悩めるシーズンとなりそうだ。来年の春季キャンプで阪神の臨時コーチを務める山本昌さん(54)が9日、秋季キャンプで指導した阪神の藤浪晋太郎投手(25)の復活に手応えを口にした。ただ中日OBとして、その心中は複雑だ。
「画像を見ても手首が立っていて、(腕が)体の近くを通るようになってきた。ポテンシャルは桁違いですから。修正できれば簡単に2桁勝てるピッチャーになれる」
今季は1軍公式戦でマウンドに上がったのは1試合のみ。8月1日の中日戦(甲子園)だった。4イニング1/3を投げて8四死球。甲子園で春夏連覇を達成した「球界の宝」の復活は、阪神だけでなく球界全体の願いでもある。
「やるからには一生懸命お勤めします」と力を込めながらも心中は複雑だ。「藤浪が復活すれば中日にとって脅威になるのでは?」という質問には「それは僕が答える立場にはないですよ」と苦笑い。中日一筋32年。ただ今は臨時コーチという立場上、阪神の投手陣を建て直すことが使命だ。
中日の今季のチーム打率はセ・リーグトップ。打率リーグ10位以内にはビシエド、大島、高橋、阿部の4人が名を連ねる。「けが人が出ずにみんな元気ならば打線はセ・リーグでもトップ」と評価し、「投手陣もいい選手が出てきていますし、頑張ってほしいですね」と古巣にエールを送った山本さん。阪神投手陣のレベルが上がれば、負けじと中日打線のレベルも上がるはず。球界のレジェンドとして、それが球界全体の発展につながると信じている。