ベリュース隊長は焦っていた。
何故なら目の前に死の騎士が立っていたのだから。
「は、早くあのアンデットを倒せー」
しかし誰もその指示には従おうとはしない。
何故ならあのアンデットと標的はベリュース隊長その人だけだったからだ。
最初こそアンデットに立ち向かった騎士達だったのだが、軽くパンチを入れられて気絶してしまう為に放置をして休んでいたのだが、ベリュース隊長を視界に入れた瞬間、
「オオオオオオオー」
と叫びながら死の騎士が思い切り殴りかかり、村人の恨みを晴らすかの如く殴り続けた。
「金貨をやるから助けてくれー」
ベリュースの叫びに対して無視を決め込んだ騎士達は村人を手当てから始めて談笑すらし始めてしまった。
「200金貨いや500金貨やるから助けてくれロンデスー」
ロンデスはニヤリと笑うとベリュースに近づいて一言言い放った。
「ベリュース隊長。自業自得ですよ」
ベリュースは絶望の中を歩き始めた。
死の騎士がベリュースを叩きながら遊んでいる姿を空中から眺めて、若干引いていてるモモンガは見つからないように静かに地上に降り立ったのだが、ロンデスに見つかってしまった。
「初めまして諸君。これはどう言う状況なのかね」
ロンデスは即座に談笑を止めモモンガの前に不動の姿勢で立ち上がった。
「はい。現状は村人を襲う我々があなた様のアンデットにボコボコにやられている最中でございます」
「あ、うん。そごいな」
「死の騎士を止めた方がいいかな」
ロンデスはニヤリと笑うとベリュースにとっての死刑宣告を告げるのであった。
「いえ結構でございます。あの男は村々で女子どもを襲いまくった野蛮人ですで、殺っちゃってくださって結構です」
「そうなの。じゃあ死の騎士その男を殺せ」
命令を貰った死の騎士は一撃でベリュースの首を跳ね飛ばした。
ロンデスは上官に連絡を取る許可をモモンガに取るべく話しかけた。
「神様。上官に連絡をしても良いですか」
「別に良いぞ」
やっと冷静な感覚に戻ったモモンガは再び偉いです感を出すのであった。
ロンデスはスクロールを取り出し【メッセージ】を使用して上官たるニグンに連絡を始めた。
「ニグン隊長。神が降臨しまたした」
「本当か。では私達は予定を変更してカルネ村に向かおう」
「ガゼフはどういたしますか」
「無視だ。それ以上でもそれ以外でも無い。神の事案以上に重要な事があるか」
「無いですね。」
「その通りだロンデス。では20分後に落ち合おう」
「では待っていますね」
その瞬間スクロールが燃えて無くなった。
スクロールで上官に連絡を終えたロンデスは、神を見つめるのであった。
「神様。ニグン隊長はおよそ20分後にここに到着する予定ですので、しばらくお持ち頂いても宜しいですか」
神ことモモンガは別にいいという態度を行った。
「まぁ別によかろう。その前にそなたが持っている情報が欲しい」
「はい畏まりました神。」
森の方を指差しながらモモンガは続けた。
「ああ、双子の姉妹が森の奥の方にいるので保護してくるので待っておれ」
「はい了解いたしました」
「迎えに来だぞ。大丈夫だったか」
「はい。神様のおかげで無事でした」
「さっきから疑問なんだが何故神様なんだ」
驚き顔のエンリにもっとビックリするモモンガは次なる言葉を待った。
「えーと。村では昔からアインズ・ウール・ゴウンというのが信仰の対象となっていまして、その中でもモモンガ様という方はまとめ役だったかそうです。」
持たされ情報に一般人たるモモンガは、正直もうお腹いっぱいだったのだが、同時に興味を持つ内容なので精一杯聞くことにした。
その結果次なる事がわかった。
1.アインズ・ウール・ゴウンというギルドの存在の意味
2.ギルドメンバーの容姿
3.その昔、世界を救ったとされる旧友について
4.モモンガが来るという予言
無い脳が持たされた情報で爆発寸前のモモンガは危うく考えるのをやめたくなってしまったのだが、ロンデスとの約束を思い出し村に向かって歩き出す。
「では村に帰るとするか」
村に戻るとニグン率いる陽光聖典が待ち構えていた。
「お帰りなさいませモモンガ様」
当然と言わんばかりの態度で迎えられ、お前たちもか?と言いたい顔になってしまいそうだが、骨の顔なので出るわけも無いがね。