注目の投稿
この20年間で学生の「質」は変わったのか? その1
2000年代〜2010年代(現在に至る)までの学生の質を比較
大学教員から身を引くという手前,その総決算のひとつとして今回は,
「学生の質」
について話をしてみます.
学生時代から含めれば20年,研究員時代を含めれば15年,教員になってからは10年,非常勤講師としても5つの異なる大学の学生をバラバラに見てきましたし,周囲の先生方との世間話も交えて分析できることを述べてみようというものです.
ただし,客観的なデータを元にしているわけではないので,その点はご了承ください.
ちなみに,「その1」と銘打っていますが,「その2」以降を書くかどうかは不明です.
あと,「質」というと学力・偏差値とか授業の成績なんかを思い浮かべる人がいるかもしれませんが,それは私にとっては「量」の概念です.
ここでいう質とは,大学生という属性をもった人間の性質のこと.
それがどのように変化してきたのかを,ここ20年ほど定点観測してきた者の一人として評価してみたいと思います.
なお,似たような話題を6年前にもしたことがあります.
■大学別の学生の特徴
明らかに変わったこと:将来のビジョンをもたない学生が増えた
「おまえ,将来どうするの?」
という問いに対し,
「ん? 分かんねぇ」
って答える学生.
今から10年前(2010年頃)でも10人中に1〜2人くらいはいました.
当時はそんな学生は,
「おいおい,おまえ,そんな感じで大丈夫なのかよぉ」
という感じで笑いものになっていたのですけど,ところが最近は,大学(の偏差値の違い)を問わず,そんな学生が急増してきたようです.
いえ,私はなにも,大学生たるもの常に将来のビジョンを明確に持っておかねばならないと言っているわけではありません.
結局のところ,大学生の時に考える己のビジョンなんて,たかが知れています.
しかし,現在の自分の行いが,これから先の人生にどのように影響していくか考えておくことは大事です.
ところが,そんな部分に関心を向けない学生が急増しています.
どうしてそんな状況になるのか?
いろいろな見解がありますが,さしあたって「大学の高校化」と称される現象です.
つまり,「モラトリアム」としての大学を通り過ぎて,「人生の通過点」として所属する組織になっています.
なので,近年あれだけ「学費が高くて大変」「貧乏学生が多い」と問題視されている一方で,逆に,自分たちがどれほどの学費を支払っているか知らない,関心がない学生も多いのです.
このギャップが物凄くシュールで不気味に映ります.
繰り返しになりますが,そういう学生は何十年も前から一定数存在しています.
しかし,こうした学生が最近になって目立つということです.
授業で発言や質問を「したくない」割合が増えた
これは私も,ここ4〜5年で顕著に感じます.
例えば,私の授業では小レポート形式で,授業に対する質問を強制的に出させています.
授業を聞いていて疑問に思ったことや,関連することを「質問形式」で書かせ,教員である私はそれに対しQ&Aのかたちで返します.
これは小説家の森博嗣氏が名古屋大学の授業でやっていた方法と非常に似ているやり方です.
詳しくは8年前に書いた以下の記事をどうぞ.
■質問させる
このスタイルでずっと授業をやってきましたが,ここ4年ほど前から急に反応が悪くなったんです.
以前は,教員評価アンケートなどにも「細かく質問に答えてくれる機会があったから理解しやすかった」とか「先生ならではの見解が得られて有意義だった」と書かれていたのに,どうやら今では「負担」になっているようなんですね.
私としても教員を辞める手前,もうこんな機会は金輪際ないかと思いますが,やり方をちょっと変えないといけないかな,と思わされるほど激変しています.
もちろんこれは,学生全体がそうではありません.
むしろ,非常に優秀な質問を投げかけてくる学生と,そうでない学生との2極化が進んでいます.
ここから言えるのは,その「授業」に対する向き合い方が,かつてとは大きく異るタイプの学生が増えているということです.
より端的に言えば,何をするでもなくただ座ってぼーっとしているという,たしかに以前から一定数は存在していた,「コイツ大学に何しに来ているんだ系の学生」が増加しているんです.
記述方式ですらこれなので,口頭ではさらに如実です.
例えば,私の体育・スポーツ系の実技では,優勝したチームとか最下位になったチームの中から一人選出して,皆の前に出て「スピーチ(一言挨拶)をする」という機会を用意することが多いんです.
それは1分とか3分といったものではありません.
わずか5秒,10秒くらい「今日の感想」を言えばよいものです.
別に大したことでもないのに,これを物凄く嫌がるんですよ.
当然のことながら,以前も自ら進んでスピーチしようという人は少なかったですし,逆に,闊達な学生は今でも進んでスピーチしてくれます.
ただ,これを「絶対拒絶」をしたがる学生がどんどん増えているんです.
つまりこういうこと.
このスピーチを担当しなくても,別に授業の成績に関わるわけじゃないし,私(教員)の機嫌を損ねることでもないのであれば,とにかく拒絶しておけばよい,という感じ.
授業の受け方を模索しない
これは学校関係の仕事をしている人であれば,「最近の子供あるある」だと思います.
領域外の人や,学生たち自身にとっては,
「え? どういう事?」
といったところでしょう.
これは教育業界に限りません.
例えば,ジュニアスポーツ指導者の方々も口を揃えて言うのが,
「最近の子供は,自分で練習を考えてやらなくなった」
「ルールを提示したり,指示を出さなければプレーしない」
というものです.
これは私も,大学生相手にスポーツ実技の授業をしていて同様のことを感じます.
例としては,サッカーなどで初心者や女子と一緒にゲームをする場合,上級者がそのままハンディキャップなしでプレーすると実力差が大きく出てしまい,つまらなくなってしまいますよね.
これについて,かつての学生なら,
「サッカー経験者はツータッチだけしかできないことにしよう」
とか,
「経験者以外がゴールを決めたら3点ね」
などとゲーム毎にローカルルールを簡単に作っていました.
ところが最近では,そういうローカルルール作りができない学生が多いんです.
「今の子供は,大人がルールを用意してあげないと遊べない」と分析している人もいます.
もっと言えば,「サッカー経験者は〜〜」というルールを作るにしても,本当はサッカー経験者なのに,未経験者のフリをして黙っている学生が頻発します.
どうせプレーが始まったら「こいつ経験者だな」ってバレるのに,ですよ.
これにしても,以前からそんな素直じゃない珍妙な行動をとる学生が少数いましたが,今ではこのパターンが多いんです.
さらに言えば,そいつがサッカー経験者だということを知っている友達が隣にいるのに,彼も「こいつ,サッカー経験者ですよ」と申告しないんです.
そういう「告げ口」をしないのが,最近の子供の社会におけるルールなのでしょうか.
でも,そんなことをすれば,結局はゲームが面白くなくなってしまい,結果的に自分も楽しい時間を過ごせなくなるのに,なぜかそういう「ローカルルール作り」の妨害となる行動をとりたがります.
これと同じことが,講義系の授業でも言えるのです.
まず目につくのが,
「友達と授業内容の情報を共有しない」
ということです.
授業の休講情報とか,教室変更などはLINEなどでバンバンまわすのに,授業内容となると機密情報の如く秘匿されます.
おいおい,皆で授業内容を共有しておけば,テストやレポート対策にもなるんじゃないのか?
とアドバイスしてあげたくなるのですが,なぜかそういう部分は「まじめ」なんですよ.
それこそ,今なら情報共有システムを簡単に構築できますし,専門の情報共有サイトもあったりします.
っていうか,Facebookって本来そういうことができるはずのものですよね.
スライドや講義資料を写メにしてアップしたり,講義の様子を動画にしてアップすることが簡単な時代になっています.
ところがどうして,そんな最先端のテクノロジーを持て余している学生が大量にいるんです.
おそらく,賢い学生たちはグループを作ってそれをやっているでしょう.
これも学生が2極化していることの一つと言えるかもしれません.
使い古された言葉になりますが,
「人間が個別化している」
ということが,如実に現れ始めたのではないでしょうか.
つまりこういうこと.
何かの課題を達成する上で,自分の手が届く範囲のことだけで済まそうとする学生が増えているのです.
協力・協調すればより良い成果が得られるのに,そういうことを検討しないわけです.
でも誤解無きよう.
何度も繰り返しますが,そういう学生は以前からいたんです.
でも,その比率がどんどん増えているのが,最近の学生の特徴だと思います.
この「協力・協調」は,学生・教員間にも同じことが言えます
教員から授業内容をもっと引き出そうとする学生が本当に減りました.
つまり,教員が「授業」として提供する時間と空間だけでしか「学術性」を見出していないわけです.
分かりやすいところでは,授業後に質問をしに来る学生が減ったと思いませんか?
これは,10年以上教員をやっている先生方であれば心当たりがあるのではないでしょうか.
昨今の大学教育改革では,
「学生による主体的な学び」
を目玉にしているのに,それとは逆の現象が波及しているようにしか思えません.
この背景には,根本的なところでボタンの掛け違いがあるような気がします.
このブログの人気の投稿
ExcelでTukey法による多重比較
統計処理ソフトを買えばいいものを,どうしてもExcelで多重比較をしたい人に向けた記事として過去に何本か紹介しました.
■エクセルExcelでの簡単統計(対応のあるt検定と多重比較)
■ノンパラメトリック検定で多重比較したいとき
■Excelで多重比較まとめ
■エクセルでダネット(Dunnett)の検定をやる方法
今回は,多重比較の中でも非常に便利な方法とされているテューキー法(Tukey法)を紹介します.
以下の記事を読んでも不安がある場合や,元の作業ファイルで確認したい場合は,
このリンク先→「統計記事のエクセルのファイル」から,
「Tukey法による多重比較」
のエクセルファイルをダウンロードしてご確認ください.
Tukey法は,これまで紹介した多重比較法と違い,統計処理ソフトを用いずにp値を算出することは難しいようです.
5%水準(または1%水準)で有意かどうかを判断する方法だけを紹介します.
例として使うデータですが,以下のようなものです.
A群~D群の4群で,各群のデータの繰り返し数は5です.
ちなみに,この各群のN数(繰り返し数)は一致していないと,今回紹介するTukey法は使えませんので注意してください.
※その後,繰り返し数(N数)が違っても計算できるTukey-Kramer法を記事にしました.
■繰り返し数(N数)が異なる群を,Excelを使ってTukey法で多重比較する
こちらも合わせてご覧ください.
「平均」というところは各群の平均値を算出しています.
そして,「分散」というところですが,以下のような関数「VAR」を使って算出しています.
VARという関数で普通に出せます.
そして,G列9番目の数値「227.8」ですが,以下のように,
各群の「分散(VAR)」を平均したものです.
これでTukey法を行う準備は完了.
参考までに,このデータでボンフェローニ法(Bonferroni法)による多重比較の結果も示しておきました.
ボンフェローニ法では,C群とD群の間にのみ有意性が認められています.
前回の記事でも書きましたが,ボンフェローニ法は4群以上の多重比較になると有意性の検出が著しく低下します.
つまり,「~の方が~よりも有意に高い」と言いたいのに,そんなふうにならない場合が多くなってしまうのです(別にいいんだろうけど).
要は,悔しい思いをする…
■エクセルExcelでの簡単統計(対応のあるt検定と多重比較)
■ノンパラメトリック検定で多重比較したいとき
■Excelで多重比較まとめ
■エクセルでダネット(Dunnett)の検定をやる方法
今回は,多重比較の中でも非常に便利な方法とされているテューキー法(Tukey法)を紹介します.
以下の記事を読んでも不安がある場合や,元の作業ファイルで確認したい場合は,
このリンク先→「統計記事のエクセルのファイル」から,
「Tukey法による多重比較」
のエクセルファイルをダウンロードしてご確認ください.
Tukey法は,これまで紹介した多重比較法と違い,統計処理ソフトを用いずにp値を算出することは難しいようです.
5%水準(または1%水準)で有意かどうかを判断する方法だけを紹介します.
例として使うデータですが,以下のようなものです.
A群~D群の4群で,各群のデータの繰り返し数は5です.
ちなみに,この各群のN数(繰り返し数)は一致していないと,今回紹介するTukey法は使えませんので注意してください.
※その後,繰り返し数(N数)が違っても計算できるTukey-Kramer法を記事にしました.
■繰り返し数(N数)が異なる群を,Excelを使ってTukey法で多重比較する
こちらも合わせてご覧ください.
「平均」というところは各群の平均値を算出しています.
そして,「分散」というところですが,以下のような関数「VAR」を使って算出しています.
VARという関数で普通に出せます.
そして,G列9番目の数値「227.8」ですが,以下のように,
各群の「分散(VAR)」を平均したものです.
これでTukey法を行う準備は完了.
参考までに,このデータでボンフェローニ法(Bonferroni法)による多重比較の結果も示しておきました.
ボンフェローニ法では,C群とD群の間にのみ有意性が認められています.
前回の記事でも書きましたが,ボンフェローニ法は4群以上の多重比較になると有意性の検出が著しく低下します.
つまり,「~の方が~よりも有意に高い」と言いたいのに,そんなふうにならない場合が多くなってしまうのです(別にいいんだろうけど).
要は,悔しい思いをする…
【やってはいけない】卒論・ゼミ論を1日で書く方法
この時期(12月〜2月)の大学はといいますと,いくつかの研究室のドアから
「今からでも卒業論文を書け.じゃないとゼミの単位出さないからな」
という怒声がこぼれてくる季節でもあります.
日本の冬の風物詩ですね.
「明日までだぞ!」
と言われてしょんぼりドアを後にした学生もいるかと思います.
そんな学生がこの記事をググって見つけていたりするのでしょうか.
以前,
■卒論が終わったので紀要を書いてみた
でも紹介したように,その気になれば + 方法がわかれば卒業論文は1日でできてしまいます.
切羽詰まった学生は 「その気」 にはなっているでしょうから,問題となるのは 「方法」 ですね.
少しだけ時間があるのであれば,後日記事にした,
■危ない大学でもちゃんと卒論を書きたいとき
や,具体的な文章の書き方を示した,
■【卒論・ゼミ論】絶望的な君が無理矢理「急成長」する方法
■【やったほうがいい】卒論・ゼミ論をまずまずの日数で書く方法 その1
■【やったほうがいい】卒論・ゼミ論をまずまずの日数で書く方法 その2
を参照してもよいでしょう.
でも,1日で論文を書かなければならないうえに,
(1)今現在,卒論は全くゼロの状態である
(2)ある程度寛大に見てくれる指導教員である
(3)卒論も大事だけど,今日の夜はコンビニのバイトがある
という条件の人は,以下の論文作成法に手を出してしまう可能性があります.
今回の記事では,
【絶対にこんなやり方をしてはいけない】という論文作成法を紹介します.
ただし,「なぜそれがダメなのか?」ということを取り上げるんだよ,という趣旨として読んでください.
あくまで「この論文の書き方は違反だ」という認識でお願いします.
この季節,
いろいろな大学で以下のような悪徳論文指導法が春の萌芽に先駆けチラホラ出現するので気をつけましょう.
これに水を撒くのはブラックな大学院生であることが多いようです.
数年前,関西の某体育大学には以下の方法を密かに(時に大っぴらに)学生に伝授する助手がいたようで,恐るべきことに彼は今,別の大学に移って教員をやっていると聞いております.
良い子は以下を読んでもマネしないように.
*************************
世にはびこる悪徳論文指導の例
まずはテーマ決め,そして緒言(序文)づくり.
今の今まで卒論に取り掛かっていない君…
「今からでも卒業論文を書け.じゃないとゼミの単位出さないからな」
という怒声がこぼれてくる季節でもあります.
日本の冬の風物詩ですね.
「明日までだぞ!」
と言われてしょんぼりドアを後にした学生もいるかと思います.
そんな学生がこの記事をググって見つけていたりするのでしょうか.
以前,
■卒論が終わったので紀要を書いてみた
でも紹介したように,その気になれば + 方法がわかれば卒業論文は1日でできてしまいます.
切羽詰まった学生は 「その気」 にはなっているでしょうから,問題となるのは 「方法」 ですね.
少しだけ時間があるのであれば,後日記事にした,
■危ない大学でもちゃんと卒論を書きたいとき
や,具体的な文章の書き方を示した,
■【卒論・ゼミ論】絶望的な君が無理矢理「急成長」する方法
■【やったほうがいい】卒論・ゼミ論をまずまずの日数で書く方法 その1
■【やったほうがいい】卒論・ゼミ論をまずまずの日数で書く方法 その2
を参照してもよいでしょう.
でも,1日で論文を書かなければならないうえに,
(1)今現在,卒論は全くゼロの状態である
(2)ある程度寛大に見てくれる指導教員である
(3)卒論も大事だけど,今日の夜はコンビニのバイトがある
という条件の人は,以下の論文作成法に手を出してしまう可能性があります.
今回の記事では,
【絶対にこんなやり方をしてはいけない】という論文作成法を紹介します.
ただし,「なぜそれがダメなのか?」ということを取り上げるんだよ,という趣旨として読んでください.
あくまで「この論文の書き方は違反だ」という認識でお願いします.
この季節,
いろいろな大学で以下のような悪徳論文指導法が春の萌芽に先駆けチラホラ出現するので気をつけましょう.
これに水を撒くのはブラックな大学院生であることが多いようです.
数年前,関西の某体育大学には以下の方法を密かに(時に大っぴらに)学生に伝授する助手がいたようで,恐るべきことに彼は今,別の大学に移って教員をやっていると聞いております.
良い子は以下を読んでもマネしないように.
*************************
世にはびこる悪徳論文指導の例
まずはテーマ決め,そして緒言(序文)づくり.
今の今まで卒論に取り掛かっていない君…
エクセルで相関係数のp値を出す
エクセルでは相関係数のp値がでない|どうやって計算するのか?
学生などから統計処理についてよく受ける質問を取り上げてみたいと思います.
「エクセルで相関係数を出したんだけど,それが有意かどうか? っていうかp値が知りたいんですけど」
というものです.
たしかにエクセルには相関係数のp値を算出したり棄却限界を示す機能はありません.
私も以前は,エクセルで相関係数を算出した場合,それが有意かどうかは「相関係数の棄却限界の表」みたいなのを利用していました. もしくはSPSSを使うとか.
でも,そんなに苦労せずに相関係数の棄却域を算出できますので,ご参考までに.
以下の記事を読んでも不安がある場合や,元の作業ファイルで確認したい場合は,
このリンク先→「統計記事のエクセルのファイル」から,
「効果量をエクセルで算出する」
のエクセルファイルをダウンロードしてご確認ください.
では早速,例を示しながら見ていきましょう. 以下の様なデータがあったとします.
ボールを投げる力「遠投力」と,腕っ節の力「握力」に相関がみられるかどうか
を調査したものです.
散布図を見ても,どうやら関連性がありそうですね.
では,このデータから相関係数を算出してみます.
以下のように,
=PEARSON(A2:A13,B2:B13)
というものを入力して「r」値を算出しました. D列2行目に「0.597875」と出ています.
ではここからが本題です.
次に,以下のようにしてt値を出すのです.
=D2*SQRT(12-2)/SQRT(1-D2^2)
今回の例のセルには,上記のように入力しています. 何を入力しているのかというと,
=相関係数 × SQRT(N数 − 2) ÷ SQRT(1 − 相関係数の二乗)
というものです.
そして最後にこの「t」値を使って,
=TDIST(D4,10,2)
というように入力したら「p」値が出てきます.
これも少し解説しておくと,以下のようにな関数入力になっています.
=TDIST(t値,10,2)
「10」というところは,自由度のことでして.今回は相関係数のp値算出ですので,
N数 − 2
である「10」を用います.
(相関係数の計算法ですので,そういうもんだと思って聞いてください)
一番最後の「2」は尾部です.
両側検定にしたいので「2」を入力しています.
なお,負の相関などでt値…
学生などから統計処理についてよく受ける質問を取り上げてみたいと思います.
「エクセルで相関係数を出したんだけど,それが有意かどうか? っていうかp値が知りたいんですけど」
というものです.
たしかにエクセルには相関係数のp値を算出したり棄却限界を示す機能はありません.
私も以前は,エクセルで相関係数を算出した場合,それが有意かどうかは「相関係数の棄却限界の表」みたいなのを利用していました. もしくはSPSSを使うとか.
でも,そんなに苦労せずに相関係数の棄却域を算出できますので,ご参考までに.
以下の記事を読んでも不安がある場合や,元の作業ファイルで確認したい場合は,
このリンク先→「統計記事のエクセルのファイル」から,
「効果量をエクセルで算出する」
のエクセルファイルをダウンロードしてご確認ください.
では早速,例を示しながら見ていきましょう. 以下の様なデータがあったとします.
ボールを投げる力「遠投力」と,腕っ節の力「握力」に相関がみられるかどうか
を調査したものです.
散布図を見ても,どうやら関連性がありそうですね.
では,このデータから相関係数を算出してみます.
以下のように,
=PEARSON(A2:A13,B2:B13)
というものを入力して「r」値を算出しました. D列2行目に「0.597875」と出ています.
ではここからが本題です.
次に,以下のようにしてt値を出すのです.
=D2*SQRT(12-2)/SQRT(1-D2^2)
今回の例のセルには,上記のように入力しています. 何を入力しているのかというと,
=相関係数 × SQRT(N数 − 2) ÷ SQRT(1 − 相関係数の二乗)
というものです.
そして最後にこの「t」値を使って,
=TDIST(D4,10,2)
というように入力したら「p」値が出てきます.
これも少し解説しておくと,以下のようにな関数入力になっています.
=TDIST(t値,10,2)
「10」というところは,自由度のことでして.今回は相関係数のp値算出ですので,
N数 − 2
である「10」を用います.
(相関係数の計算法ですので,そういうもんだと思って聞いてください)
一番最後の「2」は尾部です.
両側検定にしたいので「2」を入力しています.
なお,負の相関などでt値…
外れ値や異常値を判断する統計処理をエクセルでやる方法
「スミルノフ・グラブス検定」を紹介します
エクセルだけで統計処理するシリーズです.
今回は,これまでネットであまり取り上げられていなかった「外れ値」や「異常値」ではないかと思われるデータの処理について取り上げます.
かなり以前から「ネットにあがっていないから」と思って取り上げるつもりだったのですが・・・,のんびりしているうちに,どうやらウィキペディアにも掲載されるようになりました. ■外れ値(wikipedia)
でも,具体例を使ってエクセルで算出しているブログ記事があるのも良いかと思います.
以下の記事を読んでも不安がある場合や,元の作業ファイルで確認したい場合は,
このリンク先→「統計記事のエクセルのファイル」から,
「外れ値の算出」
のエクセルファイルをダウンロードしてご確認ください.
データを取ってみたところ,
「これって外れ値や異常値じゃないか?」
というのは,例えば以下のようなものです.
Iさんが「48」ということで,他の人たちよりちょっと大きい数値です.
これが何かしらのエラーや記入ミスなどで起こったものかどうか判別したいというケースはありますよね.
クソ! こいつさえ居なければ・・,こいつさえ居なくなれば有意性がある(ない)と言えるのにぃ! って悔しい思いをしている人は多いことと思います.
もしくは,もっと穏やかで健全な理由として
「一般的で平均的なデータだけを扱ったことにしたい」
という人もいるでしょう.
つまり,この集団と計測データの平均的な分布パターンから,その当該データが統計学的に大きく離れた値であることを示したい.
「だからこの値を異常値として除外した」
と言いたい(できれば「統計学的に有意性が認められたため」と言い放ちたい)ということです.
考え方としては,「平均値および正規分布からどれだけ離れた値なのか?」を示すことになります.
似たような統計処理に,「1サンプルのt検定」があります.
「そっちの方が知りたかった」という場合もあるかもしれません.
遥か昔に記事にしていますので,こちらもどうぞ.
■あまり知られていないt検定
では,計算に必要なデータを算出しましょう.
まず,平均値と分散です.以下のようにエクセル関数で簡単に出せます.
平均値はAVERAGE関数,分散はVAR関数です.参照セルはこのようにします.
平均値は32.6,分散は39.8…
エクセルだけで統計処理するシリーズです.
今回は,これまでネットであまり取り上げられていなかった「外れ値」や「異常値」ではないかと思われるデータの処理について取り上げます.
かなり以前から「ネットにあがっていないから」と思って取り上げるつもりだったのですが・・・,のんびりしているうちに,どうやらウィキペディアにも掲載されるようになりました. ■外れ値(wikipedia)
でも,具体例を使ってエクセルで算出しているブログ記事があるのも良いかと思います.
以下の記事を読んでも不安がある場合や,元の作業ファイルで確認したい場合は,
このリンク先→「統計記事のエクセルのファイル」から,
「外れ値の算出」
のエクセルファイルをダウンロードしてご確認ください.
データを取ってみたところ,
「これって外れ値や異常値じゃないか?」
というのは,例えば以下のようなものです.
Iさんが「48」ということで,他の人たちよりちょっと大きい数値です.
これが何かしらのエラーや記入ミスなどで起こったものかどうか判別したいというケースはありますよね.
クソ! こいつさえ居なければ・・,こいつさえ居なくなれば有意性がある(ない)と言えるのにぃ! って悔しい思いをしている人は多いことと思います.
もしくは,もっと穏やかで健全な理由として
「一般的で平均的なデータだけを扱ったことにしたい」
という人もいるでしょう.
つまり,この集団と計測データの平均的な分布パターンから,その当該データが統計学的に大きく離れた値であることを示したい.
「だからこの値を異常値として除外した」
と言いたい(できれば「統計学的に有意性が認められたため」と言い放ちたい)ということです.
考え方としては,「平均値および正規分布からどれだけ離れた値なのか?」を示すことになります.
似たような統計処理に,「1サンプルのt検定」があります.
「そっちの方が知りたかった」という場合もあるかもしれません.
遥か昔に記事にしていますので,こちらもどうぞ.
■あまり知られていないt検定
では,計算に必要なデータを算出しましょう.
まず,平均値と分散です.以下のようにエクセル関数で簡単に出せます.
平均値はAVERAGE関数,分散はVAR関数です.参照セルはこのようにします.
平均値は32.6,分散は39.8…
研究不正大国・日本|なぜ日本は不正論文・撤回論文が多いのか?
研究不正が多いのは中国ではありません,日本です
息をするように不正する.
それが日本の現実です.
かつては注目されていませんでしたが,例の「STAP細胞事件」から関心が集まるようになり,実は日本の研究業界は「不正」をすることにかけては他の追随を許さない,不正大国であることが知られるようになりました.
先日も,こんなニュースが出ていました.
■STAP細胞事件が覆い隠した科学技術立国ニッポンの「ヤバい現実」(現代ビジネス)2019.11.27 Yahoo!ニュース
この記事でイニシャル表記にされている弘前大学の研究者「S氏」とは,佐藤能啓氏のことです. ※我々の業界では有名だし,責任ある事件を起こしているのだから,姓名を出していいはず.
こんなサイトもあります. ■「撤回論文数」世界ランキング(研究者倫理)
「撤回論文」というのは,いわゆる「捏造論文」のことです(厳密には,「捏造」だけじゃないんですけど). たくさんの日本人研究者が不正研究しているのかが分かります.
ちなみに,その不正ランキング・トップ15(2019年現在)は以下の通り. 日本人研究者を太字にしました.
ヨシタカ・フジイ(Yoshitaka Fujii)、藤井善隆(東邦大学) (日本)(撤回論文数:183本)ヨアヒム・ボルト (Joachim Boldt)(独)(97本)ヨシヒロ・サトー(Yoshihiro Sato )、佐藤能啓(弘前大学)(日本)(87本)ジュン・イワモト(Jun Iwamoto)岩本潤(慶應義塾大学)(日本)(69本)ディーデリック・スターペル(Diederik Stapel)(オランダ)(58本)ユウジ・サイトー(Yuhji Saitoh)、斎藤祐司(東京女子医科大学)(日本) (53本)エイドリアン・マキシム(Adrian Maxim)(米)(48本)ピーター・チェン(Peter Chen)(台湾) (43本)フォジュルル・サルカール(Fazlul Sarkar)(米)(41本)フア・ツォン(Hua Zhong)(中国)(41本)シゲアキ・カトー(Shigeaki Kato)、加藤茂明(東京大学)(日本) (40本)ジェームス・ハントン(James H. Hunton)(米)(37本)ヒュンイン・ムン(Hyung-In Moon) (韓国)(35本)ナオキ・モリ(Naoki M…
息をするように不正する.
それが日本の現実です.
かつては注目されていませんでしたが,例の「STAP細胞事件」から関心が集まるようになり,実は日本の研究業界は「不正」をすることにかけては他の追随を許さない,不正大国であることが知られるようになりました.
先日も,こんなニュースが出ていました.
■STAP細胞事件が覆い隠した科学技術立国ニッポンの「ヤバい現実」(現代ビジネス)2019.11.27 Yahoo!ニュース
この記事でイニシャル表記にされている弘前大学の研究者「S氏」とは,佐藤能啓氏のことです. ※我々の業界では有名だし,責任ある事件を起こしているのだから,姓名を出していいはず.
こんなサイトもあります. ■「撤回論文数」世界ランキング(研究者倫理)
「撤回論文」というのは,いわゆる「捏造論文」のことです(厳密には,「捏造」だけじゃないんですけど). たくさんの日本人研究者が不正研究しているのかが分かります.
ちなみに,その不正ランキング・トップ15(2019年現在)は以下の通り. 日本人研究者を太字にしました.
ヨシタカ・フジイ(Yoshitaka Fujii)、藤井善隆(東邦大学) (日本)(撤回論文数:183本)ヨアヒム・ボルト (Joachim Boldt)(独)(97本)ヨシヒロ・サトー(Yoshihiro Sato )、佐藤能啓(弘前大学)(日本)(87本)ジュン・イワモト(Jun Iwamoto)岩本潤(慶應義塾大学)(日本)(69本)ディーデリック・スターペル(Diederik Stapel)(オランダ)(58本)ユウジ・サイトー(Yuhji Saitoh)、斎藤祐司(東京女子医科大学)(日本) (53本)エイドリアン・マキシム(Adrian Maxim)(米)(48本)ピーター・チェン(Peter Chen)(台湾) (43本)フォジュルル・サルカール(Fazlul Sarkar)(米)(41本)フア・ツォン(Hua Zhong)(中国)(41本)シゲアキ・カトー(Shigeaki Kato)、加藤茂明(東京大学)(日本) (40本)ジェームス・ハントン(James H. Hunton)(米)(37本)ヒュンイン・ムン(Hyung-In Moon) (韓国)(35本)ナオキ・モリ(Naoki M…
コメント
コメントを投稿
常識の範疇でコメントしてください。