日本で「ニワトリ」はこんな風に殺されている…知られざる現実

そもそも「国産」は安全なのだろうか
岡田 千尋 プロフィール

また別の元従業員は、日本の養鶏場の意識の低さ、環境の劣悪さに絶望し、「動物を商品にするということ自体に疑問を持つ人が増えない限りなにも解決しない」と憤る。

日本は、毎年7億羽の肉用鶏(ブロイラー)を育て屠殺し、さらに海外からその半分の量の鶏肉を輸入している(5)。その量は50年間で10倍に増えた。日本人一人あたりで換算すると、1年間でおおよそ8羽、採卵鶏の肉も含めると9羽を殺して食べているということだ。

世界の陸生動物の犠牲のほとんどが鶏だ。だからこそ、肉用鶏のアニマルウェルフェアを真剣に考えることが必要なのだ。

世界は変わろうとしている。欧米だけでなくタイなどの養鶏企業もベターチキンの考えを取り入れ始めている。このようにアニマルウェルフェアに配慮した飼育に切り替えていく方法もあるし、大豆ミートなどの植物性のお肉に切り替えていく方法もある。ケンタッキーが植物性のフライドチキンを売り出し長蛇の列ができたというニュースも記憶に新しい。

身近な鶏肉だが、あなたがいったい何を食べていて、どのような環境から来て、そして将来もこのままでよいのか、一度立ち止まって考えてみてもいいのではないか。

そしてあなたにとっても、未来の子どもたちにとっても、動物にとってもよりよい選択肢を選んでほしいと願う。

なお、この文中、ずっと「鶏」ではなく「ヒナ」と書いてきた。なぜなら、彼らは見た目は大人のニワトリと同じでも、まだピヨピヨと鳴く赤ちゃんだからだ。殺されるときも、彼らはピヨピヨと叫んでいる。必死で。