tnkado’s blog

駄文で綴る中年のたわごと(戯言)です

「北風小娘」5


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西の空が茜色に染まり始め

山間の、人影のない駅のホームに

二両編成の下り電車が入って来た

 

電車が通る風圧で、枯れ葉が舞った

 

電車からは、幼子と手をつなぎ

もう片方の手に買い物袋を提げた女性と

小学生が数人と、老夫婦が降り

最後に、男女の高校生二人が降りた

 

高校生二人組は幼馴染の様で

男の子はクラスメイトに「片想い」をしていて

「どうやってクリスマスプレゼントを

渡せばいいのか?」と

隣にいるポニーテールの女の子へ相談している

 

駅舎の屋根に座り

「北風小娘」はそんな高校生二人組を眺め

 

「あの男の子はニブいな」

 

女の子は笑いながら相談に答えているが

その横顔は少し寂しげだ

 

ポニーテールの女の子は

隣にいる男の子に「片想い」をしている 

 

「北風小娘」は

 「あの女の子は自分の気持ちを隠し通そうとして、

気持ちを握りつぶして押し殺している」と感じていた

 

でも「北風小娘」には

二人の近くを飛ぶクピード(Cupido)が見えていた

日本では、英語のキューピッド(Cupid)の名で知られる

 

ちなみに、彼らにも転職組がいて、成功者は

食品関係の企業で、自らの名称をアレンジして

調味料商品に名付け長寿ヒットさせている

さらに、名を冠した3分間の料理番組まで持っている

 

もっとも、本当に3分間で出来上がる料理のみを

紹介しているわけではないらしいが・・・

 

 

「北風小娘」が「フッ」と口笛を吹くように

短く息を吐くと 小さなつむじ風が起きて

ニブイ男の子の後を追う

 

男の子は驚き、駆け出そうとしたが

つまづいてバランスを崩して転び、

同時につむじ風はスッと消えた

 

それを見て、女の子はクスクス笑った

 

 ねぐらに帰るカラスガ数羽

鳴きながら山に向かって飛んで行く

 

「二人は、一度はお互い個々の道を歩むけれど

いずれは一本に戻る道だから、将来結ばれるなあ~」

と思いながら

 

「さあ、わたしも帰ってご飯食べよう」と

「北風小娘」は家路についた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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