアの大学で世界50位以内は、ここまでだ。
日本第2位の「京都大学」は世界65位となっている。
世界の上位200校に入る大学数は、中国が7校、韓国が6校、香港が5校、シンガポールが2校となっている。
それに対して、日本は、東京大学と京都大学の2校のみだ。
このように、大学の実力は、すでに、中国、韓国、香港、シンガポールに追い抜かれている。
先端的な分野について見ると、日本の立ち後れは、さらに顕著だ。
コンピュータサイエンスの大学院について、U.S. News & World Report誌がランキングを作成している(Best Global Universities for Computer Science)。
それによると、世界第1位は清華大学だ。以下、第2位が南洋理工大学、第4位がシンガポール国立大学、第6位が東南大学(Southeast University)、第7位が上海交通大学、第8位が華中科技大学(Huazhong University of Science and Technology)となっている。
このように、アジアの大学院が、世界トップ10位のうち6校も占めているのだ。
ところが、それらはすべて中国とシンガポールの大学である。
日本のトップは東京大学だが、世界のランキングは134位だ。
まるで比較にならない状態だ。
ノーベル賞は「過去」を
そして大学が「未来」を表わす
「今世紀に入ってからのノーベル賞の受賞者数が、アメリカに次いで世界第2位になった」と報道された。
これと、上で見た大学・大学院の状況は、あまりに乖離している。なぜだろうか?
それは、ノーベル賞は、過去の研究成果に対して与えられるものだからだ。