正五角形のシュタイナー木
正五角形のシュタイナー木は、次の図のようになる。
説明の都合上、シュタイナー木の線分の一部に、上図のように x、y、z、w と名前をつける。
錯角が等しいことから w と y が平行であることがわかる。また対称性から w が正五角形の角の一つを二等分することがわかる。
これらを手掛かりに、図中に示した角度がわかる(正五角形のとなり合う二辺のなす角は108°)。
やはり正五角形の一辺の長さを1とすると
x sin 42° = y sin 18°
x cos 42°+ y cos 18° = 1
を解いて
x ≒ 0.357, y ≒ 0.773
z cos 30° = 0.5
z ≒ 0.577
y + z sin 30°+ w = 1 × cos 54°+ 1 × cos 18°
を解いて
w ≒ 0.478
線分の長さの合計は
2x + 2y + 2z + w ≒ 0.357 × 2 + 0.773 × 2 + 0.577 × 2 + 0.478 = 3.892
いっぽう正五角形の中心(外心)から頂点までの長さの合計は、正五角形の一辺の長さを1とすると
0.5 sec 54° × 5 ≒ 0.851 × 5 = 4.253
したがって、中心から頂点への線分長の合計と、シュタイナー木の線分の合計は
3.892 ÷ 4.253 = 0.915
約8.5%の短縮となる。
だが、あえて椅子の脚という設定に拘泥してみる。
垂直支柱を立てるとしたら、w と z の交点しかないであろう。だが当然ながらそこは、正五角形の中心(外心、重心)から大きく外れている。
キャスターだけで回転させる、あるいはカウンターチェアのように回転させないというのであれば、このような構造に基づく設計も斬新で面白みがあるかも知れない。
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正五角形を外心と頂点で分割した三角形のシュタイナー木
正五角形の外心と頂点を結ぶ三角形の一つに着目する。この三角形は最大角が120°未満なので、内部にフェルマー点を持つ。
このような三角形の一つについて、頂点とフェルマー点でシュタイナー木を構成した場合の線分に、下図のように u、v と名前をつける。
u = 0.5 sec30° ≒ 0.577
u sin 24° = v sin 36°を解いて
v = 0.400
2u + v ≒ 1.554
これは、正五角形の外心と頂点を結ぶ線分2本分の長さ
0.5 sec 54° × 2 ≒ 0.851 × 2 = 1.702
と比較すると
1.554 ÷ 1.702 = 0.913
すなわち約8.7%の短縮となる。
それぞれの線分の合計全体を考えると、すなわち正五角形の外心と頂点を結ぶ線分の残り3本分の長さを含めると、
(1.554 + 0.851 × 3) ÷ 0.851 × 5 = 0.965
ということで、約3.5%の短縮となる。
このようなシュタイナー木は、最大2つの三角形に対して構成することができる。
この場合、線分の長さの合計は
4u + 2v + 0.5 sec 54° ≒ 0.577 × 4 + 0.400 × 2 + 0.851 = 3.959
すべての頂点を正五角形の外心からの放射状の線分で結んだ場合に比べ、
3.959 ÷ 4.253 ≒ 0.931
すなわち約6.9%の短縮となる(3.5 × 2 で 7% とならないのは丸めの誤差)。
さらに短縮することはできないかと考えたところ、前回の(その1)冒頭ですでに述べてしまったような、対称性を失った意外な形が出てきたのである。
それを次回のエントリーで述べる。
元ネタを再掲する。
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