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 2020年東京五輪国立競技場そばに作る仮設テレビスタジオの整備費の予算額が、当初見積もりから約4億5千万円増えて約15億円になったことが、複数の関係者への取材で分かった。当初の設計では高さが足りず、「余計なものが映り込む」として、変更を余儀なくされたためという。

 建設や撤去にかかる費用は全て東京都の負担で、今年度の予算で10億5千万円を計上した。増額分も東京都が負担する方向だ。

 関係者によると、スタジオは放映権者のテレビ局が使う。大会組織委員会には3階建てにする構想があったが、国際オリンピック委員会(IOC)から経費削減策として「2階建てでいい」と示されたため、組織委は2階建てで設計して予算案を出した。

 ところが、4月にドローンを飛ばして調べたところ、スタジオと国立競技場の間にある駐車場や仮設物が映り込み、五輪放送機構(OBS)が必須として求める「窓からの風景を、何にも遮られずにカメラで撮影できる」という要件を満たせないことが判明した。

 組織委は映り込みを避けるため、スタジオの床の高さを当初の9メートルから14・1メートルに上げ、建物の高さも17メートルから21・6メートルに上げた。こうした設計変更や資材高騰で予算が増えたという。

 大会関係者は「経費節減ができると期待していたのに、残念だ。こちらも、IOCの話をうのみにするだけでなく、十分な高さがあるかなどしっかり検討すべきだった」と話している。(前田大輔、丸山ひかり

東京オリンピック2020