EU離脱目指す英保守党、単独過半数うかがう 世論調査

英EU離脱
ヨーロッパ
2019/12/11 8:03

ジョンソン首相は1月末までのEU離脱を訴えて過半数獲得を目指す(10日、イングランド・アトックシター)=AP

ジョンソン首相は1月末までのEU離脱を訴えて過半数獲得を目指す(10日、イングランド・アトックシター)=AP

【ロンドン=中島裕介】12日に投開票日が迫った英国の総選挙は、2020年1月末までの欧州連合(EU)離脱を目指す与党・保守党が単独過半数をうかがう展開となっている。英調査会社ユーガブが4~10日に実施した世論調査では下院定数650のうち、保守党が339議席を獲得すると予測した。ただ2週間前の調査に比べると予測議席を減らしており、開票までは予断を許さない状況といえそうだ。

今回の選挙はジョンソン首相が10月中旬にEUと合意した新離脱案をそのまま実現して、1月末までの離脱を認めるかが最大の焦点だ。保守党が単独過半数を握れば、議会での離脱関連法案の成立を経て1月末までに離脱が実現する可能性が格段に高まる。

世論調査では、保守党が今まで最大野党・労働党の牙城だった英中部の選挙区の一部を奪うと予測。労働党は解散前から12議席減らし、231議席にとどまるとはじいた。英中部では16年の国民投票で離脱を支持した地域が多く、離脱か残留か方針が定まらない労働党よりも離脱を明確に訴える保守党に支持が集まっているとみられる。

ただ同じ方式で11月20~26日に実施した調査では保守党は359議席を奪うと予測していた。選挙戦終盤に入って1月末の離脱を防ぐための「反保守党票」が労働党に流れる傾向が強まっており、両者の差は縮まっている。ユーガブは今回の調査結果を幅を持って推定した場合、保守党の議席の下限は311議席とみている。過半数政党のない「ハングパーラメント」となる可能性は消えていない。

ユーガブによると今回の調査は英全土の10万人以上の聞き取りをもとに算出。調査の精度を高めるために選挙区ごとの人口分布の特性や、回答者の属性と投票先の因果関係など盛り込んだ「MRP」と呼ばれる手法で実施している。前回の17年の選挙では多くの調査機関が議席予測を外すなか、MRP方式の調査は保守党の過半数割れを予測し、的中させた。

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