オーバーミックス   作:青の魔術師

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第3話 死の騎士 草原に散る

 

「ニグン隊長。」

村の外を見張っていた隊員から呼ばれた隊長は計画通りと言わんばかりの態度で振り返った。

「何事か。まさかガゼフが来たのか」

「はっ。その通りでございます」

ニグンは神様に前に立ち跪くと、言葉を続けた。

「神様。ガゼフという王国で一番強いとされている人間がこの村に来ていますが、どういたしますか」

「そのものはどれ位の強さなのか」

ニグンはどの様な言い方が適切なのか、人間の限界を超えるスピードで脳を働かせて、ついに答えを導き出す。

 

「およそではありますが、難度90前後だと思われます」

突然難度など訳の分からない事を聞いたのであえて質問をする事にした。

「難度とは一体なんなのだ」

「はっ難易度とは、冒険者がモンスターの強さを大まかに数値化した物です」

「なるほど。しかしイマイチ基準が分からないな」

などと抜かす神様にに対してどうやって理解させるかを考えたニグンは村の中心に死の騎士がいるのを思い出して、それを基準にすれば良いんじゃないかと思った。

「あそこに立っている死の騎士の難度がおよそ難度が100前後でございます」

死の騎士を指差すニグンを尻目にモモンガ思考の海にダイブした。

 

なるほど。死の騎士のレベルが35だから難度100前後という事はおよそユグドラシルのレベルx3で難度が出るのか。

つまりガゼフの難度は90だから、強く見積もっても40以下なのだから問題はないか。

ただそんな人物に今あってもしょうがない気もするが、もう来るというならあって見るか。

 

「ちょっと待てニグン」

「はい。なんでしょう」

「お前はガゼフと同じ勢力ではないのだろうな」

「全く違う勢力です。ガゼフは王国で私達は法国に属しているものです」

成る程なと考え込むモモンガは、ニグンに新たなる指示を与えた。

「お前たちはガゼフに見つかると十中八九厄介ごとになるから、隠れていなさい」

「即座に隠れさせてもらいます」

 

ニグンは陽光聖典及び他の隊を集めてドブの森に向かい走り出し、あっとゆう間に消えてしまいました。

 

そうこうしていると、装備が統一性の無い傭兵の様な者達がモモンガの前に現れた。

「村長。私はリ・エスティーゼ王国戦士長ガゼフだ。そちらの方は」

そちらの方は呼ばわりされた神に不敬だと思った村長は顔を顰めるが、村長が怒る前に神が言葉を紡ぎ出す。

「私はモモンガというものです。この村が襲われているのを遠くから見つけてしまったので助けた魔法詠唱者ですよ」

「成る程。それはありがとうございました」

馬から降りて丁寧にお辞儀するガゼフに、村長が驚く中ガゼフは疑問をぶつけた。

 

「ところで、襲った者達は何処に消えたのですか」

神は無い脳をフル回転させて良い案が出ないか天に祈るもウンともスンとも、言わないので諦めて偶然の力に任せる事にした。

「あの者達ですか。みんな逃げて行きましたよ。ただ何人か殺してしまったのであの死の騎士にしてしまいましたよ」

死の騎士を指差しながら陽気に話すモモンガに対して、ガゼフは絶句していた。

 

「あれ程アンデットを作る事が出来るのですか」

「ええ。魔法で簡単に作れますよ。何なら戦ってみますか」

ガゼフは死の騎士を見つめながら息を飲んだ気がした。

「良いのですか、大切な僕では無いのだろうか」

「全然大丈夫ですよ。あんなのは量産できますからね」

あんなの呼ばわりされた死の騎士は肩から崩れ落ち、悔しがっている様子はとても新鮮で面白いなぁと思ったモモンガはそのまま続けた。

「死の騎士よ。ガゼフを死なない程度に痛めつけてやれ」

モモンガはガゼフに親指を立て、良い笑顔風の骸骨顔を向けている最中に死の騎士が襲いかかる。

 

「おおおおおお」

叫び声を上げながら殴り掛かってくる死の騎士の攻撃を避けながら、体勢を整えて戦闘を開始する。

 

戦いはお互いが拮抗した状態だったのだか、疲労しないアンデットと疲労する人間では、勝負が見えてきたと思ったのだか、ガゼフが武技を使用して死の騎士に致命傷を与えたところでモモンガからストップがかかった。

 

「凄いですね。死の騎士を倒してしまうなんて」

息が上がるガゼフに対してモモンガは賞賛を与えた。同レベルに対してよくわからない力を使用したガゼフに良い情報をありがとうの意も込めて。

 

するとタイミングを見計らったとも思えるタイミングで法国の人間が姿を現した。


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