プロローグ【メインルート版】
人類は亜人の侵略により滅亡に瀕していたがもう限界だった。
神は死に絶え、王国は腐り、帝国は関与せず、それでも亜人に対して微の抵抗をしていたのだが、そんな事は無駄だと言わんばかりに亜人は侵略を続けていた。
法国に新たな神が現れ、多数の亜人を殺害して人類が反撃の狼煙を上げようとしていた時には、神は惜しまれながら旅に出かけてしまった。
その後、様々な国を救い、数々の偉業を達成して最後には王国領にある辺境の地にその身を埋めたという。
【法国内に点在するトイレの一室】
「ていう話があるんですけど、隊長はどう思いますか」
チャックを閉めながら部下である男は、準備万端な隊長に話かけていた。
「神話か。しかし神が王国で死亡したのはいささか疑問が残る話だな」
部下の話に自分の考えを言いながら、今宵の作戦で起こるであろう事案で傷つく村人に対して心を痛めていた。
「そういえばベリュースの奴は予定通り動いているのか」
先程とは違い顔を引き締めた部下は隊長に対して得ている情報を渡し始めた。
「ええ、村人を過剰に襲っているらしいです。まぁメッセージなので真偽は不明でけどね」
「大丈夫だろうな。あんな屑は法国広しと言っても中々居ないだろうしな」
ややテンションの下がった隊長を気遣って話を変えることにした。
勿論顔をニヤニヤするのを忘れずに。
「話は変わるんですけど、今日でしたよね。隊長がミスをするのは」
まるで苦虫を噛んだような隊長は静かに語った。
「そうだな。生まれた時からの予言だった」
「あれですよね。折角現れた神に対して、暴言を吐いた挙句死んでしまうという笑えない愚行ですよね」
「まさかとは思うが、今からその行為をする可能性があると思うゾッとするよ」
予言とは法国に伝わる順守すべき事柄が伝わっている話の事だ。
代表的なのは【ニグンなんとかが神を怒らせる】とか【ガゼフが王国の戦士長になる】など、様々な事柄が伝わっていて中には曖昧な物も多かったのだが、外れる事は少なくちゃんと対処したおかげ事なきを得た事もあった。
「まさに大馬鹿って感じですね」
部下の事を本気で殴り飛ばしたかった隊長は、鋼の心で押さえ込み話を続ける。
「でも隊長。結果を知っているのですから、強そうな魔法詠唱者と黒の全身鎧を見たら逃げるかキーワードを言えば、助かるかもしれませんよ」
隊長は【アインズ・ウール・ゴウン】というキーワードを心の中でリピートして部下の顔を見つめていた。
「そうだな、肝にめんじておこう」
「そうですけど、トイレで話す話ではないですよね」
「はは、そうだな。ではトイレを出るとしようか」
二人はこの後起こるであろう事件に不安を覚えつつトイレを後にした。
〇〇〇〇
今日は王国の戦士長たるガゼフ・ストロノーフの無効化する為に、王国の村々を適度に刺激してきたのだか、神を怒らせる原因となる虐殺だけは決して行わなかった。
ただ刺激をするにあたって多少の暴力と物資の略奪を最低限行いはしたが、無論物資等は近くに隠しておいたのだか、人類のためと心を鬼にして村々を襲っていたのだが、ただ一人の屑を除いて、そうベリュース隊長を除いてだか。
ベリュースは己の欲を満たす為に村に住む、女や子どもを野獣のように襲い自己満足をしていた。
「ベリュース隊長。村人を襲うのは最低限にしてくださいと、指示があったはずですがお忘れですが」
「は。貧乏人如きが金持たるベリュース様に口答えをしているんじゃねぇーよ」
ベリュースはロンデスに対して独自の持論を述べた。
「俺は隊長なんだよ。つまりこの隊の全ては俺の物という事だ。」
部下であるロンデスを指をさして話を続けた。
「物であるお前たちは等しく価値など無いんだよ。それに襲ったと言っても金を渡しているんだから、逆に感謝をして欲しいくらいだ。違うかロンデス」
「しかし、罪の無い村人に対してそんな事をするのは人の道を外れていると考えています」
ロンデスはベリュースのふざけた持論に怒りを覚えながらも、まだ隊長であることを心の隅に止めていたが、次の発言でロンデスの記憶からベリュース隊長という人物に対する抑止力が消えて無くなった。
「はぁー。ロンデスお前はわかってねぇーなぁー。現状では人類は衰退に向かっているんだよ。だったら俺みたいな優秀な遺伝子を一人でも多く後世に残した方がいいに決まってんだろ」
ロンデスは我慢ならずにベリュース隊長を殴り飛ばした。
「この人間の屑が、そんな事でこの先現れるであろう神に顔向け出来るんですか」
「いい度胸だなロンデスよぉ。この隊長たるベリュース様に手をあげるなんてなぁ。法国に帰還したらよぉーく覚えておけよ」
ベリュースは屑に相応しい捨て台詞を吐いて次のターゲットたるカルネ村に向かう準備をするべくテントに向かった。
皆の士気が下がる中ロンデスは、必死に士気を上げようと努力をしているのだか、一度下がった士気は中々上がらず、部下に対して文句をいいすっきりしたベリュースが準備が終わって村に向かう間も決して上がる事なくカルネ村についてしまった。
駄文にお付き合いありがとうございました。
もし何か至らぬ点がありましたら、直せるところに関しては直したいと思います。よろしくお願いします。
オカモト。