
ヘイトスピーチを繰り返す人物や団体に刑事罰を科す全国初の条例が成立しようとしている川崎市で7日、極右政治団体・日本第一党が8回目となるヘイト街宣を行った。条例制定の妨害を公言し「日本人差別の在日特権条例」というデマで在日コリアンをおとしめる瀬戸弘幸最高顧問の姿もあり、抗議に駆け付けた約100人の市民は「おまえたちが立法事実だ」と痛烈な非難を突きつけた。
冷たい雨も落ちた川崎駅東口。演説をかき消し、ヘイトスピーチを無効化しようと抗議する人たちの傍らで、真新しいプラカードが掲げられた。「ヘイト刑罰化成立まで秒読み」「条例に賛成。差別に罰を」「差別に負けないでガンバレ川崎市」。9日に委員会採決、12日に本会議採決を迎える条例案へのエールが、川崎での活動に執着するヘイト団体の異常さを改めて浮かび上がらせた。
「条例成立まであと5日」の文字を掲げた女性は「条例化によって抗議の力が増し、差別を罰する条例が全国に広がる出発点になってほしい」と話した。
条例への期待は「日本人差別?」の文字にも表れた。千葉県から駆け付けた女性(39)は自民党が「日本国民に対する差別的言動への罰則」に言及した付帯決議を提案したのを知り、驚いた。「立法事実にない『日本人差別』を持ち出してしまっては差別を続けたいレイシストと同じに見られても仕方がない。他の党にはしっかり反対し、否決してもらいたい。全国初の条例を台無しにする文言に賛成などできないはずだ」
街宣参加者は過去最少の約10人、県警が警備用の鉄柵で仕切った演説スペースはこれまでの3分の1と、差別主義者の居場所がなくなりつつあることも印象づけた。「人間としての存在を否定する差別の言説と、差別の行為を否定する私たちの抗議が『どっちもどっち』のはずがない」。反対の声を上げることは着実に市民権を得ていき、その先に条例は実現すると信じる川崎市麻生区の男性(46)は言った。「これが最後の抗議活動になってほしい。条例が抑止効果を発揮すれば、市民が寒い中、時間と電車賃をかけてやって来なくても済むようになる」
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