【ロンドン共同】正体不明の路上芸術家バンクシーは9日、トナカイを描いた壁画と実物のベンチなどを組み合わせた新作を映像に収め、写真共有アプリの「インスタグラム」で公表した。クリスマスやホームレスがテーマとみられ、作品が出現した英中部バーミンガムでは、住民らが一足早い“クリスマスプレゼント”を喜んでいる。
30秒ほどの映像では、ホームレスを思わせる男性が大きな荷物を枕にしてベンチに寝転ぶ様子と、背後にあるれんがの壁に描かれた2頭のトナカイが映し出されている。男性をサンタ、荷物をプレゼント、ベンチをソリに見立て、まるでトナカイに引かれてサンタが空を遊泳している光景に見える。
バンクシーは「撮影中、通りすがりの人が頼んでもいないのに、(ベンチの男性に)温かい飲み物やチョコレートをくれたんだ」と投稿し、地元の人の善意に触れたことを紹介。「バーミンガムに幸せあれ」とつづった。
BBC放送によると、公開後にベンチに座るなどして記念撮影する人が殺到し、新作を保護するため壁の周囲には柵が設けられた。だが何者かが柵を乗り越え、トナカイの鼻の部分をスプレーで赤色に染めるいたずらをしたという。