数学・算数のさまざまな単元を学んでいくと、どんどん新しい数学用語が出てきます。「なぜそんな数学の単元があるんだろう」「なぜそんなことを指す用語があるんだろう」という疑問を持ったことがある人も、少なくないはずです。
何千年と続く数学の歴史のなかで、何かしらの理由がありその単元が生まれ、そこで用語も生まれました。今回の〈雑学数学〉では、そういった単元や用語が生まれた背景をさかのぼっていきます。
まずは、数学において欠かせない「数」について触れていきましょう。「〇〇数」と名前がつくものは数多くあります。それら「〇〇数」を使って数を分類することができるのですが、その分類の仕方はたくさんあります。
たとえば「偶数」と「奇数」。これは2で割り切れる整数であれば偶数、そうでない整数であれば奇数という分類がなされています。
また、「素数」と、素数ではない数、つまり「合成数」で分けることもできます。素数は1とその数自身以外で割り切れない数のことを指し、それら以外のなにかで割り切れる数を合成数といいます。
この分類の仕方は「自然数」ないしは「整数」をくまなく分類していることになります。「1, 2, 3, 4, 5……」といった「自然数」は「素数」か「合成数」のどちらかにあてはまり、自然数に「0, -1, -2, -3, -4, -5……」を加えた「整数」は「偶数」と「奇数」のどちらかにあてはまります。
では、このような分類はいつごろからなされていたのでしょうか。
「奇数」と「偶数」という分類は、名前こそなかったものの、紀元前6~5世紀ごろのピタゴラスがいた時代にはすでに発想としては生まれていたようです。
ピタゴラスは「万物の根源は数である」という思想のもと、あらゆる事象は数で表すことができるという考えを主張していました。そのピタゴラス学派に所属していたフィロラオスが偶数・奇数という分類について言及していたとされています。
ちなみに偶数を英訳すると“even number”で、evenは「均等な」という意味を持ちます。2人で分けると均等になることからこの名前にされたといわれています。
一方、奇数は“odd number”(変な数)であり、均等になっていない様を表しています。
また、「素数」と「合成数」という分類も古くからすでに存在していました。