2014年、ブラジル南部の町で作業していた古生物学者ロドリゴ・ミュラー氏のもとに、近隣で発掘しているチームの仲間から見事な化石の写真が届き始めた。
「その時点でもう、大腿骨と頭、つまり頭蓋の一部が見えていました」とミュラー氏は振り返る。「この地で、このタイプの恐竜はほとんどありません。とても珍しい発見で、すごく興奮しました」
サン・ジョアン・ド・ポレジニの町で発掘されたその化石は、肉食恐竜としては最も古い時代に生きたものの一つであることがわかった。およそ2億3000万年前、三畳紀の森に暮らしていたとみられる。ミュラー氏ほかブラジルのサンタ・マリア連邦大学とサンパウロ大学の研究グループは、この恐竜をグナトボラクス・カブレイライ(Gnathovorax cabreirai)と名付け、2019年11月に学術誌「PeerJ」に発表した。
当時、南米はまだ超大陸パンゲアの一部だった。この個体は氾濫原で死に、近くの川から流れてきた堆積物に埋もれたのだろう。その結果、驚くほど損傷の少ない化石ができた。(参考記事:「三畳紀末の大量絶滅、原因は溶岩の噴出」)
この恐竜の骨格はほとんど完璧に保存され、頭蓋も無傷で残っている。これほど状態の良い化石は極めて珍しく、研究グループはCTスキャンを使って脳を再現することができた。その構造から、目や頭の運動をよくコントロールできる行動的な捕食者であることもわかった。この特徴は、鋭い歯や爪で獲物を仕留める際に役立っただろう。(参考記事:「草食のTレックス近縁種発見、肉食から進化途上か」)
「他の恐竜の解剖学的構造を研究する際、この化石が間違いなく土台になるでしょう」とミュラー氏は話している。
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