2019年の就職活動を揺るがした「リクナビ事件」。就職情報サイト「リクナビ」を運営するリクルートキャリア(東京・千代田)が、サイトに登録した就職活動中の学生の「内定辞退率」を人工知能(AI)で予測し、企業に提供していたことが8月に発覚した。
同社は18年以降、学生がサイト内でチェックした企業の閲覧履歴情報などを収集。AIを活用しその学生が内定辞退する確率を算出し、学生本人にも十分な説明のないまま有償で30社以上に提供していたという。厚生労働省は「(一連の行為は)本人の同意を得ても法律に違反する」との見解を打ち出し、政府の個人情報保護委員会は12月、サービスを利用した企業にも行政指導をした。その中には、トヨタ自動車や三菱商事といった有名企業も並ぶ。
就活生に人気の大手までもがこぞって「内定辞退率」を欲しがるのは、人材不足の中でより確実かつ効率的に、有能な人材を確保したいと考えているからだ。「どんなに優秀な学生でも最終的に他社に行ってしまえば、採用コストは無駄になる。ならば最初から内定辞退率の低い学生を狙った方がいい」──。多くの企業がそう考えているわけだ。
既に「インターン=本選考」の状況
少子高齢化に伴う人材不足で、圧倒的な売り手市場が続く就活。20年もその傾向が一段と強まる可能性が高い。
経団連が主導していた就活ルール、つまりは広報活動や面接解禁の時期を定めていた「縛り」が、20年に名実ともに消滅する。21年卒については、経団連にかわり政府が現行ルールをひとまず維持する方針ではあるが、既に採用の現場は「無法地帯」と化している。
具体的に起きているのが、「就活の早期化」。中でもインターンシップ(インターン)には「もはや『インターン』(職業体験)なのか、選考なのかが分からない状況。今は、ベンチャーだけでなく大手も選考の色が強いようだ」(早稲田大3年男子学生)との声が上がっており、実質的な本選考に変容しつつある。
コメント17件
ワタリガラス
カウンセラー
一つの解決策は、世界標準であるように、大学の卒業基準を思いっきり上げてしまう。せっせと就活していたら卒業が危うくなるので、少しは身を入れて学問にはげむのではないでしょうか。
Latebloomer
今は学生にとって売り手市場なのだからそんなに焦らなくてもという気がします。本当に良い企業を探せばよい。大手に入れば安泰になると思わないでほしい(勝手な希望)
Andy 1st
大手企業が通年採用に移行することは内部の体制としては可能だろうし、その方が導入教育施設や必用な人員の手配の面で効率が上がってありがたいはず。実際に海外拠点があればそれに対応する手段もノウハウも持っている。しかし、他が1,2の3で卒業直後の取
り合いをするものだから、同じ時期にやらないと、残り物は、、、たまに福もあるけど、ということなのだろう。...続きを読むでも、逆に学生からすると、特に裕福でない学生にとって、卒業しても職が無いのはとても困る。大学側も年中卒業できる仕組みがいるのかもしれない。単位や論文が通れば半年や1年前倒し卒業できるとかね。
炭酸
新卒至上主義が終わらない限り、こうなるでしょうよ。
新卒のとき逃したら、就職できないんだから。
通年採用だったら研究が終わった後とか、そういうこともできるだろうが。
LIonKingdom
Scientist
学問は自分のためにやるもの.いまどきの日本企業の大半は大学教育が必要となるような仕事をしていないのではないか? その証拠は,日本人の学力低下と日本企業の衰退ではないか?
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