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【静岡】

朝読書に電子書籍活用 熱海市立図書館 県内初、学校と連携

大型画面に映し出された電子書籍に見入る児童ら=熱海市の桃山小学校で

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 熱海市立図書館は九日、県内で初めて教育現場と連携して朝読書に電子書籍を使う試験的な取り組みを始めた。電子書籍の利用を広めるのが狙い。背景には、若年層の読書離れへの解決策となる期待もあった電子書籍が、思うように普及していない実情がある。 (山中正義)

 「どこを見渡しても本がありません。どこにあるでしょう」。九日朝の桃山小学校。朝読書の読み聞かせに集まった全校児童五十二人に向けて、春日奈月教諭が問い掛けると、児童たちは「テレビ」と大きな声で答えた。

 英語版の絵本「おむすびころりん」の電子書籍が、テレビ画面のような「大型提示装置」に映し出され、読み聞かせは始まった。電子書籍の読み上げ機能で英語の音声が自動で流れ、ページごとに春日教諭が日本語訳を説明した。六年の大森巧真さん(12)は「本だと小さいけど画面で見ると大きくて見やすい」と本と電子書籍の違いを実感。「家から図書館に行くのは遠い。電子書籍なら借りられそう」と興味を示していた。

 熱海市立図書館は昨年、県内の公立図書館では磐田、浜松市に次いで三例目となる電子図書館を開設した。足を運ばなくても二十四時間、スマホやタブレット端末などで電子書籍を読んだり、借りたりできる。本の破損や貸し出しの延滞も防げるため、職員の負担軽減にもなる。

 熱海市教委の今年五月の調査では、市内の小学五~中学三年生の携帯電話・スマホの保有率は61・5%で増加傾向。六割以上が毎日使用し、中学生の一割は一日に三時間以上も使っている。一方、自宅での読書時間は、同世代の小中学生の四割がゼロと答え、読書離れが顕著だ。

 こうした背景も踏まえ、熱海市立図書館は電子書籍を導入した。文学からライトノベルまでさまざまなジャンルの電子書籍約千六百冊を扱う。特に絵本や子ども向けの書籍が充実し、全体の三、四割を占める。

 だが利用者は期待したほど増えていない。当初は一カ月に三百冊以上の貸し出しがあったが、その後は減少。昨年十二月~今年九月は、千七百四十三冊にとどまった。山田真士館長は「学校へのスマホの持ち込みが認められない『スマホの壁』が大きかった」と落胆する。

 そこで、同館は現役の教員とも相談しながら教育現場に適した活用方法を模索し、第一弾として朝読書での活用にこぎ着けた。山田館長は「他の学校にも今回のケースをモデルとして広めていければ」と期待する。

  市教委の担当者は「今後、各校にどんな機器の導入が必要か考えつつ、電子書籍の活用方法も検討していきたい」と話す。

 

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