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東方悠幽抄 作者:アグサン
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第七話「霧の湖の妖精たち」

 今回は、湖上の氷精・チルノと大妖精が登場します。スペルカードルール、悪意のない無邪気な少女同士の戦い、なかなか表現が難しいです。単純な性格のチルノって、ある意味幽々子と紫の対に位置しますよね。

 それでは、東方悠幽抄、第七話です。どんな些細なことでもかまいませんので、批評、コメント等ありましたら、よろしくお願いします。


 ◇


 ――――チルノちゃん、あぶない!


 そう叫び、私は親友であるチルノちゃんと剣をもった謎の少女の間に割り込んだ。

 視界には、チルノちゃんとその少女の驚いた顔が見えた。

 次の瞬間、腹部に激しい衝撃と痛みが走った。


「□□□□□!!!」


 チルノちゃんが何か叫んでいるようだったが、私の耳には届かなかった。

 そして、私の意識は闇に吸い込まれていった――



 ◆



 ――――悠子、あなた……後先を考えなさすぎよ。


 私、藤見悠子は幽々子に叱責されていた。


(どうしてあの半獣さんに道を聞かなかったのかしら、ねぇ悠子?)

(申し訳ございません……)

(悠子は相変わらずアホの子ね~)

(言い返す言葉もございません……)


 私は心の中で幽々子に平謝りしていた。

 運松翁の家を勢いよく飛び出してきたはいいが、霧の湖への道を聞くのを忘れていたのだ。

 そんな途方に暮れる私に向かって、空から声がかけられた。


「悠子、こんなとこで何やってんだ?」

「えっ?」 


 見上げると、魔理沙が箒に乗って私を見降ろしていた。

 私は彼女が空を飛んでいることに驚き、声をあげた。


「箒で空を飛んでる!?」

「何言ってんだ? 幻想郷では珍しいことではないぜ」


 そんな私の驚きに対し、魔理沙はさも空を飛ぶことが当然と言わんばかりの返答だった。

 さすが幻想郷、非常識すぎる……

 唖然とする私に魔理沙は続けた。


「それに、私は『普通の魔法使い』だ。空を飛ぶよりもっとすごいことができるぜ」


 魔理沙は誇らしげにそう言って、私の目の前に降り立った。

 そして、もう一度問いかけてきた。


「で、どうしたんだ?」

「えっ、ええ……ちょっと道に迷っちゃって」


 魔理沙は、くっくっくと笑いをかみ殺した。


「何がおかしいの?」

「悠子、『霧の湖』に行きたいんだろ?」

「!? ええ、まぁ…… って、どうしてそれを?」

「聞かせてもらったぜ。『これ以上、里の人間は傷つけさせない』だってな」

「っ?!」


 私は恥ずかしくて赤面してしまった。

 勢いで言った言葉を他人に真似されると、なかなか恥ずかしいものである。


(まさか聞かれていたなんて……)

(悠子~、恥ずかしいわね~)


 幽々子も私をからかってきた。

 後で幽々子にも恥ずかしい思いをさせてやる、と私は心に決めた。

 そんな赤面している私を見て、魔理沙は笑いながら続けた。


「それに、悠子の進んできた方向は間違ってないぜ。霧の湖ならもう少し先に行けばある。ついてきなよ」


 そういって、魔理沙は歩き始めた。

 私は慌てて、その後を追った。


 ――少し歩くと、大きな湖が見えてきた。

 その湖は昼であるにも関わらず、霧で覆われており、対岸は全く見えそうになかった。

 魔理沙は霧の湖の湖畔を歩きながら、話しかけてきた。


「この湖の畔には、『紅魔館』っていう吸血鬼が棲んでいる館があるんだぜ」

「紅魔館?」

「ああ。悠子は『紅霧異変』って知ってるか?」


 紅霧異変――

 昨晩助けた男の子の母親がそんな言葉を口にいているのを思い出した。


「――聞いたことがあるわ。昨年の夏に『紅い霧が幻想郷全体を覆った異変』って」


 そう答えた私に、魔理沙は笑いながら言った。


「その異変を引き起こしたのが、その紅魔館の連中だったんだ。そして、私はその異変を解決した一人だ」


 その魔理沙の得意げな言葉を聞き、私はまた驚いてしまった。


「えっ!? 博麗の巫女が解決したって聞いたんだけど?」

「大ボスである吸血鬼を倒したのは、確かに霊夢だ。 ――だけどな、吸血鬼の従者やその友人を倒したのは、私なんだぜ」


 魔理沙は誇らしげに言った。

 博麗の巫女と共に異変解決をする、普通の魔法使い。

 それって普通ではないのでは?

 そうツッコミを入れようとしたら、魔理沙は続けてこう言った。


「私からすれば、魔法も使わずに妖怪を退治した悠子も相当すごいと思うけどな」

「えっ! あっ、ありがとう」


 突然褒められて、私は少し照れてしまった。

 幽々子がそんな私を冷やかしてきた。


(きましたわ~)

(うっ、うっさいわね!)


 魔理沙はそんな私の変化に気づかず、言葉を続けた。


「まぁ、妖怪退治仲間として仲良くやっていこうじゃないか!」

「えぇ、そうね!」


 そう私は力強く答えた。

 すると、先を歩いていた魔理沙が急に立ち止まった。

『どうしたの?』と私が問いかける前に、魔理沙は湖畔を指差した。


「ほら、悠子。氷の妖精があそこにいるぞ」


 魔理沙が指差した先には、青い髪の妖精と緑髪の妖精が水辺でカエルを凍らせて遊んでいた。


「あっちの緑髪のやつが大妖精、青い髪のやつがお目当ての氷の妖精、チルノだ」


 大妖精が私たちに気づいたようだ。

 しきりにチルノという氷の妖精に話しかけている。

 私はそれを見て一歩踏み出した。


「私が話してみるわ。魔理沙は下がっていて」

「ふふ、わかったぜ」


 魔理沙は素直に後ろに下がった。

 私はチルノに向かい声をかけた。


「こんにちは」

「あたいらに何か用?」


 初めて会ったはずなのに、随分となれなれしく返事をされた。

 私はすぐに本題に入った。


「単刀直入に聞かせてもらうわ。あなた、何故男の子に攻撃したの?」

「男の子? ――ああ! さっき来た生意気な子のことね!」

「……」

「アイツ、『かかってこい!』っていうから相手してやったのよ! だから、凍らせてやったら泣きながら逃げてったよ! あたいったら最強ね!」


 誇らしげに語るチルノに対し、私はつとめて冷静に聞き返した。


「あなた自分のやったことわかってる?」

「どういうことさ?」


 チルノはまったく自分のやったことへの罪意識はないようだった。

 私はその『何か悪いことした?』と言わんばかりのその顔にカチンときた。


「あの子は人間なのよ! あなたの攻撃を受けた右腕はもう……凍傷でほとんど動かなくなってしまった! あの子の未来は、辛く大変なものになってしまったのよ!」

「そんなの知らないよ。アイツが勝手に勝負を挑んできたんだ。だから、アタイはやっつけただけよ」


 私は頭に血が上り、チルノに掴みかかろうとした。

 そんな私を魔理沙が制した。


「悠子、落ち着け! アイツに直接触るとおまえも凍傷になっちゃうぜ」

「でも、でもっ……! 私はこの妖精が許せない!」


 激昂する私に、幽々子が諭すように言った。


(悠子、とりあえず落ち着きなさい)

(これが落ち着いていられるか! あんな何も考えてなさそうな奴に……)

(あなた、熱くなりすぎよ。あなたの弟のときもそう。もう少し冷静になったら。剣道の心得とやらを忘れたの?)


 私は幽々子と初めて会ったとき、幽々子に対して怒りをぶつけたことを思い出した。

 確かに、怒りにまかせてもこの問題が解決するとは思えない。

 私は精神集中するため、その場で目をつぶり黙想した。


(……落ち着いたわ。ありがとう、幽々子)


 私は心の中で幽々子に感謝の言葉を述べた。

 そして、目を見開き、チルノを睨みつけた。


「あなたからは反省の色が見られないわ。私があなたを退治する」


 私は冷静な……冷たい声でチルノにそう言い放った。

 すると大妖精は私の怒気を察し、すぐさま頭を下げてきた。


「ごめんなさい! 謝るからチルノちゃんを許してあげて…… ほら、チルノちゃんも謝って!」


 しかし、チルノは大妖精の説得にも耳を傾けなかった。


「だいちゃん、なんで謝るのさ。 挑発してきたのはアイツなんだ! あたいは悪くない!」


 チルノはそう言って、こちらを睨みつけてきた。

 そんなチルノに幽々子は半ば呆れつつ言った。


(謝罪で済めば、巫女はいらないってね。それじゃ、悠子さん、魔理沙さん、懲らしめてあげなさい!)

(どこの校門様よ)


 こんな状況でも冗談を言う幽々子に、私は冷静にツッコミをいれた。

 そして、鞘から小太刀を抜き、剣先をチルノに向けた。

 チルノは私が小太刀を構えた姿を見て、身構えた。


「やっ、やるっての? あたいは最強だからね!」


 チルノの声はわずかに震えていた。

 そんな私たちを見ていた魔理沙は、私の肩をたたいた。

 私は構えを解かず、視線だけ魔理沙へと向けた。


「何……?」

「穏やかじゃないな。幻想郷のケンカなら、ほらこいつだ」


 そう言って、魔理沙は懐から白紙の紙を取り出した。

 私はそれを手渡され、まじまじと見つめた。

 太陽に透かして見たが何も見えなかった。


「何これ?」

「スペルカードだ。見たことないのか?」

「……一度だけ見たことあるわ。私は持ってないけど」


 そう答えた私に、魔理沙は笑いながら言った。


「知ってるなら、実地訓練だ。ほれ、あの氷精はやる気だぞ?」


 私がチルノの方に振り向くと、すでに彼女はカードを掲げていた。


「あたいに逆らうなんて100万年早いのよ! 氷符『アイシクルフォール』!」


 そう叫び、チルノの周囲に冷気が渦巻いた。

 私はとっさに幽々子に問いかけた。


(昨晩戦った人食い妖怪もそうだったけど、こうやって『~符』って弾幕宣言するのが、スペルカードルール?)

(そうなんじゃないかしら~)

(あなた、実は知ってるでしょ?)

(ご想像にお任せするわ)


 そう言って幽々子は黙ってしまった。

 もう、使えない亡霊ね!

 とりあえず、私なりに戦うのみ!

 ――そんなことを考えている間に、両側から弾幕の壁が迫ってきた!


「くそっ!」


 私は体をひねって弾幕を回避した。

 しかし、その弾幕の壁は何重にもなっており、避けても避けてもきりがない。

 なんとかして突破口を見つけないと……

 必死に避ける私に向かって、魔理沙が叫んだ。


「悠子、あいつの真正面に突っ込め!」

「はぁ?! ――っ、痛っ!」


 突如、訳のわからないことを言われ、私は弾幕の回避が遅れてしまった。

 服の袖に弾幕がかすれ、凍結した!

 私の手首が冷気にさらされ、痛みが走った。

 私は魔理沙をキッと睨みつけた。


「魔理沙、突然何よ!」

「だから、あの妖精の真正面に突っ込めって言ってるんだ!」

「無理よ、被弾するわ!」

「私を信じろ!」


 魔理沙はサムズアップしながら、ニカッと歯を見せて笑った。

 君に、胸キュン!? ――なんてことはなかった。

 確かに、接近しないと私は何もできない。

 ここは、魔理沙の言葉に賭ける!

 私は先ほど負傷した手首を庇いながら、腰を落とした。


「信じてるからね、魔理沙!」


 私は弾幕をかいくぐり、チルノの真正面へと突撃した。

 私の中で、幽々子が悲鳴をあげた。


(いや~、ピチュっちゃう~)


 私がチルノの真正面に滑り込むと、そこには弾幕が展開されていなかった。

 ――もしや、これは安置?

 私がそう思った瞬間、チルノは、にやり、と笑った。


「かかったわね、バカ!」


 チルノは突然、私に向け氷壁弾幕とは別の弾幕を放ってきた!

 ――自機狙い5WAY弾!? かわせない!

 防御体勢をとったが、間に合わなかった。

 私の体に中型弾が直撃した。

 私は大きく体を吹き飛ばされ、頭から地面に叩きつけられた。


「がっ!?」

(悠子!)「悠子!?」


 幽々子と魔理沙が私の名前を叫んだ。

 その時にはすでに私の意識は闇へと沈んでいた。



 ◇



 ――――悠子…… あなた、人を安易に信じすぎよ。


 悠子、いや幽々子は立ち上がった。

 先ほどの弾幕の直撃を受けて、悠子は気絶してしまったのだ。

 そのため、今は幽々子が表に出ていた。

 幽々子は悠子の無謀な行動に呆れてしまった。


(また私が出てこなくちゃいけなくなったじゃない…… まあ、これで頭が冷えるでしょうけど)


 ふらりと立ち上がった悠子、もとい幽々子に対し、魔理沙が心配そうに声をかけてきた。


「悠子…… 大丈夫か?」

「あなた、何か私に恨みがあって?」


 幽々子は魔理沙を、非難の目を向けた。

 魔理沙は『ぱん!』と顔の前で手を合わせ、幽々子に謝罪した。


「いや~、すまん! Normalだったようだ」

「Normal??? ――まあいいわ。もう一機、失っちゃったじゃない」

「それにしても驚いたぜ。あの攻撃を食らってすぐさま立ち直るなんて」

「私は二機、持っているからね」


 そう言って、幽々子は微笑んだ。

 魔理沙はその笑みを見て違和感を覚えたのか、幽々子に問いかけた。


「悠子、おまえ……本当に大丈夫か?」

「少なくとも、さっきの直撃は痛かったわね」


 幽々子は、はぐらかすようにそう答えた。

 魔理沙はそう言われ、さすがに悪いと思ったのか、幽々子に言った。


「それじゃあ次は、まだ一機も失っていない私が出るぜ」


 そう言って、魔理沙は幽々子の前に出ようとした。

 その瞬間、背後から声がかけられた。


「待ちなさい。そうはさせないわ」


 振り返るとそこには、先ほどチルノに謝罪を促していた大妖精が立っていた。

 大妖精は魔理沙に向かって言った。


「私が相手よ、魔法使い」

「またやられたいのか、緑髪の妖精?」

「チルノちゃんの邪魔は許さない」


 そう啖呵を切った大妖精は、魔理沙と幽々子に向かい放射状の弾幕を展開した!


「危ないわね」「おっと!」


 幽々子と魔理沙は弾幕を回避するため、左右に散った。

 大妖精はすかさず魔理沙に追撃を仕掛け、幽々子と魔理沙を分断した。

 幽々子は服についた埃をはらい立ち上がると、再びチルノと対峙した。


「やっぱりあなたの相手しなくてはいけないのね、氷精さん。悠子の分で倍返しよ」


 幽々子はそう言い、なれない刀を構えた。

 チルノは、あの攻撃を受けて立ちあがった人間に驚きの目を向けていた。


「人間なのに、なんで大丈夫なの!?」

「さぁ、何故でしょうね」


 幽々子は余裕ありげにそう答えた。

 チルノは先ほどとは全く違う雰囲気の少女に怖じ気づいた。

 そして、焦りから何も考えず先ほどと同じスペルカードを宣言した。


「もう一度くらえ! 氷符『アイシクルフォール』!」

「あなた妖夢並みに抜けているわね。一度見せた弾幕が私に当たるわけないでしょ?」


 幽々子はそう宣言し、華麗なステップでその弾幕を回避した。

 チルノに接近した幽々子は小太刀を地面に突き刺し、スペルカードを宣言した。


「 死符『ギャストリドリーム』 」


 幽々子の周囲には鮮やかに輝く死蝶が舞いはじめた。

 そして、その美しい弾幕が放射状に展開した!


「へん、そんな攻撃当たるわけ――」


 チルノはそういい、弾幕回避のためタイミングを見計らって地面から飛び上がった。

 しかし、チルノが地面から離れた瞬間、弾幕射出点に立っていたはずの幽々子の姿が霞んで消えた。


「えっ!? にっ、人間が消えた!?」


 チルノはその光景に驚き、目を見開いた。

 周囲をキョロキョロ見渡しても、幽々子の姿は見当たらなかった。


「どこをみているの?」


 低高度で静止したチルノの背後から、幽々子の声が聞えてきた。

 チルノが振り返った時には、幽々子が手に握った光輝く小太刀の鞘がチルノに向けて突き出されていた!


「 蝶符『鳳蝶紋の死槍』!!!」

「ぐっ!?」


 その突きはチルノの肩口に突き飛ばし、チルノはその痛みから呻き声をあげた。

 そして、その勢いのまま、チルノは湖に叩き落とされた。


「素敵忍法、分身の術~」


 幽々子は笑いながらそう言った。


 ――幽々子は、チルノ接近し小太刀を地面に突き刺したとき、小太刀を依り代として、自らの幻影を生み出した。

 そして、小太刀を中心に死符『ギャストリドリーム』を展開することにより、チルノの注意を弾幕へと向け、その粗末な幻影を誤魔化した。

 チルノが弾幕回避に専念し、飛び上がるタイミングをはかっていたその隙に、幽々子自身はチルノの背後に回り込み、蝶符『鳳蝶紋の死槍』を放ったのだ――


 幽々子は先ほど死符を展開した場所に戻り、小太刀を地面から引き抜いた。

 そして、その小太刀を眺めながら、ため息をついた。


「それにしても、この小太刀を介さないと能力が発揮できないのは不便ね」


 幽々子はそう言い、引き抜いた小太刀の先を湖の方へと向けた。


「さあ、まだやられていないんでしょ? 出てきなさい、氷精」

「くっ、くっそ~」


 苦しそうな声をあげ、チルノが湖から這い上がってきた。

 チルノは先ほど幽々子に突かれた肩をおさえていた。

 幽々子はそんなチルノの姿を見て、ほくそ笑んだ。


「ふふ、次で決めるわよ」


 そういい、幽々子は小太刀を掲げ、剣舞の構えをとった。

 チルノはその動きに危険を感じ、すぐさま弾幕を展開しようとした。


「くっ、くるな! 霜符『フロストコラ―― 」

「遅いわ――  符牒「死蝶の舞」!」


 しかし、チルノがスペルカードを宣言しようとしたときには、すでに幽々子の剣舞は始まっていた。

 幽々子は美しく蝶のように舞い、一瞬にしてチルノの間合いへと踏み込んだ。

 そして、霊力をまとった小太刀をチルノに突き付けた。

 小太刀を介して、チルノへと『死に誘う程度の能力』が叩きつけられた――


 ――はずだった。

 しかし、その剣撃がチルノに届く前に状況が一変した。


「チルノちゃん、あぶない!」


 突如、幽々子とチルノの間に大妖精が現れ、チルノの盾となったのだ。

 チルノは突然の出来事に驚きの表情を浮かべた。

 幽々子は少し驚いた顔をしながら、躊躇なく刀を振り抜いた。


 ――その『死に誘う程度の能力』は、チルノの親友である大妖精へと向けられた。

 大妖精の体は一刀両断された。

 そして、その体は光となって弾け飛び、周囲へと霧散していった。


「だいちゃん!!!!」


 チルノの悲痛な叫びが響いた。

 幽々子はその姿を冷たい眼差しで見つめていた――


 もう一人の主人公である幽々子とチルノの弾幕ごっこ、どうだったでしょうか? 幽々子ってあまり動かず戦うイメージありますが、今回は悠子の体前提ということでその力を存分生かして戦ってもらいました。(本来は着物だからお淑やかにしているんですよ、たぶん)

 次回がチルノとの弾幕ごっこの決着です。どのような結末になるか、楽しみにしていてください。


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