「くたびれはてこは鍼灸師に名誉棄損をしている」の件

整体でセクハラされて泣き寝入りした数年後にTwitterでそのことを呟いたらデマッター扱いされ、はてなTwitterの粘着アカウントからクソリプまみれにされた話。2019年6月頃の痴漢安全ピンの話題の派生。詳細は掘りたい人だけ掘り返して自力で調べてください。*1

 

福岡へ来て数年後、かつ夫が告知を受ける前、確か2013~2014年頃のこと。仕事先にあった地域紙に広告を見て整体にいった。取材していたライターの立ち姿を見て故障個所をみつけて魔法のように治してくれたという。検索すると動画が出てきた。イベント会場で手かざしなどやっており、受けた側は喜んでいる様子。スピリチュアル、気功よりなのだろうか。

 

ネットで予約して博多の古いマンションへいった。集中インターフォンで名乗るとエントランスの鍵が開く。入ってすぐが台所になっており、右手に診察室らしき和室、左手に施術室らしき和室があった。やや大柄で太目の40代前後の男性(以下K)がこの診療所の施術者であった。

 

まず診察室で不調箇所の問診を受け、原因として思い当たるところはないかと聞かれた。わたしはこの数年前に交通事故で骨折とねん挫を経験していたのでそのことを話した。するとKは「いまここで事故の様子をなるべく鮮明に思い出してください」といった。そしてわたしの想像が広がったことを確認すると、おもむろに三回指パッチンをした。彼の弁ではこれによって事故のトラウマが解消され、不調箇所の改善が望めるのだという。残念ながらこの指パッチンはいささかもわたしの不調を改善した様子がなかった。わたしの回答を受け、Kはさらに一、二度同じことをした。わたしは予想外な事態に居心地の悪さ以外感じることができず、わからないけれど、効果があるのかもしれませんね、とお茶を濁して施術に入ってもらえないかと促した。

 

この件に限らず、Kは住所や名前など個人情報についても聞き出し方など何かと素人心理学や小手先の心理テクニックらしきものを盛り込んでくるので嫌だった。極めつけは施術終了後、即次回の予約を入れさせようとしたことだ。治療に必要な個人情報を渡すことは普通だし、定期的な施術をすすめること自体は問題ない。しかしKはこちらが断れないような不自然な話の流れをつくりだしてくる。メンタリストとかそういう本にハマっていたのかもしれない。

 

隣室には施術用ベッドがあった。こうした施術所では身体にタオルをかけることが多いが衣服の上から直接施術するスタイルだった。Kが入ってくる前にベッドに横になり、終わってからもKが出て行って一度襖を閉めた覚えがあるので施術着に着替えさせられたのかもしれない。

 

Twitterにも書いたけど、Kの施術の腕は悪くなかった。特に問診票に書かなかったある部分の不調を一発で見抜いてその場で治したのには驚いた。治ってみるまでそこがおかしかったことに気づかないほど「こういうものだ」と思っていたので、そこは本当にありがたかった。効果は恒久的なものではなかったので、このあとのセクハラ行為でめちゃめちゃ気持ち悪い思いをしたことを差し引いても「もう一度いって治るならいこうか」と何度も思い、夫に相談してそのたび絶対やめろと止められた。

 

さて、話は戻って初回のこと。わたしはベッドにうつぶせになり、片足を掴まれてぐるぐる回された。爪先がKの診察着をシュッシュと擦るように当たる。嫌な感じにほの柔らかく生暖かい感触が伝わってくる。これは、ふぐりではなかろうか。わたしの爪先はいまKのふぐりと竿に当たっているのではなかろうか。

 

反射的に「うっかり当たってしまったのかもしれない」と思った。それなら相手も恥ずかしく思っているだろうから、我慢して騒がないでおいてあげないと。もしかしたらふぐりじゃないかもしれない。太腿とか、なにか別の…。うつぶせになっているので実際何が当たっているのかわからない。わたしは混乱する頭で「おっさんの股間に爪先を擦り付けられている」という強い確信を無視しようとした。なんでかな。そんなこと起きるわけない、自意識過剰だと思っちゃったんだよね。

 

わたしが葛藤しているあいだも爪先はシュッシュ、シュッシュとKの股間をこすり続けた。長い。どのくらいの時間だったのかわからないけれど、おかげで「どう考えてもこれはうっかり当たっているのではない」という点で脳内会議の合意がとれた。そこでわたしは「股間かどうかは見たらわかるのでは」という案を思い切って採用してみることにした。

 

腹ばいの状態で足首を掴まれたまま振り向くと、わたしの足首は診察ベッドに乗ったKの股間を間違いなく擦っていた。そしてわたしが振り向くとすぐにKは足首を回す角度を変えて、爪先は不快な生暖かさから解放された。

 

「やっぱり爪先をチンコに擦り付けられてたんだ」とわかったとき、わたしはある意味でわかる前より混乱した。いまのなに?なんでそんなことするの?こういうときどうしたら?でももう止めたんだし…気持ち悪い!なんでお金払ってこんな目に遭わなきゃならないんだ!まあでも爪先だし…爪先でチンコ擦られたからどうなるってものでもないし…いや絶対嫌でしょ、ないでしょ、ないないない、早く終わらないかな…まあでもこれで身体痛いの治れば来た甲斐はあるよ、爪先が気持ち悪いよ~もちお(夫)に会いたいよ~休みの日についてきてもらえばよかった~ほんと腹立つこのおやじ、だいたい問診も似非科学心理テクニック!みたいなやつばっかだったしムカつくわ!ああ、どうしたら。

 

そして結局何もいわず、お互いそのことには触れずに施術を終えた。わたしは既定の金額を支払い、足がまっすぐ地面につく感触に驚き、身体の痛みが軽減していることをありがたく思った。しかしなすりつけ太郎によって頭痛から解放された女の子と違って「結果的に不調が解消されたからよかった」と素直に喜ぶことはできなかった。

 

帰ってすぐ夫に起きたことを話した。友人、知人、同様の施術所の施術師にも話した。あれは何だったんだろう。偶然股間に爪先が当たり続けるようなことってあるだろうか。どうしたらよかったんだろうか。

 

いま思うと、Kが仮に100%無意識、無自覚にやっていたのだとしてもわたしには抗議する権利があったと思う。その場合でもきっと「やめてもらえますか」と敬語でお願いする口調になる。強めにいっても「やめてください」。股間に爪先を擦り付けられるなんて「やめろてめえ、何やってんだ」くらい言っていいことのはずなのに、反射的にそういう言葉が出てこないとはね。

 

実はこの数年後にわたしはもう一度Kの診療所にいっている。こすりつけ事件のあともわたしは身体の痛みにふりまわされ、近隣の病院や診療所を渡り歩いたが、Kの診療所で経験した「その場で一発でよくなる」ということはなかった。それで悩みに悩んで、近隣の店で夫に待機してもらってもう一度いった。わたしがKの結婚前と結婚後の変化を知っているのはそのためである。二度目の施術では指パッチンもなかったし強引な予約のすすめもなかったが、かわりに一発で不調治ることもなかった。Kは全体的に不審な感じがかなり薄れ、おもろい嫁さんを自慢するよくいる福岡のおっさんになっていた。

 

次にKを見かけたのはTwitterで某元子役が某少年漫画の件で騒いでいたときだ。某元子役をフォローして擁護tweetをしているアイコンの顔と名前に見覚えがあった。ああ、K先生だ。Tweet内容とタイムラインを見てぞわっとした。仕事用のアカウントでこういうことを書く人なんだ。知ってたらいかなかった。さらにわたしがKを誹謗中傷していると騒ぎになったときに発見された「K先生のセックス相談所」という別アカウントのタイムラインは本当に気色の悪いものだった。知ってたら絶対に、絶対にいかなかった。

 

妹も肩凝りがひどく一時期近所の整体師のところへ通っていた。整体師はでっぷり太った冴えないおっさんだったらしいが、当時妹がシングルマザーだったためか何故かいけると思ったらしく、回を重ねるごとに馴れ馴れしい態度をとるようになった。「もういくのやめなよ」といったが「でも腕はいいんだよね」と妹は眉をしかめながらこたえていた。しかし数か月後、何か決定的なことが起きたらしく妹はいくのをやめた。「いわないで!思い出しただけでゾッとする。ああ」妹は両腕を自分の身体に巻き付けていった。

 

こういう話は女性同士の話題でよく出る。心底気色悪くて不愉快で屈辱的なものだ。でも訴えるところまではなかなかいかない。怒鳴りつける、殴りつける程度のことだってなかなかできない。ありふれた、泣き寝入りの話。

 

追記

2018年の某ブロガー殺人事件の件で、どうやって手を回したのか福岡県警はくたびれはてこの個人情報を手に入れて同年7月に聞き取り調査にやってきた。*2Kは何の名目でか知らないが上記の件を警察に届けたとTweetしている。この件で福岡県警からはとくに連絡はない。

 

*1:ざっくりとしたあらすじ

*2:そして本名ではなく「くたびれはてこ」からのものとしてこの証言を使わせてもらっていいかといってきた。駄目にきまってるだろ!