ボクシングのIBFスーパーバンタム級暫定王座決定戦(7日・ニューヨーク)で11回TKO勝ちし、世界王座に返り咲いた岩佐亮佑(29)=セレス=が9日、成田空港に帰国した。左カウンターの一撃KOという鮮烈な内容で、日本勢としては39年ぶり2度目となる米国でのKO戴冠を果たした岩佐は「ボクシング人生で一番の結果で一番うれしい」と会心の笑みだった。
「今回の試合がラストチャンスの覚悟だった。KOの瞬間やスロー再生の時の場内のどよめきがヤバかった。ニューヨークで日本人初の王座奪取もうれしいです」
試合前はトラブル続きだった。早めの会場入りを禁止されると、日本製バンテージの使用も禁止。さらに米国製で代用すると、今度は現地コミッションに巻き直しを命じられた。着替えが終わったのは入場の数十分前。「でも一番落ち着いていたのが岩佐だった。精神面の成長を感じた」とセレス小林会長。岩佐は「勝たなきゃと思い詰めず、全力を出せればいという精神状態だったから落ち着いていられた」。精神面も充実させて元WBOバンタム級王者のマーロン・タパレス(フィリピン)を沈めた。
今回の暫定王座は、正規王者でWBA統一王者ダニエル・ローマン(米国)の負傷で設定されたもの。次の標的はもちろんそのローマンだ。「ローマンの次の試合も見に行くつもり。右ファイターは得意なタイプ。『暫定』の文字を取りたい」と、岩佐は早くも次へ闘志を燃やしていた。